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「朝昼2回着替えろ」「臭かったらその都度呼び出す」…根拠のない「体臭指導」はパワハラ

2018年04月30日 10:41  弁護士ドットコム

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職場で体臭に関する指導を頻繁に受けてつらいーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような相談が複数寄せられています。


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ある男性の相談者は、上司から2週間に1回ほど「臭い」と指導を受けています。「朝昼2回着替えろ」「臭かったらその都度呼び出す」と言われる一方、どんな臭いかといった具体的なことは一切教えてもらえません。「苦情が来ているから何とかしろ」と一方的に言われるものの、改善する方法もなくとても傷ついています。


また、別の女性の相談者は、職場の人から「あんた、ニンニク食べてきたんか」「すごく臭う」と毎日言われ、総責任者からは「あんたの匂いのせいで周りが迷惑している。今度やったら辞めてもらうからな」と脅されたと話しています。


●具体的な指摘がなければパワハラ

今回の2つの事例における上司や職場の人の言動は、パワハラに該当するのでしょうか。三輪貴幸弁護士は「『業務の適正な範囲』内の指導・助言といえるかどうかがポイントだ」と指摘します。


パワーハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場関係を悪化される行為」をいいます。


「体臭は、体調の異常や病気が反映される場合があったり、顧客対応をする上で問題となったりすることもあることから、職場内での指導・助言の対象となること自体は違法とは言えません。


しかし、どんな臭いなのか、どんな苦情が来ているか、などの具体的な指摘がないのであれば、指摘される人はどうすることもできません。そうなると、業務の適正な範囲内の指導や助言とはいえないので、パワハラに該当すると思います。


また、具体的な原因や対処方法を指摘することもないまま『今度やったら辞めてもらう』という上司の発言も、業務の適正な範囲内の指導・助言とはいえないので、パワハラと言えます。


会社は安全配慮義務の一環として、職場環境を調整しなければならない義務があります。こうした行為を受けている場合は、まずは社内相談窓口や担当者などを通じて、指導を止めてもらうよう求めてください。その際、上司等の発言を録音したデータなどの証拠もあれば、より良いでしょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
三輪 貴幸(みわ・たかゆき)弁護士
2008年、大阪の法律事務所にて弁護士業務を開始。2015年、樟葉法律事務所開設。埼玉弁護士会所属。2016年、さいたま市非常勤特別職(行政不服審査専門員)就任。さいたま市役所法務・コンプライアンス課所属
事務所名:樟葉法律事務所
事務所URL:http://shouyou-lawoffice.com/