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MACOがライブで届けた“今だからこそ歌える歌” 『メトロノーム』ツアーファイナル公演

2018年04月30日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 MACOが4月22日、昭和女子大学人見記念講堂にて『メトロノームツアー2018』のファイナル公演を行った。1月の新潟から8公演に及んだ本ツアー最終日の模様からは、シンガーソングライター・MACOが全国に等身大の姿を届けることができたという充実感がひしひしと伝わってきた。


(関連:MACOが語る、ラブソングを歌って気づいたこと「“愛してる”は“生きてる”の実感にも繋がる」


 最新アルバム『メトロノーム』を提げて行われたツアーということもあり、会場には開演SEとともにメトロノームの規則正しいリズムが響く。また、幕が上がるとステージ中央には『メトロノーム』のジャケット写真同様、ピンクの巨大メトロノームに腰かけたMACOの姿が現れた。大きな歓声に迎えられたMACOは、バンドメンバーとともに『MACO × ACUVUE®』キャンペーンCMソングとして話題を呼んだ「恋するヒトミ」からライブをスタートした。


 馴染みあるキャッチーなメロディで会場の心を掴むと、序盤は「僕だけのBaby」や「We Gonna Be Happy」「Don’t You Know I Love U」といった低音のビートをきかせた軽快なダンスナンバーで攻める。「We Gonna Be~」では一部の歌詞をオーディエンスに託すなど、ステージと客席の間には早くもコミュニケーションが生まれた。MACOはこの日、その他の場面でもコールアンドレスポンスを積極的に行ったり、ツアー中、恒例となっていたというギャグも披露したり……と、いつも以上にハイテンションな様子を見せていた。公演全体を振り返ってみても、観客を巻きこみながらライブを楽しむことが意識されたステージングだったように思う。


 MACOは今年の6月でデビュー5年目に突入する。デビュー当時はティーンエイジャーのような初々しさのあった彼女も、今では一人の自立した女性に。恋愛をテーマにした楽曲を中心に発表してきたMACOだが、昨今、自身の成長とともに歌われる言葉や曲調にも変化が表れている。R&Bのリズムとシンセ音が落ち着いた雰囲気を醸す「NATURAL LOVE」や、「カタオモイ」「愛してる」の2曲のバラードが続いたセクションは、まさにその流れを思わせるものだった。特にアカペラパートも披露された「愛してる」は、MACOが作詞と作曲に携わった特別な一曲。「生きているからこういう気持ち(『愛してる』という気持ち)になれるということを今まで見落としていたんだと気付かされました。なので、このアルバムでは一番、素の自分自身が出ている曲になったと思います」と以前『メトロノーム』がリリースされた際のインタビューで語っていたように、まさに“今のMACOだからこそ歌える歌”であるという味わい深さがあった。


 「2018年のMACOの目標は、自分らしく」「自分を解放することでみんなにも楽しんでもらえると思って」そう告げたMACOは突然ステージを降り、1階席の観客とふれあいながら「LOVE」を、ステージに戻りMACOのファン=MACOfamに向けた曲「family」を熱唱するなど、お祭りムードを残したまま一度ステージを後にする。バンドメンバーによるジャジーなインタールードを挟み、MACOは全身白の可愛らしい衣装で再び登場。「朝もお昼も夢の中も」「恋人同士」とアップテンポなナンバーから、「春の風」「二人は夢みるマーメイド」「秋空」「マフラー」と春夏秋冬をモチーフにした“ 季節メドレー”4曲を披露した。


 「マフラー」を歌い終えると、MACOは「『First Kiss』に入ってた曲、懐かしい気持ちになりました。自分で歌詞を見てもっとポジティブになればいいのにって昔のことを振り返って思うことがある。でもこの曲は何年経ってもその時と同じ気持ちで歌えるんです」と紹介して歌ったのが「手紙」だ。この曲が発表された当時、MACOは自分の感情に気づくことができた大事な曲であると明かしていた。思い入れの深い一曲をダイナミックな演奏に合わせて心地よい歌声で聞かせると、そのままの流れで「恋の道」へ。そして、「(1stシングルの)『LOVE』からラブソングのストーリーがはじまりました。寂しい時、辛い時、MACOの音楽がみんなに寄り添えればと思っています」と告げて、本編最後はアルバムリード曲「Sweet Memory」で閉めた。


 アンコールは、おなじみMACOfamによる「LOVE」の合唱で迎え入れられたMACO。一度はステージから下げられた巨大メトロノームが再び登場し、「メトロノーム」「幸せ」を披露、さらにツアーファイナルとなったこの日、新曲「君のシアワセ」(テレビ東京系ドラマ『東京センチメンタルSP~御茶ノ水の恋~』主題歌)も初披露。最後は会場を一体化させるMACOの新境地ともいえるダンスミュージック「PEEKABOO」で最高潮の盛り上がりを迎え、ライブを終えた。


 MACOは6月20日に初のベストアルバム『BEST LOVE MACO』を発売する。これまで発表してきたラブソングはもちろん、「君のシアワセ」や同郷・函館を代表するアーティストGLAYの代表曲「HOWEVER」カバーなども収められるという。ラブソングとそれを聞く人の数だけストーリーを生み出してきたMACOの“アーティストとしての軌跡”を辿ることができる作品となる。(久蔵千恵)