WRC世界ラリー選手権第5戦アルゼンチンは4月29日、SS16~18が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が優勝を飾り、トヨタに2018年シーズン初の栄冠をもたらした。トヨタが総合優勝を飾るのは2017年第9戦フィンランド以来のこと。
エストニア出身で30歳のタナクは、昨年までMスポーツの一員としてシリーズを戦い、チームのタイトル獲得に貢献。今シーズンからトヨタへ加わると、移籍後初戦となった第1戦モンテカルロで総合2位、第4戦ツール・ド・コルスでも総合2位を獲得するなど、そのポテンシャルを発揮してきた。
そんなタナクは26日に行われたラリー・アルゼンティーナのSS1で総合2番手につけると、一時は総合9番手までポジションを落としたものの、SS5でトップに浮上。その後は一度もトップの座を譲ることなく競技最終日を迎えた。
46.5秒の大量リードを築いたタナクはリスクを避けた危なげない走りで最終日の3SSを走りきり37.7秒のマージンでフィニッシュ。トヨタに今シーズン初となる総合優勝をもたらした。また自身にとっては2017年第10戦ドイツ以来通算3度目の勝利となった。
総合2位はティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)、総合3位はダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)とヒュンダイ勢が獲得している。ポイントリーダーのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)は総合4位、タナクのチームメイトであるエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合8位だった。
フィニッシュ後、タナクは「特別な勝利だよ。チームが変わったし、やるべきことの多いシーズンスタートだったからね」と喜びを語った。
「マシンは最初から僕好みに仕上がっていたけど、さらに改良することができた」
「楽しみながら走ることができたよ。チームは素晴らしい働きをしてくれた。今後もプッシュし続けるよ」
チーム代表のトミ・マキネンも「彼は週末を通して速さを発揮してくれた」とタナクを賞賛するコメントを残した。
「彼がリスクを避けた走りで勝ちを掴んでくれてよかった。アップヒルステージも、ダウンヒルステージも入り混じっていて、我々にとってはタフなラリーになると思っていたけど、マシンがパフォーマンスを発揮したことをうれしく思う」
「この結果はチーム全体の努力の結果だ。チャンピオン争いに加わっていることをうれしく思うし、次のラリー・ポルトガルもこことキャラクターが似ているから好成績を期待したいね」
ドライバーズランキングではオジエが100点でトップを維持。2番手にヌービル、3番手にタナクが続いた。マニュファクチャラーズランキングではMスポーツ・フォードが144点でトップにつけ、129点でヒュンダイ、その5点差でトヨタがつけた。
WRC第6戦は5月17~20日、ポルトガルを舞台に争われる。