4月29日現地時間午後4時10分、アゼルバイジャンGP決勝のスタートを迎えた。前夜から強風が吹き荒れており路面はダスティ、気温は17度、路面温度は27度というコンディション。
ニコ・ヒュルケンベルグとロマン・グロージャンはギヤボックス交換のため5グリッド降格ペナルティを科されてそれぞれ14番グリッド、20番グリッドからのスタートとなっている。3強チームとシャルル・ルクレール、ストフェル・バンドーン、グロージャンはスーパーソフト、それ以外ではルノーとフォース・インディア、ブレンドン・ハートレーがウルトラソフト、残りはソフトと大きくタイヤ選択は別れた。
スタート直後の1コーナーでは各車が慎重にアプローチしたがターン2でセルゲイ・シロトキンが止まりきれず前のセルジオ・ペレスに追突し、ペレスはエステバン・オコンに追突してフロントウイングにダメージを負う。
そしてターン3手前ではフェルナンド・アロンソ、シロトキン、カルロス・サインツJr.が3ワイドで走るがアウト側のサインツの左リヤがシロトキンの右フロントに当たり、その影響でイン側のアロンソに接触しシロトキンは左フロントを壊してリタイア、アロンソは右の前後ともパンクしながらもピットに戻りコースへ復帰するが17番手まで下がってしまった。
さらにターン3ではキミ・ライコネンとそのアウト側に被せたオコンが接触しオコンがウォールにクラッシュ。これでセーフティカー導入となり7台がピットインして実質ノーストップ作戦に出る。ケビン・マグヌッセンに接触したマーカス・エリクソンには10秒加算ペナルティが科された。
6周目にレースが再開されるとピエール・ガスリーが好走を見せ順位はベッテル、ルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス、マックス・フェルスタッペン、サインツ、ダニエル・リカルド、ガスリー、ニコ・ヒュルケンベルグの順となるが、純粋なペースで優るヒュルケンベルグがすぐに抜き返し、逆に9周目にランス・ストロールとルクレール、ライコネンらに抜かれ12番手までポジションを落としてしまう。12周目にピットインしてソフトタイヤに履き替え最後まで走り切ることを狙う。
ルノー勢はERSのデプロイメント切れに苦しむレッドブル勢を上回る速さを見せ、メインストレートとバックストレートでDRSを使って抜き去っていく。しかしヒュルケンベルグは10周目のターン4でリヤが流れてウォールにヒットしリタイアとなってしまった。
上位は首位ベッテルが2番手はミルトンを徐々に引き離していき、3番手ボッタスもそこから5秒差。4番手サインツ、5番手フェルスタッペンと6番手リカルドはチームメイト同士で激しいバトルを展開し、ストロールを抜いたルクレールが7番手、ライコネンもストロールを抜いて8番手に浮上してくる。
15周目にウルトラソフトのサインツがピットイン。17周目にはバンドーンがピットインするが、ハミルトンは21周目にファステストラップを記録した直後の22周目のターン1で大きくタイヤをロックさせてコースオフしてしまい「このタイヤは終わった!」とピットに飛び込んでソフトタイヤに交換。ベッテルは「8秒のマージンがある」とステイアウトを選んだ。
24周目には入賞圏を堅持するルクレールがピットインし、同じソフトタイヤを履くサインツとアロンソの後ろ11番手でコースに戻る。しかしルクレールはすぐさま26周目のターン1でアロンソを抜いて10番手に浮上してみせた。
レッドブル勢同士のバトルも激しさを増し、27周目のターン1でアウトからリカルドが抜くがフェルスタッペンは譲らずターン2でインに留まって4番手を死守する。リカルドは35周目のターン1でようやくアウト側からフェルスタッペンを抜き去って4番手に浮上した。
30周目にようやく首位ベッテルがピットインしてソフトタイヤに交換。余裕を持ってハミルトンの前でコースに復帰する。首位に浮上したボッタスは2番手に下がったベッテルよりも遅いペースのままステイアウトしてピットストップを遅らせる。
硬めのタイヤで速さを発揮する3番手ハミルトンは2番手ベッテルよりも速いペースで周回を重ねてギャップを縮めていく。
37周目まで引っ張ったリカルドはウルトラソフトに換えて最終盤のプッシュに入るが、翌周ピットインしたフェルスタッペンはリカルドの前で戻ることに成功する。
39周目のメインストレートからDRSを使ってフェルスタッペンのスリップに入ったリカルドは、いつものようにアウト側に一度振ってからインへ飛び込むオーバーテイクを仕掛けるが、ここにフェルスタッペンもいつものようにブレーキングエリアでラインをイン側に変え、リカルドは止まりきれずフェルスタッペンのマシンに追突。ここで2台ともにリタイアという最悪の結果になってしまった。
これでセーフティカー導入となり、ここでピットインを済ませたボッタスは見事にベッテルの前でコース復帰を果たし首位をキープ。しかしターン1手前のデブリ処理のため全車がピットレーンを通過することとなったため、上位勢は全てウルトラソフトに交換。上位ではボッタスとサインツだけが中古、ペレスだけがスーパーソフトとなった。
さらにセーフティカー走行中の43周目に6番手走行中だったグロージャンがタイヤを温めようとしてリヤのコントロールを失いターン13アウト側のウォールにクラッシュ。
これで順位は首位ボッタス、2番手ベッテル、3番手ハミルトン、4番手ライコネンとなり、5番手にはペレス、6番手サインツ、7番手ルクレール、8番手ストロール、9番手アロンソ、10番手マグヌッセン。トロロッソ勢はガスリーが11番手、ハートレーが12番手につけてレース最終盤に臨む。
48周目にレースが再開されると、ターン1でインに飛び込もうとした2番手ベッテルが大きくロックアップさせてしまいコースオフ。フラットスポットを作ってしまいペレスにも抜かれて後退してしまう。首位に立ったボッタスだったが、48周目のメインストレートでデブリを踏み右リヤタイヤがバースト。まさかのリタイアとなってしまった。
これでハミルトンが今季初優勝を挙げ、2位にはライコネン、そしてペレスが3位で2016年ヨーロッパGP以来の表彰台獲得を果たした。ベッテルは4位、5位サインツ、そして新人ルクレールが6位に入る健闘を見せ、7位アロンソ、8位ストロール、9位バンドーン、ハートレーは10位で自身初入賞を果たした。ガスリーはターン20でマグヌッセンに接触され12位に終わった。