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加藤鷹さん「低くなったAV出演の敷居をあげるべき」「ネットに出たら消せない」、業界の課題指摘

2018年04月29日 22:51  弁護士ドットコム

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元AV男優で、現タレントの加藤鷹さんが4月29日、幕張メッセ(千葉市)で開かれた「ニコニコ超会議」のトークイベントに登壇。いわゆる「AV出演強要」など、業界をとりまく問題について、現役AV監督の二村ヒトシさんらと語り合った。


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加藤さんは1980年代後半にAV業界に入って、約4年前に引退するまで30年近く、男優として活躍。引退後も、一部から「カリスマ」「レジェンド」といわれている。現在タレント活動などをしている加藤さんは「低くなったAV業界の敷居をあげるべきだ」と持論を展開した。


●加藤鷹さん「パンツを脱がなくてできる仕事があったらやってる」

加藤さんがAV業界に入ったころ、日本はまさにバブル期。驚くような額のお金が業界をまわっていたという。そんな中で、AV女優という職業をえらぶ女性は、借金などがあり、「稼ぐぞ」という目的の人がいた。加藤さん自身は「仕事だ」と割り切りながら、法律的にアウトだと思った仕事は断っていたそうだ。


「ほとんどの人が、AVをやりたくなくてやっている、とオレは思っている。そもそも、服を脱いで人前に出たいという人はいない。何らかの事情がある。女の子だって、服を着てできる仕事があったらやっている。男優もパンツを脱がなくてできる仕事があったらやっている」(加藤さん)


「AVがメジャーになって、敷居が低くなってきた。オレが業界に入るときは、どう見ても外からはいかがわしい業界だった。(女優になろうとする人は)簡単にその線を超える前に(いったん)遠目で見てほしい。もし映像がネットに流れたら、完全に消すことは不可能だから」(加藤さん)


●二村ヒトシさん「昔は良かったと言っても仕方がない」

AV女優、あるいはAV男優という職業に対する差別・偏見や、スティグマ(社会的な負の烙印)はかねてより指摘されている。加藤さんは講演などで「AVをやっていることで差別するような、小さい大人になるな」と話しているという。現在も監督として活躍している二村さんは次のように述べた。


「昔は、リスクがあるとわかって入ってきて、鷹さんみたいに強いハートで生き残ってきた。だけど、今は、AV女優もテレビに出るようになって、敷居が低くなってきて、(彼女たちは)AV女優という仕事が、差別される職業と思っていない。多くの人は(AV女優を)やめて世間に出てから、差別されている仕事だと実感する」(二村さん)


出版不況などと同じように、AVもDVDなどパッケージが売れておらず、ほとんどの女優がデビュー作しかヒットしないといわれている。AV業界側も、いかに新しい女優をデビューさせるか、やっきになっていた。そんな中で、出演強要問題が報告されて、業界をゆるがし、その改革も道なかばだ。


「芸能界の『#Metoo』と同じで、世の中はいろいろなものが変わってきている。今までの常識でやったらダメだ、ということ。ぼくはそれは悪いことでないと思っている。世の中が変わってきたのだから、昔は良かったと言っても仕方がない」(二村さん)


●ニコニコ視聴者が選んだテーマ「強要問題」

トークイベントが約1時間ということもあり、ニコニコ生放送の視聴者に対して、次のうちどのテーマからはじめるか、アンケート投票がまずおこなわれた。


(1)強要問題を解消するために業界が取り組むべきことは?


(2)業界は違法アップロードにどう立ち向かっていくべきか?


(3)どうなる?五輪に向けてのR-18コンテンツ規制


その投票結果は、(1)約48%、(2)約25%、(3)約26%。


強要問題とは、若い女性が「モデルにならない?」などとスカウトされて、プロダクションに契約を結んだところ、その契約をたてに「違約金」などを突きつけられて、AV出演を余儀なくされるというものだ。この問題について、ニコニコ視聴者の関心の高さがうかがい知れた。


(弁護士ドットコムニュース)