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ONE OK ROCK、国内での人気はもはや敵なし 4大ドームツアーで宣言した“第2章への道”

2018年04月29日 11:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ONE OK ROCKが、全国ドームツアー『ONE OK ROCK 2018 AMBITIONS JAPAN DOME TOUR』を3月31日から4月22日にかけて開催。この一環として4月4日、5日には初の東京ドーム公演も行われた。本稿ではこのうち、4月4日公演について記す。


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 2017年1月に最新アルバム『Ambitions』を発表して以降、国内外で精力的にツアーを行ってきたONE OK ROCKだが、バンドにとって初の国内ドームツアーをもって、1年以上にわたり続けてきた『Ambitions』を携えたツアーを締めくくる。東京公演の会場に選ばれた東京ドームには、若い世代のみならず幅広い年代のファンが集結し、場内は開演前から熱気に包まれていた。


 暗転と同時に大歓声が沸き起こると、ステージ両サイドにスクリーンの端からアリーナ中央まで延びた花道に向けて光が進んでいく。これにあわせてスモークが立ち上がり、来場時に観客に配られたリストバンドが光るなど、オープニングから派手な演出で会場を盛り上げる。会場の明かりが消え、スモークが収まり始めると、センター花道の先にTaka(Vo)の姿が。Takaに気づくと、場内は悲鳴にも似た大歓声が響きわたる。そんな中、Takaは「Taking Off」の一節をアカペラで歌い、そのままステージまで歩き出す。途中からToru(Gt)、Ryota(Ba)、Tomoya(Dr)がステージに現れると、4人がステージに揃ったところでオープニングナンバー「Taking Off」に突入。オーディエンスはサビの<I know, I know>で盛大なシンガロングを繰り返す。


 ヘヴィかつムーディーな「Taking Off」を経て、アッパーな「未完成交響曲」で場の空気は一変。観客の熱気はさらに高まり、アグレッシブなバンドのプレイに声援やハンドクラップで応えていく。さらにバンドは「キミシダイ列車」を立て続けにプレイし、Takaはステージ上を縦横無尽に走り回る。この冒頭3曲で、ONE OK ROCKは早くも5万人もの観客を手中に収めてしまった。改めてライブバンドとしての彼らの力量が伺い知れた瞬間だった。


 最初のMCでは、Takaが「このデカイ東京ドームで自分たちの音をかき鳴らして、この壁のどこかをぶっ壊して帰ろうと思います!」と力強く宣言。その言葉どおり、この日のONE OK ROCKは東京ドームという会場を今にも飛び出さんばかりの、攻めのプレイを連発。「Cry out」や「Clock Strikes」といった定番曲に、「Bedroom Warfare」「One Way Ticket」など最新作『Ambitions』収録曲を織り交ぜたセットリストでONE OK ROCKの“今”を提示してみせる。北米ツアーや今年初頭のアジアツアーを経て、さらにひと回り大きく成長したバンドの姿は、もはやドームという国内最大規模の会場すら狭く感じられるほど頼もしく見えた。と同時に、バンドにとって、そしてファンにとっても新機軸となった『Ambitions』という作品がリリースから1年を経て、ここまで受け入れられているという事実にも驚かされた。どの曲でもオーディエンスは大きな声で歌い、思い思いのアクションで感情を表現する。これこそが、『Ambitions』というアルバムでONE OK ROCKが求めた“答え”だったのではないか……この日のライブを観て、そう思わずにはいられなかった。


 ライブ中盤では、アリーナ後方に設置されたサブステージにメンバーが移動。直前にスクリーンに流れた過去13年のライブを振り返る映像に触れつつ、4人が思い出話に花を咲かせる。そして「初心を振り返ろうと思います」という言葉とともに演奏されたのが、2007年にリリースされたメジャーデビューシングル「内秘心書」。アコースティックアレンジが施されたこの曲では、オリジナルバージョン以上に切なさが増し、バンドの表現力の豊かさを実感させられた。


 また、曲の合間にはミクスチャーロック路線だった2007年のシングル曲「努努-ゆめゆめ-」をさわりだけ演奏してファンを驚かせる場面も。その後は「ONE OK ROCKの歴史には欠かせない1曲」として名バラード「Wherever you are」で会場がひとつになり、さらにTakaのギター弾き語りによる「Last Dance」でサブステージでのパフォーマンスを終えた。


 再びメインステージにメンバーが戻ると、まずはTakaを除く楽器隊3人によるバンドセッションに突入。それぞれのソロプレイがフィーチャーされたこのパートでは各メンバーの力量の高さが伺い知れたはずだ。そこから「Deeper Deeper」で場内の熱気を高めると、続く「I was King」でのシンガロングで観客との一体感を高める。さらにMCではTakaが「これからのONE OK ROCKは、すごく険しい道に入っていくのではないか。俺ももうすぐ30歳。そろそろONE OK ROCKの第1章にピリオドを売って、第2章に突入する時では。俺たちには挑戦するか止まるかの2択しかない」と語ると、そこからToruのギターをバックに「Take what you want」を感情豊かに歌い上げるのだが、Takaの歌がエモーショナルさを増したクライマックスで歌と演奏が止まり、1分以上におよぶ静寂が突如訪れる。しかし、Takaは一切臆することなくこの静寂を存分に堪能してから、バンドの演奏とともに歌を再開させた。ドームクラスでこんな演出ができるなんて、とても自分に自信がないとできないのではないか……いや、その自信を掴むことができたからこそ、ONE OK ROCKは第2章に進むことを宣言したのかもしれない。


 「Take what you want」での熱演に盛大な拍手と声援が送られると、そのまま代表曲「The Beginning」で盛り上がりは再び沸点に。さらに「Skyfall」ではONE OK ROCKの“同志”であるMAH(SiM)、Koie(Crossfaith)、Masato(coldrain)のフロントマン3人が東京公演のみのサプライズ出演。この夢の共演に客席からは惜しみない声援が送られた。


 ドームならではの圧巻のコラボレーションを終えると、ライブもいよいよ佳境。ライブ終盤には欠かせない「Mighty Long Fall」で盛大なヘッドバンギングを繰り広げると、本編ラストを飾る「Nobody’s Home」へ。Takaにとって大きな意味を持つこの曲をこの日は笑顔で歌い上げ、ハッピーな空気に包まれライブは一旦幕を下ろした。


 アンコールは「ここ東京ドームで響かせるために作った新曲、やってなかったわ。俺たちの第2章始まりの曲」という言葉に続き、今年2月に配信リリースされたばかりの新曲「Change」をプレイ。『Ambitions』で提示した世界観をさらに数歩推し進めたサウンドは、まさに第2章という言葉にふさわしいもので、リリースから間もないにも関わらず観客から好意的に受け入れられていた。


 そして、「完全感覚Dreamer」でこの日何度目かのクライマックスに到達すると、新たな代表曲へと成長した「We are」を最後にプレゼント。前曲の「完全感覚Dreamer」がこの日一番の大合唱かと思いきや、それに匹敵するほどのシンガロングが沸き起こり、この先もずっと歌い継がれていく1曲になるのだろう……そう確信した。


 こうして3時間以上にわたる初の東京ドーム公演は大成功のうちに終了した。日本国内での人気はもはや敵なしと言えるほどにまで絶大なものとなったが、欧米では日本と同じ状況とは言い難い。『Ambitions』という新たな武器を手にしたことで結成から10数年にわたる第1章を終え、これからスタートする第2章ではさらなる音楽的進化とともに、欧米での人気も確かなものにする……この日のライブを観た限りでは、それもそう遠くない将来に実現してしまうのではないか。そう思わずにはいられなかった。


(写真=橋本塁[SOUND SHOOTER]、浜野カズシ、JulenPhoto)


■西廣智一(にしびろともかず)
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。


■セットリスト
『ONE OK ROCK 2018 AMBITIONS JAPAN DOME TOUR』
4月4日(水)東京ドーム


01. Taking Off
02. 未完成交響曲
03. キミシダイ列車
04. Cry out
05. The Way Back
06. Bedroom Warfare
07. Clock Strikes
08. One Way Ticket
09. 内秘心書
10. Wherever you are
11. Last Dance
12. 【INST】
13. Deeper Deeper
14. I was King
15. Take what you want
16. The Beginning
17. Skyfall
18. Mighty Long Fall
19. Nobody’s Home
<アンコール>
20. Change
21. 完全感覚Dreamer
22. We are