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勤務先の風俗店で「確定申告禁止」を命じられた! 源泉税を着服する店への対応は?

2018年04月29日 11:12  弁護士ドットコム

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風俗店で働くつもりだが、お店に確定申告をしないように言われているーー。税理士ドットコムの税務相談コーナーに「本業で青色申告をしているので、風俗の収入についてもしっかりと確定申告をしたい」と相談が寄せられた。


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店側は、従業員の給与について申告していないので、相談者が確定申告をしてしまうと、不都合が生じるようだ。また、風俗業界では確定申告をしない人が多いと諭されたという。


このまま確定申告をしない場合、どうなるのか。どう対応すればいいのか。松本崇宏税理士に聞いた。


●風俗店が確定申告を嫌がる理由

そもそもなぜ、店は確定申告を嫌がるのか。


「お店が女性に確定申告をしないように求めるのであれば、まず疑わしいのはそのお店が源泉税をきちんと税務署に払っているのかという点になります。


働いているお店に雇用されている場合や、キャバクラのホステスさんである場合には報酬として支払われている場合でも、その給料や報酬から源泉税が差し引かれることになります。差し引かれた源泉税は預かったお金ですので、お店が税務署に支払わなければならないのですが、お店が源泉税を支払わずに着服しているケースもあるようです。


女性が確定申告をする場合には、そのお店が預かって支払ったはずの源泉税を差し引いて税金を計算することになります。税務署は確定申告書に記載されたお店が源泉税を全く支払っていないことに気がついて、お店に確認を取ることもあるでしょう。これをお店の人は嫌がっているのかもしれません。


また、お店が脱税をしている場合等には、お店の名前等の情報を税務署に把握されるのを恐れている可能性もあります。このようなお店で働くことは後々問題に巻き込まれてしまう可能性がありますので、慎重に検討する必要があるでしょう」


●期限後申告や、税務調査で決定処分を受けると多額の罰金

確定申告をしないとどうなるのか。


「期限後申告となったり、税務調査で決定処分を受けた場合等は、多額の罰金がかせられることになります。また、青色申告の取消を受けることもあり、様々な特典を受けることが出来なくなりますので、確定申告はきちんと行うべきです。


たとえ、お店が確定申告をしなくて良いと言っても、税務署からお尋ね等が来た場合にお店が代わりに回答してくれる訳ではないと思いますし、罰金を受けた場合に、お店が代わりに払ってくれることも無いと思います。


確定申告に関していえば、本人の問題ですので、税務署の問い合わせは当然本人に連絡が行きますし、罰金を払う義務があるのも本人となります。自分の責任は自分でしっかり義務を果たすべきです。しっかりと自分の意志で確定申告を行いましょう」


●毎日の収入金額をノートに記録しよう

このような店で、どう確定申告をすればいいのか。


「女性が確定申告をすることを嫌がるお店なら、源泉徴収票や支払調書も出してくれない可能性が高いと思います。支払調書等がもらえれば確定申告はスムーズに出来ますが、出してくれない場合は、きちんと毎日の収入金額をノートに記録して残しておきましょう。少しめんどくさいですが、その日にもらったお金は使わずに一度その全額を銀行等の口座に入金するのも良いでしょう。


ただ、もらったお金は源泉税等が差し引かれた後の金額ですので、もらうべきお金の総額や源泉税の金額等が分からないかもしれません。お店と約束している金額がいくらなのか、雑費控除を取られているならどのようなルールになっているか等を確認すればある程度の計算は出来ると思います。


もし、自分で計算するのが難しい場合は、税理士に一度相談してみてはいかがでしょうか」


【取材協力税理士】


松本 崇宏(まつもと・たかひろ)税理士


「デリヘルはなぜ儲かるのか」(小学館文庫)の出版を機に日本で唯一、風俗業種に特化した税理士事務所。全国の風俗業の税務申告、相談の対応をしている。「風俗オーナー限定 最強の『節税』」(幻冬舎)が平成29年6月に発売。平成30年夏に、国内4店舗目となる大阪事務所がオープン予定。


事務所名   : 税理士法人松本


事務所URL: http://hime-tax.com/


(弁護士ドットコムニュース)