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中谷美紀vs木村多江、“マウンティング妻”はどっち? 『あなたには帰る家がある』修羅場勃発へ

2018年04月28日 15:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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「私、信じてますから。夫の帰ってくる家は私のところだって」


 クレジットカード明細に記載された、夫が浮気をしている99%クロな証拠。キャッチせずにリリースか、それとも……。金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)の第3話。佐藤真弓(中谷美紀)は、夫の秀明(玉木宏)を疑いながらも、娘・麗奈のために離婚だけは避けたいと必死に取り繕う。真弓自身も両親の離婚を経験したことから、見て見ぬふりをすることで家族を守ろうとしていたのだ。


 結婚して13年。毎日同じ家で「おはよう」を言い合い、同じご飯を食べ、一緒に子育てに奮闘した。その夫婦の歴史を前に、1回や2回の逢瀬など所詮火遊びにすぎない、と。だが、その言葉が秀明の浮気相手・茄子田綾子(木村多江)に火をつけてしまった。「私、家庭を捨てるつもりないです」と言っていたにも関わらず、綾子は大胆な行動に出る。秀明から借りた映画のDVD『雨に唄えば』の歌を真弓の前で口ずさんだのだ。


 秀明の相手は職場の若い女性・森永(高橋メアリージュン)だと思いこんでいた真弓。「お世話になってます」という意味深な言い方、SNSにアップした写真に写る秀明とも見える男性の手……真弓から見れば、森永の言動が、秀明に愛されて幸せだというアピールをする“匂わせ女”に見えたのだ。だが実際は、そのどれもが浮気を100%クロにしたくない真弓の、1%の望みを含んだ証拠集めでしかなかった。ところが、綾子の歌こそまさに確信犯の匂わせ女だ。言葉にこそしないものの、明らかな宣戦布告だ。真弓の中で、パズルのように疑惑のピースがハマっていく。


 疑っても地獄、知っても地獄。綾子の夫・太郎(ユースケ・サンタマリア)は、バレないように嘘をつき通すのが浮気をした男のマナーと話した。だが、“女の勘”と呼ばれるセンサーは、否が応でも働いてしまう。それは、男が取る行動の詰めの甘さというよりも、そこに見え隠れする女の匂い=愛されアピールが鼻について仕方ないのだろう。


 綾子を一言で表すなら、モラハラ夫に耐える献身的な妻。だが、もしかしたら実際はそんな風に匂わせることで自分の価値をブランディングしているのかもしれない。思ったことを直接的な言葉でぶつけてくる真弓を、秀明は「マウンティング妻」と言った。だからこそ相手を立てる綾子に惹かれたのだが、綾子も物言わずして相手の上に立つマウンティング女と見れなくもない。バーベキュー場に真っ白なロングスカートでやってきたのも、完璧な手料理を大量に持参して「(場所を)占領しちゃって」と謝ってみせたのも、真弓よりも可憐で女らしいことを匂わせる。『雨に唄えば』を口ずさんだ今、相当の策士と見た。


 夜、太郎が「おい」と声をかければ、その合図として従順に応じていた綾子。しかし、今回は「気分じゃないの」と断ってみせた。なんでも「あなたのおかげです」と仕えさせられているように見せて、実は太郎を泳がせていたのは綾子なのかもしれない。厄介な性格の太郎と常識的な綾子という茄子田夫婦の印象は、綾子の作った印象操作なのではないだろうか。そして、息子・慎吾の「もう関わらないほうがいいよ。うち、普通の家じゃないから」という言葉が、さらに謎を深める。


 次週、真弓は真弓らしく綾子と直接対決を挑む。予告によると綾子はひるむどころか、秀明が好きなメンチカツを大量に持って真弓の会社を訪れるという……これは一体、何アピールか。ストレートな物言いの真弓と、物言わずして惑わす綾子。タイプの異なる女の対決は、もはや秀明を奪い合うというよりも、どちらが女として勝つのかという戦いに見えてくる。いわゆる夫と肩を並べて対等に付き合う妻か、それとも一歩下がって夫をリリースする妻か、“幸せな女”を争うタイトルマッチのようだ。(佐藤結衣)