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ヒットシングルは“バラエティ豊かな収録曲”がキーに KAT-TUNら並ぶ最新チャートから考察

2018年04月28日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2018年4月30日付週間シングルランキング(2018年4月16日~2018年4月22日 ・ORICON NEWS)


 今週のオリコン週間チャートは1位がKAT-TUN『Ask Yourself』、2位がラストアイドル(シュークリームロケッツ)『君のAchoo!』、Juice=Juice『SEXY SEXY/泣いていいよ/Vivid Midnight』という順位結果となった。


(関連:KAT-TUNが何度も問いかけ導き出した答えーー今夜『Mステ』で「Ask Yourself」披露


 1位のKAT-TUNは前作の『UNLOCK』以来約2年ぶりとなる復帰作で、3人体制での初の作品となる。今回、シングル扱いながらも全形態を合わせると7曲分(オリジナルカラオケを除く)が収録され、ほぼミニアルバムのようなリリースとなった。


 表題曲「Ask Yourself」は、跳ねるベースと重厚なエレクトロサウンドを土台にドラマチックな弦のアレンジが光る楽曲となっている。サビの冒頭では彼らの歌声だけでなく低音部がしっかりと強調されていて、全体の音像としては黒くダークな印象を受ける非常にKAT-TUNらしい楽曲だ。例えばベースの音色ひとつとっても、KAT-TUNのグループカラーを感じ取れるものとなっている。ところどころセクシーに歌い上げるボーカルも特徴的だろう。


 彼らのこうしたイメージを決定付けたのは言うまでもなくデビュー曲の「Real Face」だろうが、あの曲で<リアルを手に入れるんだ>と歌った彼らに今、<追いかけても すり抜けてく 真実の居場所><雲の隙間から差し込む 柔らかな光はReal?>と歌わせるのはなかなか面白い仕掛けだ。まさにそのデビュー曲「Real Face」の3人バージョンとなる「Real Face#2」が収録されていたり、通常盤のカップリングには他にも「Sweet Birthday」といった曲名もあり、新たなKAT-TUNのスタートを予感させるものとなっている。


 さらに通常盤の初回プレス仕様ではメンバー3人それぞれのソロ曲が収録。中でも、シンガーソングライターの大森靖子が作詞作曲にクレジットされた上田竜也による「俺メロディ」は激しいメタルアレンジの施されたパワフルな楽曲だ。表題曲のみならず、こうした充実したカップリング曲が揃ったシングルである。


■バラエティ豊かな収録曲がカギ?
 一方、2位のラストアイドル『君のAchoo!』も表題含め全6曲が用意されたシングルを発売している。みずみずしいピアノが印象的な「君のAchoo!」から、爽やかなEDM「風よ吹け!」、ミュージカル調の「スリル」など音楽性の幅は広い。歌唱担当もそれぞれ異なるユニットなので、楽曲からも“推し”を選べる作りだ。


 続く3位のJuice=JuiceはトリプルA面のシングル。毎回ハロー!プロジェクトの関連作からは楽曲制作に注ぐ意欲の強さを受け取れるが、今作もそれは健在。つんく♂作詞作曲の「SEXY SEXY」は海外EDM系プロデューサーを彷彿とさせるサウンドで、LDN Noiseあたりを引き合いに出したくなる洗練された音作り。バラードの「泣いていいよ」やポップでダンサブルな「Vivid Midnight」も見逃せない。


 以上のように今週のチャート結果は、表題1曲だけがメインではないバラエティ豊かなパッケージが上位に名を連ねている。消費者が自分好みの商品を選びたい時代。もはやシングルだとしても、“1曲や2曲で勝負する時代は終わった”のかもしれない。(荻原 梓)