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THE RAMPAGEは音楽シーンのど真ん中で大暴れするーーグループの革新性を考察

2018年04月27日 19:12  リアルサウンド

リアルサウンド

 THE RAMPAGE from EXILE TRIBEは、その名の通り音楽シーンのど真ん中で“大暴れ”するグループになるーー3月28日にNHKホールで開催された、初単独ライブツアー「GO ON THE RAMPAGE」の東京公演は、そう確信させるに十分なほどの強いインパクトがあった。ハイスキルなソロダンスから幕を開け、息つく間もなくデビュー曲「Lightning」のパフォーマンスへと繋げる完璧な流れ。16人体制による壮大なフォーメーション・ダンスを見せつつ、3人のボーカルが時にラップパートを交えつつ次々とマイクリレーをしながら歌い繋ぐスタイルは、まさに唯一無二である。本稿では、そんなTHE RAMPAGEがいかに革新的なダンスボーカルグループであるかを、音楽性、ダンス、EXILE TRIBEにおける位置づけという三つの視点から読み解いてみたい。


参考:THE RAMPAGEが語る、16人体制パフォーマンスの強み「いろんな掛け算が僕らの中だけでできる」


■先鋭的かつポップな音楽性


 THE RAMPAGEの楽曲の新しさは、常に最新の洋楽のトレンドを取り入れつつも、J-POPのキャッチーなメロディセンスを落とし込んだ独自のシンギング・ラップを3人ボーカル体制で実現したことによって、ジャンルレスな音楽性を築き上げた点にある。


 たとえば、デビュー曲の「Lightning」のトラックは、メジャー/アンダーグラウンドを問わずにヒップホップシーンに確かな足跡を残してきたビート職人・SKY BEATZによるもので、エレクトロの要素をふんだんに取り入れたサウンドは、現行のUSヒップホップにも引けを取らない迫力がある。この攻撃的なトラックの上で、川村壱馬、RIKU、吉野北人といういずれも個性的なボーカリストが、ラップ混じりのリズミカルなボーカルを次々と披露するのである。ヒップホップとJ-POPが融合した楽曲は、今や珍しいものではないが、THE RAMPAGEのようなスタイルはこれまでになかったものだろう。


 続く2ndシングル曲「FRONTIERS」では、BPMを一気に120オーバーまで早めたビートに、ディストーションギターを効かせたサウンドで、前作で見せたTHE RAMPAGEならではのスタイルをさらに明確にしてみせた。3rd「Dirty Disco」では一転、ディスコミュージックを現代的に再解釈したファンキーかつ華やかな楽曲で新たな一面を見せたかと思えば、4th「100degrees」では原点回帰するかのようなヒップホップのビートの上で、R&Bシンガー・JAY’EDによるリリックを勇壮に歌い上げ、そのスタイルを完全に確立した。


 4月25日にリリースされたばかりの新曲「Fandango」もまた、洋楽のトレンドを押さえた楽曲で、今回はラテン・ミュージックのテイストが注入されている。〈歌い狂う〉〈踊り狂う〉との意味が込められた同曲は、エキゾチックなサウンドもさることながら、粘りつくようなフロウも特徴的で、アダルトな色気さえ漂う仕上がりだ。


■16人体制による圧巻ダンスパフォーマンス


 THE RAMPAGEはEXILE TRIBEのグループらしく、ハイスキルなダンスパフォーマンスを得意としているのだが、特筆すべきはその人数である。16人のメンバーが次々とフォーメーションを変えながら、コンビネーションも交えつつ繰り広げる複雑な群舞は圧巻で、ストリートダンスの新たな可能性さえ感じさせる。また、真剣に踊っていたと思ったら、突然おふざけ的なコミカルな動きを披露することもあり、そのギャップに笑わせられる。シンプルで大きな振りを、ユニゾンで見せられた時には、その大迫力に気圧されそうにさえなる。


 LDHが運営する総合エンタテインメントスクール「EXPG STUDIO」の出身者が多いTHE RAMPAGEのメンバーには、若くしてベテランダンサー並みのスキルを持つものも多い。また、メンバーそれぞれに得意なダンスのジャンルが異なっているのも特徴で、たとえば陣はポッピング、LIKIYAはR&B、武知海青はクランプ、といった具合だ。ライブでは、この得意ジャンルの違いを活かし、各メンバーが様々なスタイルで競い合うダンスバトルも披露されている。人数の多さ、その多様性によって表現の幅を広げられるのも、THE RAMPAGEの強みである。もちろん、一人ひとりのメンバーがどんなパフォーマンスを得意としているのかを掘る楽しみもあり、知れば知るほど楽しくなっていくも、このグループの大きな魅力である。


■Jr.EXILEとして躍進の一年に


 EXILE TRIBEというクルーは、全グループからの精鋭たちが集まったEXILE、その中心的メンバーによるEXILE THE SECOND、いまやトップアーティストに上り詰めた三代目J Soul Brothersなどのグループが牽引していて、GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICSなどの「EXPG STUDIO」出身のメンバーらが集う若手グループは、EXILEに憧れ、その意思を継ぐグループとして“Jr.EXILE”とも呼ばれている。


 THE RAMPAGEにも、EXILEら先輩グループの意思は引き継がれており、ライブではEXILEの楽曲をカバーすることもある。しかし、後進グループの宿命として、先輩たちの辿ってきた道筋を同じように進むだけでは、大きな支持を得ることはできない。だからこそ、彼らは常に挑戦をして、先輩グループとはまた異なる新しいエンタテインメントを模索している。結果として、そのパフォーマンスは日々更新されることになり、THE RAMPAGEというグループの魅力に、さらに磨きがかかる。もちろん、GENERATIONSやFANTASTICSなど、同じJr.EXILE同士で切磋琢磨することも、彼らのレベルアップに繋がるだろう。こうした好循環が生まれるのも、EXILE TRIBEというクルーならではの強みだ。


 THE RAMPAGEは現在、先述のツアー「GO ON THE RAMPAGE」の真っ最中で、全国47都道府県を巡っている。その旅を終えた時にはきっと、EXILE TRIBEの一員としても、アーティストとしても、いっそう頼もしい存在になっているはずだ。(松田広宣)