人材育成サービスのトーマツ イノベーションは、2018年度入社の新入社員の「キャリアに対する意識」について調査を行い、4月26日に結果を発表した。
調査は東京・横浜・名古屋・大阪で同社が開催した新入社員研修の受講者4863人を対象に、2018年4月3日~16日にアンケート形式で実施。男女比は、男性57.1%、女性41.8%、不明1.1%。所属企業の従業員数規模は、101~300人が40.6%と最も多く、次いで301人以上が21.4%、51~100人が20%、50人以下が10.9%となっている(不明は7.1%)。
オンラインのインターネット調査ではなく、入社間もない新入社員が研修を受けた際の心境が反映されており、興味深い。(文:okei)
「今の会社で働き続けたいかわからない」が過去最高に
同調査は2014年度から毎年実施しており、5回目となる2018年は「就社意識がますます低下している」「ワークライフバランスを重視する傾向が高くなっている」などの傾向が明らかになった。
「今の会社で働き続けたいですか?」との質問に対する回答は、以下の通りだ。
1位:「できれば今の会社で働き続けたい」(53.8%)
2位:「そのうち転職したい」(16.7%)
3位:「いつかは起業したい」(6.8%)
次いで、「家庭に入りたい」(3.7%)、「フリーランスとして独立したい」(2.9%)。「わからない」は16%だった。
上位3つに変動はないものの、「できれば今の会社で働き続けたい」(53.8%)という回答は、2015年には63.4%と6割以上で、3年連続で減少している。一方で「そのうち転職したい」(16.7%)は前年度より1.5%増え、「(今の会社で働き続けたいか)わからない」(16%)とした人は過去最多となった。
入社早々の研修中でも、転職や起業を念頭に置いている人や、今の会社で長く働くかは「決めていない、わからない」と考える人が増えているのだ。
同調査では「求職者優位の売り手市場やフリーランスの台頭などの影響もあるせいか、就社意識がわずか数年で大きく低下している」という点に注目している。
「仕事・成長のためにできるだけたくさん働きたい」は1割のみ
ワークライフバランスを重視する傾向も高くなっている。「今後3年間の会社での労働時間について」選択形式で聞いたところ、男女ともに「定時に帰りたい」(42%)が4割以上となり、4年連続で増加。2位の「週に2~3回の残業まで」39.3%(4年前は43.5%)と逆転し、今回初めて1位になった。「仕事・成長のためにできるだけたくさん働きたい」は12.8%で、4年前(21.2%)と比べて減少し続けている。
「働き方改革」の機運が高まる中、今の新入社員にとって、長時間労働を強いる企業のイメージは良くない。同調査では「『できれば定時に帰り、自分や家族との時間を大切にしたい』と考える人が増加していることが改めて結果として現れました」としている。
今後も会社に対する帰属意識、就社意識はますます低くなっていくだろう。長時間労働で過労死のニュースが相次ぐ昨今、その渦に飲み込まれず自分を大切にしたいと思うのは当然だ。また、人生100年時代と言われるなかで、研修中の新入社員と言えど「同じ会社で一生安泰」などと思ってはいないことも、今回の調査で垣間見えたのではないだろうか。