2018年04月27日 11:02 弁護士ドットコム
新幹線特例法に違反した容疑で大学職員が逮捕されたとの報道が4月24日、毎日新聞などであった。事件報道ではちょっと耳慣れない法律に基づく逮捕だが、新幹線特例法とはいったいどういったものなのか。
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新幹線特例法はわずか4条の法律で、鉄道営業法の特例法という位置づけ。「新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法」というのが正式名称だ。新幹線の運行に関する設備を壊したり、線路上に物を置くなどして運行の妨害をしたり、走行中の新幹線に向かって何かを投げたりした行為を処罰する規定が並んでいる。
報道によると、今回の事案は、静岡大職員の男性が4月23日午後10時20分ごろ、JR静岡駅の東海道新幹線下りホームで、持っていたバッグを線路の中に蹴り入れて新幹線の運行を妨げた疑い。仕事帰りだった男性は酒を飲んでおり、「覚えていない」と逮捕容疑を否認しているという。これにより静岡駅発着の新幹線は、上りで約7分、下りで約4分遅れたという。
新幹線特例法は、運行の妨害となるような方法で物を線路上に置いたり、これに類する行為を行った者の刑罰を「1年以下の懲役または5万円以下の罰金」と定めている(3条1項)。男性がしたとされる行為は、この条文に抵触したとみられる。
静岡県警に適用条文を尋ねたところ、広報課の担当者は法律の正式名称を読み上げた。適用条文を確認したいと伝えると、「普段接している県内の記者以外にはお答えできない」(同担当者)とのことだった。
職員の逮捕を受け、静岡大は4月24日、「教育機関として、職員が逮捕されるという事は誠に遺憾であり、関係者のみなさまに多大なご迷惑をおかけしました事を心からお詫び申し上げます。 今後は取り調べの状況を見守り、事実関係が明らかになった時点で、大学として厳正なる対処をしていく所存です」とコメントした。
(弁護士ドットコムニュース)