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大野拓朗の不可解な言動にモヤモヤ? 『正義のセ』吉高由里子との別れを考える

2018年04月26日 16:32  リアルサウンド

リアルサウンド

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「結婚するって、相手の夢を一緒に見ることだと信じてたんです」。


 4月25日に放送された『正義のセ』(日本テレビ系)の第3話。物語は、2年目の駆け出し検事・竹村凜々子(吉高由里子)が、結婚詐欺事件を担当することから始まる。その事件は、被疑者である沢井七美(磯山さやか)が、婚活パーティーで出会った自称・IT企業社長の藤堂真一(本名・鈴木正夫/三浦貴大)から、1,000万円を騙し取られてしまったというもの。


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 凜々子と同じく港南支部の検事である大塚仁志(三浦翔平)は、こんなことを言っていた。「殺人犯や窃盗犯は自分で悪いことをしているという自覚がある。だから、取り調べも意外と素直に応じて真実を話す。それに比べて詐欺犯は、ウソをつくことに対しての罪悪感は微塵もない。罪の意識のないウソを暴くのは大変なんだ」。だからこそ、結婚詐欺は起訴に持ち込むのが難しいという。だが、凜々子の捨て身の捜査により、証拠である1,000万円を見つけ出して、無事に鈴木を起訴することができた。一件落着だ。


 しかし第3話では、結婚詐欺事件と並行して、凜々子と4年付き合ってる彼氏・中牟田優希(大野拓朗)の恋愛模様も描かれており、そちらは波紋を呼ぶ展開になった。今回の事件の捜査が難航しているときに、突然優希からプロポーズされた凜々子。しかし、凜々子は優希が真剣にプロポーズしている傍で、たまたま見つけた被疑者・鈴木が気になって仕方ない。ついには「すっごく大事なことなの!」と席を立ち、鈴木を追いかけてお店を飛び出してしまう。


 一人お店に取り残された優希はため息をつき、「こっちも結構大事な話だったんだけどな……」と渡せなかった指輪を見つめながら呟いた。優希はプロポーズするために“Adelina”という高級レストランを予約。それなのに、凜々子は終始上の空だった。加えて「何でこんなとこに?」と凜々子が鈴木に向かってした発言を優希は自身が非難されたと勘違いしてしまう。そして、凜々子と次に会ったときに優希は「別れよう」と切り出すのだった。


 つい先日まで「どんなに忙しくてもさ、一緒に住んでれば会えないってことないだろ?」「俺、凜々子とならずっと楽しく暮らしていけると思うんだ」と凜々子との未来を夢見ていた優希。しかし、数日後には「検事の仕事あんなに必死で頑張ってる凜々子を見たらさ、“俺と仕事どっちが大事?”なんて……言えないよ」と“正義の味方になりたい”という凜々子の夢を一緒に見ることはできないことに気付き、別れを告げる。


 「凜々子の気持ちがよくわかったから」という優希の言葉を聞いて、凜々子が家族に話していた「人の気持ちは証明できないでしょ?」を思い出す。本当の気持ちは本人以外の誰にもわからない。だから優希も凜々子の本心がわかるはずがない。そして、凜々子もまた優希の言葉が本当なのかウソなのかを知ることはできない。だが、きっと彼は「凜々子のせいじゃないよ」と言っていたように、あくまで自分の中で凜々子との関係性に終止符が打たれたから、別れを決意したのだろう。そのきっかけの一つに、凜々子が自分より仕事を優先するというものがあったにすぎないのではないだろうか。


 凜々子が横浜地検で働く前、大阪に赴任していた1年間、ほとんど会えない状況でも優希は凜々子を応援し続けていた。そして、優希曰く浮気もしていない。それは優希だけでなく凜々子も同じだ。お互いがお互いの夢を理解し、信頼しあってたからこそ、遠距離の期間も含めて4年間も付き合っていた。しかし、人の気持ちはいつどんなきっかけで変わるかわからない。


 思い返せば第1話冒頭から、凜々子は優希とのデートをすっぽかし、第2話でもデートの途中で仕事に走って行ってしまった。その度に優希は笑顔で「大丈夫!」と言っていたが、その言葉はウソだったのかもしれない。優希はただ凜々子と一緒にいられる時間を増やしたかった。だから凜々子が横浜に赴任すると知ったときには、これからはたくさん会えると期待したことだろう。だがその期待が何度も裏切られ、我慢ばかりが蓄積されていった。そして少しずつ凜々子とのボタンが掛け違いになっていき、今回の出来事でついに修復が効かないところまできてしまったのだろう。優希はもう凜々子との未来を一緒に夢見られなくなってしまったのだ。


 だが、プロポーズした直後に別れを告げるという優希の不可解な言動には、やはりモヤモヤが残る。(文=戸塚安友奈)