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WEC、開幕戦のLMP1エネルギー規定数値を改定。トヨタとプライベーターの差が縮小

2018年04月26日 12:01  AUTOSPORT web

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ポール・リカールで行われた2018/19年WEC”プロローグ”の様子
WEC世界耐久選手権は2018/19年シーズン開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースで採用されるLMP1マシンの性能を均一化させる規定、EoT(Equivalency of Technology)の改定を発表。これにより、プライベーターチームが使用するノンハイブリッドマシンの燃料エネルギー量などが削減され、トヨタのハイブリッドマシン『トヨタTS050ハイブリッド』との規定数値幅が減少している。

 4月16日付けで公布された今回のEoTは、4月6~7日にフランスのポール・リカールで行われたWEC公式テスト“プロローグ”の結果を受けて変更がなされたもので、その内容は、レベリオン・レーシングやSMPレーシングら、プライベーター勢が使用するノンハイブリッド車における1周あたりのエネルギー量と搭載燃料量を削減するもの。

 その削減割合、ならびに削減量はエネルギー量(MJ/Lap)で約14%、最大ガソリン搭載量では6.9kgとなっている。

 一方、TOYOTA GAZOO Racingが走らせるトヨタTS050ハイブリッドの数値は、2017シーズンから変更しないという方針を継続。これによって、ハイブリッドマシンがノンハイブリッドマシンに対して負っていたエネルギー量のハンデは69%から49%に減少することとなった。

 また、ガソリンの最大搭載量はトヨタが35.1kg、プライベーター勢が54.0kgとなっていたが、後者の数値が47.1kgに削減されたことで、こちらの割合も53%から34%に縮小している。

 なお、このほかの規定項目である最低車両重量、最大燃料流量については変更されていないが、あわせて発表された給油リストリクター径は、ノンハイブリッド車がφ22.30mm、ハイブリッド車がφ20.40mmとされた。

 プロローグのタイムシートの上位を占めたのは2台のトヨタTS050ハイブリッドであったにも関わらず、「なぜ、トヨタの後塵を拝したノンハイブリッド車の性能を抑制するのか」という疑問が生まれるが、これに関してはトヨタがテスト後に、クーリングシステムのテストを行なうため、EoT規定の数値を無視した仕様で走行していたと説明。

 トヨタのトップタイムはその際に記録されたものだと考えられており、WECは事前に定められたEoTの範囲内で最速タイムを記録したのはSMPレーシングの11号車BRエンジニアリングBR1・AERだったとみている。

 また、WECは2018年のル・マン24時間レースに採用するEoTに関して、まだ最終版をリリースしていない。開幕戦スパの結果およびレース中のテレメトリーデータ、さらに6月3日に行われるル・マン・テストデーの結果を元に、本戦で使用するEoTが決定するとみられている。

2018/19年WECプロローグEoT(3月27日版)
ノンハイブリッドノンハイブリッドハイブリッドエンジンタイプ自然吸気ターボターボMGU放出エネルギー00<8MJMGU放出パワー00<300kW最低重量833kg833kg878kgエネルギー量99.5MJ/Lap99.5MJ/Lap58.9MJ/Lap最大燃料流量110.0kg/h110.0kg/h80.0kg/h最大燃料搭載量54.0kg54.0kg35.1kg給油リストリクター径23.50mm23.50mm22.05mm

2018/19年WEC第1戦スパ・フランコルシャン6時間EoT(4月16日版)
ノンハイブリッドノンハイブリッドハイブリッドエンジンタイプ自然吸気ターボターボMGU放出エネルギー00<8MJMGU放出パワー00<300kW最低重量833kg833kg878kgエネルギー量106.4MJ/Lap106.4MJ/Lap71.3MJ/Lap最大燃料流量110.0kg/h110.0kg/h80.0kg/h最大燃料搭載量47.1kg47.1kg35.1kg給油リストリクター径22.30mm22.30mm20.40mm