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【ブログ】番外編Shots!:小林可夢偉に聞く『今の本音』。スーパーフォーミュラとF1、WECの違い

2018年04月25日 20:11  AUTOSPORT web

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写真
 F1でお馴染みのカメラマン、熱田護カメラマンがスーパーフォーミュラ開幕戦の鈴鹿に来場。F1時代から親交の深い小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)の今、そしてWEC、さらにF1についてまで、幅広く直撃。熱田カメラマンの味わい深い写真とともに、ご覧ください。

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 小林可夢偉選手を撮りにスーパーフォーミュラ開幕戦、鈴鹿に行ってきました。

 今年で4年目の参戦となるSFですが、まだ未勝利の可夢偉選手。可夢偉選手ファンの人もそうでない人も、F1で大活躍し、WECでも速さを見せる可夢偉選手がなぜスーパーフォーミュラ(SF)で勝てないのか、疑問に思っている人も多いと思います。

 僕は、F1の合間に行ける時はSFに行き可夢偉選手の撮影をしています。F1の時と違って、ガレージの中でエンジニアさんたちとの会話も聞くことができて、すごく楽しい時間なんですけど、当の可夢偉選手がなかなか勝てない。なぜなのか?

 そのスーパーフォーミュラのことだけでなく、今のトロロッソのこと、WECのことを鈴鹿で聞いてきました。



 まずは、スーパーフォーミュラを4年やって未勝利、どうしてなんだろ?

「ね! 僕も知りたい(笑)。このSFに関しては3年連続セルモがチャンピオンを獲っています。インパルとかトムスもサーキットによって速いこともあるんですよね、僕は去年、もてぎでは勝てていたんですけど、ピットインの時に手間取って勝てなかった。残念ながら運が少ない」

「1年に1回勝てるチャンスがインパル、トムスにもあって、去年のもてぎでは僕らにあった。でも、相対的に見たらシーズンを通すとセルモが強い。チームの総合力というのは、大きな要素であるのは間違いない。SF参戦は最初チームルマンで戦って、去年からKCMGというそれまで1ポイントも獲れていないチームに来たのは、このチームを強くしたいなという気持ちもあったし、やりがいを感じたからなんです」



「去年、WEC参戦との関係で、シーズン前にこのKCMGでたった一度のテストしかできなかった。スーパーフォーミュラはそんなに甘くないだろうと思っていたけど、最終的にまあまあいいところまでいってるんですよね。ミスさえなければトップ3くらいのところにいたんです。だから、今年はちゃんと準備していけばもっと上にいけるんじゃないかと思っていたら、今年はまさかのホンダ勢が速い! 人生甘くないなというのを改めて感じているところっすよ……」



「SFって同じものを使っているからこそ、チーム力がすごく大事なところがある。簡単な世界ではないけれど、なんとかここで結果を残して、自分の仕事ができるようにやってるんですけどね……」



「チームとしては確実に強くなって、勝てるチームに一歩一歩近づいている感触はあります。ただ、このチームは1台体制なので2台体制のチームに比べて劣る部分はあります。でも、次のステップにいけるようにまず結果を出そうとしているところ、速さをみせるところをやっていって、間違った道ではなくて、ちゃんとした道に一緒に進めればいいなという気持ちでいます」



「スーパーフォーミュラのレースって、ポイントを落とさないことが重要なんです。1回勝ったらチャンピオンの可能性がすごく高くなる。KCMGも、実質ポイントを取れるポジションにいないことはないと思うんですよね。去年でさえ、そのポジションにいないわけでもなかったから。今年は、そういうことを分かった上で、自分たちの好みのクルマを作ってレースに挑みたいですね」



「スーパーフォーミュラってタイムは速いけど、基本的にはチーム体制などはF3の延長線上にある。F1やWECのレベルでやっているのは大きく違います。全体の予算が大違いだから当たり前なんですけどね」

「僕がF1にいた時は、『これと、これと、これ』って改善したい部分を伝えてたら、一晩明けて次の朝、バンってそこに答えがあるというような環境でした。そういったクルマの解析の部分で言えば、SFは搭載しているセンサーも少ないから、僕が言ったことで、たぶんこうなのかなと……人間コンピュータ状態です」

「そういう意味ではF1、WECはドライバーはすごく楽なんですよね、エンジニアさんがいっぱいいて、解析してくれる人がたくさんいるから希望を言えば、すぐに実現してくれるんですよ。でもSFはスタッフの人数も限られているので、『なんでだろう?』と、分からない部分が多い状態なんですよね」



「なので、たとえば、僕がこう言ったら、エンジニアがこう変えてくれるんだろうなとか、エンジニアがこう言ったらこういうことなんだろうなとか、お互い読み取りながら進める、感覚みたいな部分がすごく大事。データには頼っているけれども、日本ってエンジニアとドライバーのマッチングがすごく大事なんです」

 と、ひととおり可夢偉選手のスーパーフォーミュラの話を聞いてみると、同じ車体と同じタイヤを使ってやるからこそ、ドライバーとチーム力が一緒にかみ合わないと上位で戦うことも難しいということであるようです。



⇒次回、F1、そしてWEC編につづく

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熱田護(あつた・まもる)1963年生まれ。三重県鈴鹿市出身。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。2輪世界GPを転戦し、1991年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行う。
Mamoru Atsuta Photography