FIAは、F1チームがエキゾーストブローイングによって空力上のメリットを得ようとすることを警戒、そのためのエンジンモードを使用することを厳しく取り締まる旨、チームに対して通達した。
シングルシーターの技術面を取り仕切るニコラス・トンバジスが、全チームに対してエキゾーストブローイングに関するFIAのスタンスについて説明を行った。
今季ルノーF1はプレシーズンテストから、排気ガスを直接リヤウイングに吹き付けるような、上向きの排気管を導入してきた。現在のF1ではウイングに排気を吹き付けるようなデザインを阻むための規則があり、ライバルたちからはルノーのエキゾーストのレイアウトを疑問視する声が出てきたが、3月の時点で、F1レースディレクターのチャーリー・ホワイティングは、これは規則に則ったデザインであると断言。ただし、空力上のアドバンテージを得ることを目的とし、排気ガスをより有効な形で吹き付けるためのエンジンモードを使用することは許されないと付け加えた。
トンバジスが今回チームに通達したのは、ホワイティングのその発言に基づいた内容である。
トンバジスは、チームがレギュレーションで定められた範囲内で排気管のデザインを決めること自体は許されると明言した。その上で、コーナーで排気流を増加させるために特別に作られたエンジンモードは許容できないと述べている。純粋にパワーユニットのパフォーマンスあるいは信頼性を向上させるためのセッティングによって生まれる排気流のみが許容されるということだ。
しかしすべてを完璧にカバーする規則を作るのは困難であるとして、2018年については、ケース・バイ・ケースでエンジンモードの使用をコントロールし、FIAが許容できる範囲内に収まるようチームを指導していくと、トンバジスは述べている。
この問題が起きた背景として、トンバジスは、2017年のF1技術規則変更でリヤウイングの位置が低くなったことの影響を挙げた。
「2014年の規則変更の目的のひとつは、マシンの空力パフォーマンスに排気が及ぼす影響を完全に排除することだった」とトンバジスはチームへの通知書に記している。
「この目的は概ね達成されたが、2017年の規則の影響、主にリヤウイングの位置が低くなったことによって、リヤのダウンフォースへの排気の影響が戻ってきた。2011年から2013年当時の影響に比べるとずっと小さなものであるが、それでもこれは望ましくない」
FIAは、今シーズン中はこのような形で取り締まりを行い、2019年にはより厳格な規則を導入することを目指しており、すでにテクニカル・ワーキンググループで議論を行っている。しかしまだ十分なソリューションが見つかっておらず、エンジンモードの規制を行わずに済むよう、直接的に空力メリットを生み出すことのない排気管の位置を定めるため、さらなる議論を行っていくということだ。