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『あさイチ』卒業の井ノ原快彦、『特捜9』で“夜の顔”になるか? 12年間の成長を振り返る

2018年04月25日 12:22  リアルサウンド

リアルサウンド

 2006年から12年間愛され続けてきたドラマ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)。2017年6月にseason12が終わったが、1年間の空白を経て『特捜9』として生まれ変わり、再び9係のメンバーが集結した。そもそも9係とは、主に凶悪犯罪を解決していくために設置された部署のこと。これまで数々の難事件を解決してきたチームだったが、season12の最終話で解散することになった。


 そして今回の『特捜9』では、「早期事件解決を目指す“独立した捜査班”を結成する」という神田川宗次朗警視総監(里見浩太朗)の指示の下、V6・井ノ原快彦演じる浅輪直樹を中心にメンバーが再集結していく。日本の名作刑事ドラマの仲間入りを果たしていると言っても過言ではない『警視庁捜査一課9係』の続編として、『特捜9』が再び幕を明けた。


 放送当初、一巡査だった浅輪も今では渋谷中央警察署刑事課主任へ昇進し、井ノ原は主演という立ち場で本ドラマを引っ張っていく。4月11日に放送された第1話では、元9係メンバーたちの現在から物語が始まり、再び各々が集まる様子が描かれた。そして4月18日の第2話では、新メンバー・新藤亮(山田裕貴)が加わり、力を合わせて事件を解決。順調に物語は進んでいった。


 第1話、第2話を見てまず感じるのが、浅輪の成長ではないだろうか。以前は熱血な今どきの若者で、タッグを組んでいた加納倫太郎(渡瀬恒彦)係長に駆け寄ったり、熱のこもった喋り方をするシーンが多く見られた。だが、『特捜9』ではかなり落ち着いた様子を見せてくれている。かつての加納とのタッグを彷彿させるかのように若手の新藤と行動をすることが多いため、落ち着きが分かりやすく見えてくるのだ。


 例えば、配属されて張り切っている新藤が結論を先走っても、しっかり嗜めて事件解決に誘導。一方で、他のメンバーが新藤に強く当たっても、「まぁまぁ」と仲を取り持つこともある。まるで、自分が指導してもらったことを後輩に渡しているかのようで、『警視庁捜査一課9係』で培ってきた背景が垣間見えるのだ。


 また、演技面においても成長を遂げていると言えそうだ。もともとナチュラルな演技を見せる井ノ原だが、浅輪の成長・出世とともにさらにリアリティーが増している。刑事ドラマは状況説明のようなセリフが多く、棒読みになってしまったり、“説明している感”が出てしまうことがあるが、それも一切ない。ステージ上にいる“アイドル・井ノ原快彦”のオーラを消し、いい意味で刑事らしさを感じることができる。


 そして第2話でも、錯乱する犯人に対し一瞬呆れたような顔を浮かべて「悪あがきはやめろ。君は保身のために一番大切にしなければならない人を殺した。それだけが動かぬ事実だ」と、誠実かつ冷静に語りかけ、ベテラン刑事感を醸し出していた。一切の心配なく、安心して見ていられるのが『特捜9』の良さの1つになりそうだ。


 第1話の平均視聴率は16.0%、第2話は15.4%と好スタートを切った『特捜9』(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)。新キャラクターである謎多き班長・宗方朔太郎(寺尾聰)とも、どう関わっていくのか楽しみである。3月末で『あさイチ』(NHK総合)を卒業した井ノ原だが、『特捜9』は『あさイチ』に替わる名刺的な作品になっていきそうだ。次は“夜の顔”として活躍を期待したい。(高橋梓)