実験に使用されたGT-Rはダンディライアンがチューニングを施した 株式会社NTTドコモと日本電気株式会社(NEC)、日本電信電話株式会社(NTT)の3社は、時速305キロで走行する車両から28GHz帯の周波数において第5世代移動通信方式(5G)の無線データ転送に成功したと発表。この実験には全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGを運営する有限会社ダンディライアンも協力した。
携帯電話会社大手のドコモは2020年のサービス提供を目指して、『5G』と呼ばれる新たな移動通信システムの研究開発に取り組んでいる。この5Gは現在の4Gと比較してより早く通信が行えるようになるほか、低遅延化、複数端末への接続といった特徴を持つ。
今回、ドコモとNEC、NTTが行った実験は新幹線などの高速移動環境で5Gサービスを提供するためのもの。実験は4月8日、日本自動車研究所のテストコースで行われた。
時速300キロという高速移動環境を再現するために、実験ではニッサンGT-Rを使用。走行中の通信実験が行えるよう、ダンディライアンが搭載装置類の重量やバランスなどを考慮したチューニングを施したほか、走行オペレーションも担当した。
実験では、時速305キロで移動するGT-Rに搭載された5G移動局と、コース脇に設置された5G基地局間の5G無線データ伝送に世界で初めて成功したほか、時速200キロで移動するGT-Rの車内から、4Kハイフレームレート車載映像を5G移動局を通じてライブ中継することにも世界で初めて成功したという。
ダンディライアンとドコモはこれまで、走行中のドライバーの生体情報をリアルタイムに計測する実証実験などを行っているが、現代の生活には欠かせない存在となっている携帯ネットワーク網の開発にもレーシングチームがかかわっている点は興味深いところ。また将来的に5Gが普及していけばレース中の車載映像を4Kの高精細画質でリアルタイムに視聴できるようになるかもしれない。