VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの第4戦が4月20~22日の週末にフィリップアイランドで開催され、土日ともにDJRチーム・ペンスキーのスコット・マクローリン(フォード・ファルコンFG-X)が勝利し、見事な連勝劇を披露。またニッサン・モータースポーツのエースとして奮闘を続けるリック・ケリー(ニッサン・アルティマ)が、チーム史上初となる連続3位表彰台を獲得し、週末ダブルポディウムを達成した。
この第4戦フィリップアイランド500に先立ち、フォードのモータースポーツ活動をグローバルで統括するフォード・パフォーマンスと地元のフォード・オーストラリアが共同で、2019年から『フォード・マスタング』の投入を発表。
同社が誇る世界的スポーツカー・アイコンのシリーズ参戦というビッグニュースを経て最初のイベントとなったこの1戦は、予選からそのフォード系トップチームであるDJRチーム・ペンスキーの若手有望株マクローリンが躍動する。
チャンピオンシップのライバルである王者ジェイミー・ウインカップ(レッドブル・レーシング・オーストラリア/ホールデン・コモドアZB)を退け、見事にポールポジションを獲得してみせた。
一方、金曜プラクティスではマシンセットアップが定まらず、後方に沈む結果となっていたニッサン・モータースポーツのケリーは、土曜朝の予選に向けアルティマの方向性を大きく転換。その結果、予選で5番手と大きなジャンプアップを果たすことに成功する。
「当然のことだけど、金曜から土曜にかけては一晩中みんなで話し合って、マシンのトライ&チューンを繰り返したんだ」と、安堵の表情で語ったケリー。
迎えた土曜オープニングレースは、スタートでポールシッターのマクローリンがウインカップに弾かれドロップ。しかし秒差のギャップで王者を追ったマクローリンは、57周250kmのレースで最初のピットストップとなる17周目に先頭のレッドブル・ホールデンと同時にピットレーンに飛び込むと、ほぼ同時に作業を終えた2台がサイド・バイ・サイドの状態でファストレーンへ。
しかし、このとき先行したウインカップのマシンはピットレーン・リミッターの不具合か、制限速度の40km/hをわずかに超える42km/hで走行していたことがレース後に判明。
最終的には、その後2度のピットストップを経てレース残り3分の1を迎えたところで、マクローリンがコース上で王者を仕留めてターン2で首位に浮上するとそのままチェッカー。
2位にウインカップ、そして3位にはトップ2台に離されながらもニッサン・アルティマのケリーが入り、最後の表彰台を確保。その上で、王者ウインカップは先のピットレーン速度違反によりレース後に38秒加算のペナルティ裁定を受け14位まで後退。これでアルティマが2位繰り上げのボーナスを手にすることとなった。
続く日曜の予選でもポールを獲得したマクローリンに対し、アルティマも4番手セカンドロウと好位置を確保。
ケリーはレーススタートでも4番手でオープニングラップを終えると、7周目以降ピットロード・エントリーでストップしたジェームス・コートニー(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/ホールデン・コモドアZB)のマシン回収などで立て続けにセーフティカー(SC)が導入され、この間に首位浮上を果たす。
その後、カストロール・カラーのニッサン・アルティマは2度目のピットストップウインドウが開く29周目まで首位を維持すると、その後もマクローリン、2番手のデビッド・レイノルズ(エレバス・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)と秒差のバトルを展開。勝利こそ逃したものの、前日に続く3位表彰台スポットを確保する好走を披露した。
「今日、僕の勝利を犠牲にしたのは最初のスティントのタイヤ選択だったと思う。あれで少なくとも3秒はロスしていた」と、レース後に振り返ったケリー。
「次のスティントのタイヤは完璧でバランスも良く、後続とのマージンを3~4秒前後にキープするドライビングが簡単にできた。でも、最後のスティントでスコット(・マクローリン)とデビッド(・レイノルズ)がわずかにラップタイムでゲインし、最終的に3秒差で先行されてしまったんだ」
「でも、こうしてニッサン・アルティマがライバルのクルマをリードしてレースを引っ張ることができたのは今季初めてのことだ。これが他のサーキットでも再現できるよう、今回のバランスとデータを存分に活かしたいね」
一方、このレースで9位に終わったウインカップはポイントリーダーから陥落。首位に浮上したマクローリン、レイノルズらから大きく離され、ランキング5位まで後退することとなった。
次戦第5戦パース・スーパースプリントは、5月4~6日にオーストラリア西部パース近郊のバルバガロ・レースウェイを舞台に開催される。