アフロヘアーでお馴染みの元朝日新聞記者・稲垣えみ子さんが、スーパーやコンビニに導入されている自動支払機について記事で苦言を呈し、話題となっている。
稲垣さんは「アエラドット」に4月20日に掲載された記事『スーパーの自動支払機はお年寄りに残酷すぎる』で、スーパーの自動支払機にもたつく高齢者について言及。「もし客を不幸にする効率化ならば、それを本末転倒という」と主張した。
「効率化も大事ですが、なくしてはいけないものもあるのではないでしょうか」
稲垣さんは、操作に戸惑う高齢者に対して、「ただ日々の買い物をするだけで、まごまごさせられ、自分は世の中から取り残されているのだと公衆の面前で感じなきゃいけないなんて、なんと残酷なことでしょう」と同情を寄せている。
また人前で恥をかいた高齢者が買い物嫌いになるのではないかとも危惧。外出して買い物をするという営みは、「世の中とつながる大切な営み」であり、そうした営みから高齢者が遠ざかることが心配だという。
「効率化も大事ですが、なくしてはいけないものもあるのではないでしょうか。誰のために、何のために商品を売るのか。それは究極のところ人の幸せのためなのだと思います。もし客を不幸にする効率化ならば、それを本末転倒という」
効率化を進めてセルフレジが普及すれば、支払いに戸惑う人も一定数出てくる。高齢者は特にそうだろう。そこまでして効率化を推し進める必要があるのか、という主張だ。
稲垣さんの主張に賛成する人からは、「貧しい年寄りにとって、買い物は数少ない会話のチャンスだったりするのだけど、自動化は孤独を深めるのは確かだと思う」といった声が上がっていた。単に生活用品を購入するだけでなく、店員や馴染みの客との会話が高齢者には大切だということだろう。
レジの無人化を前提に「初めては誰でも手間取るだろうから、初心者に優しくしよう」
しかし、やはり違和感を抱いた人が大多数だ。初めは操作に戸惑ったとしても、「一ヶ月もすれば慣れる」「スマホですら使えてるんだからすぐ慣れるよ」という声が多かった。たしかに、最初は慣れなくても、電車の券売機が使えれば自動支払機も難なく使えるようになるだろう。
また今後、セルフレジや自動支払機が普及することを前提に、「初めては誰でも手間取るだろうから、初心者に優しくしよう」という提案も出ていた。
「『人口減少の中の人手不足』のためには合理的」という指摘もあった。自動支払機やセルフレジが普及しつつある背景には、深刻な人手不足がある。今後もレジの無人化が進む見込みで、セブンイレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズの5社も2025年までに国内全店舗に導入する予定だという。
セルフレジどころか、人工知能(AI)が買い物中の様子を分析し、自動で会計金額をはじき出すシステムの開発も進んでいる。小売店での省力化は歯止めのきかない流れだといえる。