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MotoGP:渦中のマルケスがアメリカズGPで見せた一級品のタフさ。「プレッシャーはあった」

2018年04月24日 16:42  AUTOSPORT web

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マルク・マルケス/レプソル・ホンダ・チーム
マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)にとって、MotoGP第3戦アメリカズGPは通常とは違う心持ちで迎えたレースだったに違いない。独走で優勝を飾り、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で6年連続のウイナーとなったマルケスは、決勝レース当日の心境についてこう説明している。「たくさんのプレッシャーがあった」。

 アルゼンチンの決勝レースで、マルケスはいくつかのミスを犯した。なかでもバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)との接触、それによって転倒したロッシによるマルケスへの非難は大きいものだった。ロッシはアルゼンチンのレース後、「僕はマルケスとコース上にいるのが怖い」とまで語っている。

 アルゼンチンGPから2週間後に開催されたアメリカズGPでは、マルケスとロッシによる異例の記者会見が行われた。通常なら木曜日のプレスカンファレンスに並ぶだろうふたりは、時間をずらし個別に前戦アルゼンチンGPでのアクシデントについて会見を行ったのだ。

 さらに、マルケスは予選で、マーべリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ・MotoGP)の進路を妨害したとして、ポールポジションタイムを記録しながら3グリッド降格のペナルティを受けた。マルケスはこの週末の自身の体調についてこう語っている。

「昨日(予選日)、僕は少し具合が悪かったんだ。今日(決勝日)も完ぺきに力を感じることはできなかった」

 しかし、マルケスが決勝レースで見せたのは完全な独走優勝だった。1周目からトップに立つと、そのまま一度もレースリーダーの座を譲らずにチェッカー。それはマルケスが思い描いた戦略どおりのレース運びだった。

「昨日寝るときに、決勝レースの戦略について考えた。午前のウオームアップ走行のなかでそのシュミレーションを行ったんだ。新しいタイヤを履いて、燃料タンクも満タンにしてね。チームのみんなには最初からギャップを作るつもりだって伝えたよ」

「レースでは最初の3、4周のなかでいつもよりプッシュして、それからは後ろとの差をマネジメントしていた。今日は特別なモチベーションがあったんだ。たくさんのプレッシャーがあった。けれど、僕はプレッシャーを感じることが好きだよ。レースに集中し続ける手助けをしてくれるからね」

 アメリカズGPのウイナーとなったマルケスは、チャンピオンシップでもランキング2位に浮上した。トップのアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ・チーム)との差はわずかに1ポイント。さらに言えば、第3戦を終えてMotoGPクラスのポイントランキングは8ポイント差のなかに5人のライダーがひしめいている。

「僕は今日の結果に満足しているよ。チャンピオンシップでもランキングを回復することができたしね。でも、ヨーロッパに戻ったら一定のポイントを獲っていかないといけない。今はだれがポイントリーダーだと思う? ドビジオーゾだよ、彼は最も安定したライダーだからさ!」

 第4戦からはヨーロッパを転戦するラウンドが続く。マルケスは次戦以降についても自信をのぞかせている。

「バイクのフィーリングはとてもいい。(第1戦)カタール、(第2戦)アルゼンチンでも同じだったよ。僕たちはその方向でトライし続けることになるだろうね」

 プレッシャーをも味方にして、アメリカズGPを制したマルケス。速さはもちろん、彼が備える精神的なタフさも一級品であることを見せつけた。ヨーロッパラウンドから、マルケスの快進撃が始まるのだろうか。