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“予測不能”なラストアイドルは勢いを増して進んでいく 卒業発表も飛び出した2nd SGコンサート

2018年04月24日 14:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 4月18日にZepp DiverCity TOKYOにて、『ラストアイドルファミリー 2ndシングル発売記念コンサート』が開催された。


(関連:『ラストアイドル』シュークリームロケッツが栄冠 笑顔と涙に溢れた熱狂の2ndシーズンを総括


 『ラストアイドル』は、2017年8月よりスタートした秋元康総合プロデュースによるアイドルオーディション番組。1stシーズンでは、「プロアマ問わず、兼任可能」「1対1のパフォーマンスバトル」というルールのもと行われたバトルに勝ち残った7名がラストアイドル、バトルの挑戦者を中心としたセカンドユニット・Good Tears、シュークリームロケッツ、Someday Somewhere、Love Cocchiを合わせた計5組がラストアイドルファミリーとして活動を開始した。2ndシーズンで行われたのは、2ndシングルの表題曲をかけて、ラストアイドルファミリー5組による総当たりバトル。ラストアイドル(LaLuce)には小室哲哉、Good Tearsには織田哲郎、シュークリームロケッツには秋元康、Someday Somewhereには指原莉乃、Love Cocchiにはつんく♂がそれぞれプロデューサーに就任。楽曲、振り付けなど細部に至るまでを企画し、バトルに臨んだ。激しい戦いの末に、表題曲を勝ち取ったのは、シュークリームロケッツ。今回のコンサートは、彼女たち3人のパフォーマンスで幕を開けた。


 今回のライブは大きく分けて、「2ndシングル曲の披露」「ラストアイドルスペシャルバトル」「ラストアイドル第2期暫定メンバーのパフォーマンス」「シャッフルユニットコーナー」「1stシングル曲の披露」で構成されていた。昨年12月に池袋サンシャインシティで行われたデビューシングル『バンドワゴン』発売記念イベント、今年2月のZepp Tokyoでの1stコンサートと観続けているが、シーズン毎にメンバーの成長を感じ、それと共に、“ラストアイドル”というプロジェクトが急速に大きくなっていることを強く実感する。


 前回の1stコンサート開催では、2ndシーズン放送中であったこともあり、各ユニットの2ndシングル曲がすでに披露されていた。今回はオンエアサイズからフルサイズのパフォーマンスになり、何よりも戦いを終えたことから得た余裕と自信が伝わってくる5組のステージングに驚いた。


 担当プロデューサーにまつわる楽曲や指定された楽曲を歌唱する「ラストアイドルスペシャルバトル」では、前回のコンサート同様に会場にいる審査員のジャッジによって勝者が選ばれる。柏原収史、白戸佑輔、竹中夏海、日笠麗奈、吉田豪という5名の中から指名されたのは、偶然か必然か、1stコンサートに引き続き吉田豪。「なんでいるのー!」とふくれっ面を浮かべる長月翠がスクリーンに映し出される中、吉田が選んだのは℃-ute「DANCEでバコーン!」をカバーし、山本愛梨が「全力でバコーンしました!」とアピールしたLove Cocchi。「単純に選曲が僕のツボでした」という理由で、CSテレ朝チャンネルでの冠特番がLove Cocchiに贈呈されるというある種の残酷さも『ラストアイドル』らしい展開ではある。


 現在、番組ではラストアイドル第2期暫定メンバーを迎えた3rdシーズンがスタートしたばかり。「アマチュア限定で兼任不可」という応募条件に変更になったこと以外は、1stシーズンのルールを踏襲したものだ。すでに完成されたデビュー曲「愛しか武器がない」は、「対決」を振り付けのテーマに取り入れ、2組に分かれた変則的なフォーメーションが特徴。篠原望、水野舞菜のWセンターを取り入れていることも、ラストアイドルとして新たな試みだ。2期生にとっては、ファンの前での初めてのパフォーマンスとなったが、堂々としたステージングであった。


 初めての試みということで言えば、シャッフルユニットコーナーもファンが待ち望んでいたものだろう。松本ももな、山本愛梨をWセンターに据えた「春一番」は愛らしく、「飾りじゃないのよ涙は」では阿部菜々実が黒の衣装にヒールというセクシーさを纏ったパフォーマンスを披露。長月、清原梨央のユニットは純白の衣装にて「青い珊瑚礁」で王道のアイドルを、大森莉緒の「莉緒はまだ16だから」というキラーフレーズが飛んだ「センチメンタルジャーニー」、タイトなミニスカートにスタンドマイクで古賀哉子、間島和奏、木村美咲が「慟哭」を披露。後に、吉崎綾が「メンバーの人選に悪意を感じる」と自虐を交えて声を挙げた「私がオバさんになっても」まで、往年のアイドルソング6曲を歌唱しフロアを沸かせた。


 すでに報じられているように、この日のコンサートでLaLuceから吉崎と古賀、Good Tearsから王林がグループを卒業することが発表された。元々所属しているグループ・りんご娘を知ってもらうため、ラストアイドルに挑戦した王林は、グループの両立が難しくなったことを卒業の理由に挙げ、10代の頃から女優を志望していた古賀はその夢が強く蘇り、ラストアイドル、LaLuceとしての活動が一番ではなくなってしまったこと、最年長としてファミリーを引っ張ってきた吉崎は“次の夢”に向かうことを示し、LaLuceメンバーに感謝を込めて頭を下げた。


 公演中、筆者が何か胸騒ぎのような前兆を覚えたのは、1stシングル曲の披露でのこと。吉崎の「ラストアイドルファミリーを代表する曲です」という紹介の後に披露された「バンドワゴン」は、メンバーの涙に包まれたパフォーマンスだった。事前に3人の卒業が伝えられていたのか、それは想像に難くない。ステージに残る悲しみが伝達するように、次のSomeday Somewhere・清原の頬にも涙が伝っていた。ただ、特筆したいのは、後のGood Tears「涙の仮面」を筆頭に、これまで観てきた中でも、覚悟に満ちた引き込まれるパフォーマンスであったこと。卒業発表後、吉崎、古賀、王林の3人で歌われた「バンドワゴン(strings ver.)」では、溢れ出す涙がラストアイドルファミリーへの愛を、ファミリーとしての楽曲「明日の空を見上げるために」は別々の道を歩み始めようとしている3人を表しているように思えた。


 卒業を発表した3人は、6月末までラストアイドルファミリーとして活動を続ける予定。3rdシーズン突入で2期生に注目が向いているが、同時に1期生の新プロジェクトも始動しようとしている。波乱に満ちた、予測不能なラストアイドルは、勢いを増して進んでいく。(渡辺彰浩)