F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズが中国GPの週末に見つけた注目のアイテムを紹介、分析する。
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(1)トロロッソ発案のデバイスを、他チームがこぞって模倣
2連戦最初のバーレーンGPでは、ルノーがフロアのリヤタイヤのすぐ前に小さな橋状のパーツを取り付けた。これは昨年トロロッソが最初に考え出し、メルセデスがスペインGPから、フェラーリもベルギーGPから模倣したものだ。今季も本家トロロッソ、メルセデス、フェラーリ、そしてハースの各マシンが進化型を装着しているが、正確な効果はよくわかっていない。
(2)マクラーレンの切り込み
これもバーレーンGPでのアップデートだが、マクラーレンはサイドポッド脇のフロアの長い切り込みを、2ヶ所に分断した(黄色矢印)。この役割はリヤタイヤのすぐ前の細かい切り込みと、同様と思われる。ただしこれらの斜めの細かい切り込みは、レッドブルが9個もあるのに対し、マクラーレンは3個に留めている。
(3)上海でバクー仕様を試したメルセデス
メルセデスは上海ですでに、アゼルバイジャンGPを見据えた低ドラッグ仕様のリヤウイングをテストした。この仕様ではメインプレート両端部分の跳ね返りはそれほどでないのに対し、中央部分は比較的大きいままにしている。ドラッグを軽減しているとはいえ、ある程度のダウンフォースレベルを確保するためと思われる。
(4)フェラーリも低ドラッグ仕様をテスト
一方フェラーリの低ドラッグ仕様は、リヤウイング下部が湾曲しているのが特徴だ。バクー市街地コースでの超ロングストレートでの最高速確保が、目的であることは言うまでもない。
(5)スイス製吸引機
こちらはアップデートではないが、ザウバーC37の新たな写真が入手できたので紹介しよう。2015年型フォースインディアを模倣したノーズは、先端に設けた2ヶ所の開口部から入った気流が、ノーズ裏側から排出されるようになっている(青色および黄色矢印)。そのすぐ後ろには、F1基準ではかなり巨大な開口部が控えており(赤色矢印)、Sダクトを経由して後方2ヶ所へと抜けるようになっている。
(6)ウイリアムズの独創的レイアウト
3戦を終えてノーポイントと低迷するウイリアムズの不振の原因が、マシンコンセプトそのものにあるのか、あるいはフォース・インディアのようなシミュレーションデータと実走との食い違いによるものなのか、現時点では不明である。しかしウイリアムズが去年までのコンセプトを、大きく変えたのは事実だ。
ラジエターの独創的なレイアウトからも、それは明らかである。2つ目のインタークーラー(青色矢印)に対し、ひとつ目のインタークーラー(黄色矢印)は、あえて角度を変え、より傾けた状態で搭載されている。サイドポンツーンに膨らみを少しでも減らそうという努力の表れであることは、言うまでもない。