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あいみょん、SIX LOUNGE、踊Foot Works……ブレイク必至アーティストの新作

2018年04月24日 12:41  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でも強いインパクトを残したあいみょん、宇多田ヒカルのプロデュースでデビューする小袋成彬、本格的な日本語ロックを継承するSIX LOUNGEなど、ブレイク必至と目されているアーティストの新作を紹介。ヒップホップシーンの新たな才能が続々登場していることにもぜひ注目してほしい。


(関連:小袋成彬が明かす、“シンガーソングライター”としての目覚め「洋楽を焼き増していくのが無理だってわかった」


■あいみょん『満月の夜なら』
 昨年9月にリリースされた1stアルバム『青春のエキサイトメント』で注目を集め、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)に出演、『ミュージックステーション』で「君はロックを聴かない」を歌唱するなど、本格的なブレイクが迫っているあいみょんのニューシングル「満月の夜なら」は、恋人同士の官能的な夜を<ピンクの頬が杏色に照らされて/スパンコールのように弾けて>など抽象的かつ映像的なリリックで描き出したナンバー。リスナーの経験、思い出を刺激しながら、“あの場面”を想像させるようなソングライティングの妙は、まさに彼女の真骨頂だ。アレンジは田中ユウスケ(agehasprings)。アコギとリズムを軸にしたシンプルでしなやかなトラックと生々しい情感をたたえた歌のコントラストも素晴らしい。


■小袋成彬『分離派の夏』
 宇多田ヒカルがプロデュースを自ら買って出たことで大きな注目を集めている、小袋成彬の1stアルバム『分離派の夏』。彼の歌の凄さは、日本的な抒情性と豊かなブラックネスが何の違和感もなく融合していることだろう。中音域、低音域の響きを活かしながら、ゆったりと快楽的なバイブスへと結びつける彼のボーカルを聴けば、その圧倒的な個性を実感してもらえるはず。また、思春期の痛みを伴う思い出、親に対する複雑な思い、別れてしまった恋人に対するノスタルジックな感情などを文学的な言葉遣いで描き出すリリック、そして、海外のオルタナR&B、ネオソウルの影響を感じさせるトラックメイクも高品質。宇多田の『Fantôme』同様、“日本語によるグルーヴ”というテーマをさらに上の段階に引き上げる大充実のデビュー作である。


■SIX LOUNGE『夢うつつ』
 大分発、3ピースバンド・SIX LOUNGEのメジャーデビュー盤『夢うつつ』。斉藤和義、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITYなどに加え、井上陽水に代表される日本のフォークや歌謡曲などをルーツに持つヤマグチユウモリ(G/Vo)の衝動と抒情がぶつかり合うようなメロディ、そして、太宰治、中島らもなどが好きだというナガツマシンタロウ(Dr/Cho)の手による歌詞からは、日本語ロックンロールの新たな担い手としての可能性が十分に感じられる。何よりも印象的なのは、メンバー自身の感情をそのまま叩きつけることで生まれるバンドサウンドと、どんなに激しく叫んでも、歌としての魅力を失うことがないヤマグチのボーカル。幅広い層のリスナーにアピールできるバンドだと思う。


■踊Foot Works『odd foot works』
 音楽ライター・三宅正一氏が主宰するレーベル<Q2 Records>第1弾アーティスト、踊Foot Worksの1stフルアルバム『odd foot works』。ラッパー、ギタリスト、ベーシスト、コーラスというユニークな構成によって生み出される楽曲は「もっとPOPをDOPEに、ずっとDOPEをPOPに」というコンセプト通り、ドープなヒップホップと誰もが楽しめるポップスがギリギリのラインでせめぎ合う、スリリングにして解放的な手触りを宿してる。海外のヒップホップ、R&Bとリンクしたトラックと生楽器の響きを活かしたサウンドメイク、なめらかな心地よさを感じさせるグルーヴとともにJ-POP的なわかりやすさを体現する歌詞もきわめて魅力的だ。


■SUSHIBOYS『WASABI』
 埼玉県出身、同じコンビニエンスストアで働いていた男3人がヒップホップで一旗上げるべくクルーを結成。ギャングスタイルでライブ活動を展開すると同時に自分たちで作ったコメディ動画をYoutubeにアップしているうちに注目を集め、岡崎体育、SALU、DAOKOといったアーティストも絶賛、最初のEP『NIGIRI』がiTunes HIPHOPチャートで1位を獲得ーー瞬く間に次世代ヒップホップシーンの旗手となったSUSHIBOYSは1stミニアルバム『WASABI』でも、その奔放すぎる音楽性を存分に発揮している。ヒップホップ、テクノ、80’s風ポップなどを取り入れたトラック、日常と妄想と真剣とおふざけが当たり前のように共存するリリックは、あらゆる趣味のリスナーにリーチするはず。(森朋之)