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F1 Topic:トロロッソ・ホンダが燃料メーカーの『エクソン・モービル』を使用する狙い

2018年04月24日 11:02  AUTOSPORT web

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ブレンドン・ハートレー/トロロッソとダニエル・リカルド/レッドブル
複数の関係者による取材の結果、今シーズン、ホンダが使用している燃料および潤滑油がエクソン・モービル社製であることが判明した。 

 ホンダはF1に復帰する2015年から2年間、エクソン・モービルの燃料を使用していたが、2017年にマクラーレンがエクソン・モービルからBPカストロールへと契約を変更したため、昨年はBPカストロールを使用していた。

 だが、ホンダは昨年の9月に2017年限りでマクラーレンとの提携を解消。2018年からはトロロッソとパートナーを組むことを発表したが、使用する燃料がどのメーカーのものになるのか注目されていた。

 F1では使用ガソリンをパワーユニットに合わせて専用開発することができるため、0.1秒を争うF1においてはガソリンの差は大きなパフォーマンスとして表れる。そのため、使用ガソリンメーカーがどこになるのかは、パワーユニット・マニュファクチャラーにとって非常に重要だ。

 昨年もシーズン中にホンダの長谷川祐介元総責任者が「BPカストロールの仕事ぶりには非常に満足してます。われわれのエンジンの性能向上に大きく貢献してくれました」と語っていた。

 だが、燃料および潤滑油メーカーの選定は、チームにとってもスポンサーマネーを獲得するという点で重要となる。そのため、トップチームの多くはPUマニュファクチャラーの意思よりもチームの台所事情が優先される。

 エクソン・モービルとの契約をレッドブルに持って行かれたマクラーレンがBPカストロールと新たに契約を結んだのも、技術的な理由よりも財政的な判断が勝ったからだと思われる。

 ところが、ホンダがトロロッソと組むにあたっては、燃料および潤滑油メーカーの選定は、ホンダがイニシアチブを得る権利を得た。これはどの燃料および潤滑油メーカーにしろ、メーカーからトロロッソにスポンサー料を支払う契約とはならず、燃料および潤滑油を供給するというテクニカルサポートにとどまるためだった。その結果、ホンダが選んだのがエクソン・モービルだった。

 この契約には、もうひとつ別の意味が隠されている可能性がある。

 それは現在、エクソン・モービルから燃料および潤滑油の供給を受けているチームがレッドブルであるからだ。通常、燃料および潤滑油というのは、下記のようにPUマニュファクチャラーごとに別れている。

▼ペトロナス
メルセデス/メルセデス
フォース・インディア/メルセデス
ウイリアムズ/メルセデス

▼シェル
フェラーリ/フェラーリ
ハース/フェラーリ
ザウバー/フェラーリ

▼BPカストロール
ルノー/ルノー
マクラーレン/ルノー

▼エクソン・モービル
レッドブル/ルノー
トロロッソ/ホンダ

 このように、レッドブルだけが、ルノーPUを使用しているにも関わらず、あえてエクソン・モービルを使用していることがわかる。それは商業的な要素が大きな要因だが、同じ燃料および潤滑油をレッドブルとトロロッソが使用することで、純粋にルノーとホンダの性能の違いを見極める狙いもあるのではないか。

 レッドブルが2019年に使用するPUはルノーになるかホンダになるか。その答えを知らされる日は、そう遠くないのかもしれない。