自ら働く時間や場所を調整できるフリーランス。徐々に広まりつつあるが、この新しい働き方が普及するのにはもう少し時間が掛かりそうだ。
「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」は4月23日、「フリーランス白書2018」を発表した。フリーランスの男女1141人に今の働き方を始めた理由を聞くと、以下の結果になった。
「働く時間/場所を自由にするため」55.8%
「自分の裁量で仕事をするため」54.2%
「ワークライフバランスを良くするため」39%
また、「その他」(9.1%)には解雇、子育てや介護との両立、健康上の理由などが含まれていた。
年収は300~500万円が約3割、500~800万円が約2割
月間の労働時間は「140~200時間未満」が33.4%、「200~250時間未満」が11.4%、「250時間以上」が7.2%で、フリーランスの半分以上はフルタイムワーカーと同程度かそれ以上働いていることがわかる。逆に「20~60時間未満」(16.3%)、「20時間未満」(5.5%)と副業として働いている人もいる。
月の平均勤務時間が140時間以上の人の年収は、「300~500万円未満」が30.2%で最も多く、次いで「500~800万円未満」22.8%となっている。ほぼフルタイムで働くフリーランスの過半数は正社員と遜色のない収入を得ているようだ。
フリーランスになると様々なメリットがあることもわかった。会社員経験がある人のうち、会社員時代よりも働く時間が減ったという人は61.5%に上っている。自ら仕事の量をコントロールしやすいため、働く時間をセーブできるのだろう。
また、生産性が上がった(64.7%)、満足度が上がった(84.3%)、スキル/経験が増えた(80.8%)、人脈が増えた(68.7%)という人がいずれも6~8割以上に上っている。
しかし収入が減ったという人は44.8%で、収入が増えた人の41.7%を上回る。自由で満足度の高い働き方だが、収入が減るというデメリットもあるようだ。
フリーランスに最も必要な能力は「自分を売る力」
フリーランスを続けていく上での障壁を聞くと、1番多いのは「収入がなかなか安定しない」(64.4%)、2番目は「社会的信用を得るのが難しい」(39%)、3番目は「経理などの庶務・バックオフィス作業が煩雑」(34.8%)だった。
フリーランスとして成功するために必要な能力・資質としては、「自分を売る力(セルフブランディング)」が62.4%で「成果に結びつく専門性・能力・経験」の60.6%を上回った。専門性や能力よりも"コミュニケーション能力"が重要な側面もあるようだ。
フリーランスという新しい働き方が普及するために必要なこととしては、
「税金(納税)、年金制度、健康保険制度など社会保障制度の見直しが必要」
「正社員至上主義の感覚をなくし、どの働き方を選んでも格差のない保証を受けられるようにする必要がある」
と社会保障制度の見直しを求める声が多かった。他には、世の中の理解も必要だといい、
「フリーランスという働き方に対する偏見や、地位の低さを解消する必要がある」
「今の日本では、サラリーマンという働き方が当たり前で、それ以外の選択肢がないという認識がある」
と固定観念を解消していくことの重要性が寄せられていた。