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TWICE、MONSTA X、SUNMIなど人気アーティストも登場 『KCON』に見る日本のK-POP事情

2018年04月23日 13:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 K-POPファンにとっては毎年恒例となってきたK-Cultureのイベント『KCON 2018 JAPAN』。今年も幕張メッセにおいて4月13日から15日の3日間に渡り開催された。


 回数を重ねるたびに規模を大きくしてきたKCONだが、4回目となる今年は、さいたまスーパーアリーナで開催された初開催時の動員数15,000人から、総来場者数68,000 人という規模にまで拡大した。


 今回はこのKCONから見る日本におけるK-POP事情について、ライブレポートと一緒に考えてみたいと思う。


■『KCON 2018 JAPAN』とは?


 KCONは、2012年から北米、中南米、中東、ヨーロッパ、アジアなど世界各地で開催してきた、世界最大級のK-Cultureフェスティバルだ。その中でも日本は、アメリカに次ぐ重要地域となっており、2015年から毎年規模を拡大しながら開催している。


 初開催はさいたまスーパーアリーナで1日のみだったが、その翌年より幕張メッセで開催されるようになり、去年より3日間の規模で開催されるようになった。また、K-POPに関連するプログラムを含めたコンベンションプログラムも、K-ライフスタイルを総合的に体験できるよう多様化している。音楽、ドラマ、グルメ、コスメ、雑貨、旅行……KCONは、韓国のカルチャーを一堂に味わえる「お祭り」という感じなのだ。


 特にコンベンションエリアでは、K-POPアイドルやアーティストたちが会場のあちこちでライブやトークショー、握手会などのイベントを行っている。普段はなかなか会えないアイドルやアーティストに簡単に触れ合え、また新規開拓ができるというのは、このKCONならではだろう。


 もちろん、アイドル、アーティスト側にとってもプロモーションの場としての役割はかなり大きいと思われる。このKCONのコンベンションに参加し、多くの人に開かれた場でパフォーマンスなどを披露することで、多くのファンを取り込むことも可能だからだ。


 今年のKCONは日本からスタートし、6月にニューヨーク、8月にはロサンゼルスでの開催が決定しており、世界各地で韓流の新市場開拓を本格化する予定だという。


■TWICEがヘッドライナー務めた『M COUNTDOWN』ライブ


 各日の最後には、K-POPグループ、アーティストたちがパフォーマンスを見せるコンサート『KCON 2018 JAPAN × M COUNTDOWN』が開催される。これがKCONの目玉といっても過言ではないだろう。今年は3日間でPENTAGON、SEVENTEEN、TWICEなど合計28組のグループ、アーティストが出演した。


 最終日15日のコンサートでは、ヘッドライナーに現在の日本でのK-POPブームをけん引するTWICEが登場。他にもMONSTA XやSUNMIなどの人気グループやアーティスト10組がパフォーマンスを披露した。


 今年の会場である幕張メッセは、ほぼ満席という状態だ。本編に入る前にコンベンション参加アーティストによるプレステージが行われ、コンサートへの期待を高めた。


 本編のトップバッターは“ゴルチャ”ことGolden Childが登場。INFINITEの弟分のグループとして注目されているグループだが、「It’s U」を新人らしくフレッシュにパフォーマンス。MCではアカペラでAKB48の「ヘビーローテーション」を披露し、歌唱力の高さをうかがわせた。


 今年のKCONの特徴は、何と言っても新人グループの参加の多さだろう。3日間の『M COUNTDOWN』ではWanna Oneなど多くの新人グループがパフォーマンスを行った。その中で、15日に登場したTHE BOYZは特に注目度が高いグループの一つ。12人のメンバーたちは「全員がセンター」と言われるほどルックスが整っていることが注目されがちだが、しっかりとしたパフォーマンスと音楽性の高さは、全員が10代という新人らしからぬ雰囲気と大物感を感じさせた。


 3番目に登場したIN2ITは、「少年24」という24人からなるボーイズグループから8名が選抜され、2017年10月にデビューした新人グループだ。白いスーツを着こなし、新曲の「Snap Shot」では、フレッシュさや可愛さをウリにしている新人グループの中では異色な大人っぽいパフォーマンスを見せた。


 『M COUNTDOWN』に出演するのはアイドルばかりではない。ここで女性シンガーのHeizeがステージに。ここ数年、KCON JAPANの常連となりつつある彼女だが、しっとりと安定感のある歌を歌い上げた。その後、“音楽のパートナー”であるというDaviiとともにデュエットを歌唱。甘い声のDaviiと優しい声のHeizeの組み合わせは、会場を心地よい雰囲気へと誘っていた。


 去年のKCONでは3日間出ずっぱりでファンを獲得したSF9は、韓国では“耳から離れないメロディ”として話題になった「O Sole Mio」をパフォーマンス。ラテンポップという新境地を開拓したSF9は、昨年よりもさらに磨きをあげたステージを見せてくれた。


 続いて今年の『M COUNTDOWN』で唯一のバンド、N.Flyingがセンターステージから登場。『PRODUCE 101』に参加していたフェスンを新メンバーとして迎えた彼らは、大音量でステージいっぱいを使い、ロックバンドならではのグルーブで会場を揺らしていった。


 そして、元Wonder GirlsのSUNMIの登場で会場の空気が一気に変わる。パープルのワンピースに鮮やかな赤いリップで現れた彼女に目が釘付けに。独特な雰囲気をまとい、SUNMIにしかできないセクシーな世界を作り上げていた。最後の「Gashina」では、一気に彼女の世界観に引き込み余韻を残したままステージを去っていった。


 コンサートもいよいよ終盤になり、MONSTA Xの登場で会場は一気にボルテージが上がる。“モンベベ”と呼ばれるMONSTA Xのファンたちは、待ちに待った彼らの登場にペンライトを振りながら大きな歓声で出迎えた。


 1曲目に披露した「JEALOUSY」では、男っぽさの中にかぐわしいフェロモンを感じさせ、彼らならではの曲に仕上げていた。今回のステージでは4曲を披露したが、大きなステージをしっかりモノにし、モンベベ以外の観客もをぐいぐいと巻き込み、MONSTA Xの世界観を作り上げていた。そのステージは短い時間ながらも圧巻だった。


 MONSTA Xの熱が冷めやらぬ中、ヘッドライナーのTWICEが登場。韓国での音楽番組の生放送後、飛行機に飛び乗りこの公演のために日本に来たというTWICEだが、疲れを全く見せずに、日本で初披露された新曲の「What is Love?」や「Candy Pop」などをパフォーマンス。


 可愛らしく元気で、そして分かりやすいメロディとダンスは、彼女たちの人気の秘密の一つだろう。最後はおなじみの「TT」をパフォーマンス。開場の観客達の誰もが一緒に「TT」ポーズを作って踊り、ステージを締めくくった。


■KCONに見る日本におけるK-POP事情


 筆者はこのKCONに3年連続で参加しているが、規模が拡大し、来場者が年々増加していく中で、世代交代が進んでいることを感じている。それは参加するアーティスト、ファンの両方にだ。


 正直、3年前のKCONの来場者数はイマイチという印象だった。メインのコンサートも空席が目立っていたのが事実だ。それは当時ちょうどK-POPブームがしぼみ、大御所のグループ以外はファンをなかなか集客できなかったという事情もあったのかもしれない。


 しかし、今年のKCONは様子が違った。『M COUNTDOWN』のコンサートは、どの日もほぼ満席状態。しかも、参加したラインナップを見ると、いわゆる“大御所”といわれるアーティストはほとんどいなかった。おそらく大御所と言えるのは、2日目に参加した2PMのWOOYONGくらいではないだろうか。つまり今回の観客動員の増加は、若い世代のグループ各自がファンを集客できる力を持っているからではないかと思われる。


 また、今回の『M COUNTDOWN』のライブでは日本でも人気があるということからBoA、東方神起、少女時代、KARAなどのカバー曲が何曲か披露されたが、15日にカバーされた東方神起の韓国での代表曲である「Love In The Ice」では、思ったよりも会場が盛り上がらなかった印象を持った。おそらく、会場に来ているK-POPのファンたちの多くは東方神起を通っていない世代なのだろう。そういう意味でも、ここ最近のK-POPの盛り上がりは、“次世代のK-POPファンたち”によるものだということを感じるのだ。


 KCONの会場で10代の世代のファンたちに少し話を聞いたが、彼らは最初から自分たちの感覚で「カッコいい」「かわいい」と思ったBTS(防弾少年団)やTWICEを好きになっているのだという。彼らが韓国やK-POPのグループだから好きになったのではなく、そのフィルターを挟むことなく自分たちの感覚だけでファンになっているのだ。


 ジャンルの活性化と生き残りには新陳代謝は欠かせないと思うが、その新陳代謝が最近のK-POPにおいてはうまく行っているように感じる。新しいファン層が増えつつある日本のK-POPは今後どのような位置を確立していくのか……。今後のKCONからもその流れを見ていけたらと思う。(取材・文=西門香央里)