この春社会人になった皆さんは、「同期」と良い関係を築けているだろうか。新卒の同期は、初めての環境に同じ時期に飛び込んだ同年代。自然と親しくなりやすいものだ。
はてな匿名ダイアリーには4月上旬「同期ってそんなに大事にするもん?」と疑問をぶつける投稿があった。投稿者は身分を明かしていないが新入社員だろう。同期入社に関する他のエントリが目につくらしく、「同期ってそんなに大事にしたほうがいいもんなの?仲良くしとくべきなの?」「教えて先輩たち」と問いかけている。(文:okei)
「揉めそうな時に最終手段、同期のよしみの『なあなあ』が使える」
この投稿には多くの社会人の先輩たちが「大切にすべき」とアドバイスしている。
「仲良くなっておくと、部署ごとに散り散りになったときに『そっちの部署でこれに詳しい人って誰?』みたいに気軽に聞けるハブ役になってくれるのが助かる」
「出世スピードの個人差で部下や上司になる可能性もある。(中略)揉めそうな時に最終手段・同期のよしみの『なあなあ』が使える」
大きな組織で長く勤める場合、社内の様々な部門と強力なネットワークができると説く。「なあなあ」も、内輪で丸く収める傾向がある日本人らしい感覚だ。
また、「社会人になるといろんな利害が絡んできて友人というのは出来にくい。そういう意味で同期って最後の同級生なんで大切にしとき」との論調も多い。きっと気の合う同期がたくさんいた人だろう。
確かに筆者も新入社員のころ、5人ほどの同期と仲がよく、その存在は心強かった。会社組織はほとんどが上下関係だが、同期は唯一、気持ちを緩めてもいい「ヨコのつながり」だ。大切にしておくほうがいいだろう。
働き方の多様化受け、今後は「同期」の概念が薄れるかも?
一方で、「同期なんていない」と苦々しげに書く人も少なくない。
「就職できなかったし長年非正規で仕事転々としてたので同期などという言葉は私の辞書にはない」
「非常勤だったり中途採用だったりで同期の概念自体なかった。あるものは大切に」
「でかい企業は羨ましいなー」
このほか「中小企業だと同期なんてそもそもいないんですが」との声や、「大事だと思います」としつつも「そのうち散り散りになるけど」など、冷静なコメントもあった。
『同期の人脈研究―ヨコ社会の人間関係』(岸 宣仁/中央公論社)によると、同じ時期に入社し横並びで研修を受ける「同期」という独特の概念が形成されるのは、日本くらいだという。中途採用や通年採用が一般的な国では、そもそも「同期」という概念をここまで意識することはないだろう。
日本もすでに派遣社員など期間雇用は定番で、終身雇用が崩れた今、転職による中途採用はますます増えていくと考えられる。もちろん同期は有効な人脈のひとつだし大事な友人関係になる可能性は高いが、今後は同期入社という関係性はそれほど重要ではなくなるかもしれない。
そうした状況を踏まえての冷やかしだろうか、コメントには、「同期を信用しすぎてローカルのファイルが失われるトラブルをチラホラ聞く」などと、"パソコンデータの同期"とあえて誤読・揶揄する言葉も、バンバン書き込まれていた。