2018年04月23日 10:42 弁護士ドットコム
葬式代は誰のお金から払えばいいのか。払った人が損になるのかーー。こういった相談が、税理士ドットコムの「みんなの税務相談」コーナーに寄せられている。相談者は、損得を考えるのは不謹慎かもしれないが、それでも現実的に多くのお金を出さなければならない状態に違和感を抱いているようだ。
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一般的に葬儀には多額のお金がかかる。地域や慣習、亡くなった人が示した生前の意向などにより差はあるものの、100万円を超えることも珍しくないとされる。そこで、亡くなった親より相続する遺産から葬儀にかかった費用を差し引くことができれば、節税につながる。
「お金のことを気にするのは不謹慎だ」「そんな心の余裕はない」などと考える人もいるかもしれないが、節税の機会をしっかりいかした方が、現実問題として家計には救いだ。
国税庁は、「相続税を計算するときは、一定の相続人及び包括受遺者が負担した葬式費用を遺産総額から差し引きます」としている。以下については差し引くことができるという。
(1)お通夜などの葬式の前後に生じた費用
(2)火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
(3)遺体や遺骨の回送にかかった費用(病院ー自宅間の交通費など)
(4)葬式にあたりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5)死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
三宅伸税理士に気をつけるべき点について聞いた。
ーー控除できないものはどのようなものがありますか
「相続税の計算では、葬式費用は当然の支出として相続財産から控除されますが、その全てが控除できるわけではありません。以下の費用は控除できません。(1)香典返し(2)墓地等購入費用(3)初七日等の法事費用(4)司法解剖費用等
受取った香典は相続財産に含めないので、その返礼代も控除することができませんが、葬儀の参列者に渡す会葬御礼の品は香典のお返しではないので葬式費用となります。
相続で取得した墓地等も相続財産に含めないので、その購入費用は葬式費用となりません。初七日法会費用も葬儀と明確に区分できないものは葬式費用に含めることができる場合がありますが、それ以外は含めることができません」
ーー領収書の発行がない場合などもあり、区分することは簡単ではなさそうです
「葬儀代の中には控除できない費用が入っていることも多く、明細の確認が必要です。一方、領収書がないお布施や心付けも支払先、金額や日付等のメモを残しておけば葬式費用とできる場合があります。
葬儀にかかる費用の平均は約196万円ともいわれています(2017年『(財)日本消費者協会の報告書』)。葬式費用は金額が大きく、相続税に大きく影響します。葬儀は故人やご遺族の気持ちが大切なのは言うまでもありませんが、手続き等は法務や税務の専門家にご相談いただくことをおすすめします」
【取材協力税理士】
三宅伸(みやけ・しん)税理士
大阪府立大学卒業 クラウド会計の導入等お客様の立場に立ち共に成長していくことをモットーに起業支援、相続等幅広いサービスを提供している。平成29年4月業務拡大に伴い事務所を北区江戸堀に移転。
事務所名 :三宅伸税理士事務所
事務所URL:http://miyake-tax.jp
(弁護士ドットコムニュース)