全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕戦鈴鹿、ディフェンディングチャンピオンの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)は4位でチェッカーを受けた。ピットイン前の勝負どころでしっかりプッシュし予選順位よりもふたつポジションを上げた石浦は、今回の結果について「悪くない」と語る。
決勝レース、6番グリッドの石浦が選択したのはミディアムタイヤだった。石浦よりも前のグリッドであるポールポジションの山本尚貴(TEAM MUGEN)から5番グリッドの塚越広大(REAL RACING)までも石浦同様、ミディアムタイヤを選択している。
石浦はタイヤ選択について、「ミディアムタイヤの選択は直前の8分間でエンジニアと決めていました。ほかの人がどちらのタイヤを履いても、自分たちはこれで行くと決めていた」と話す。
「スタートは決まったんです。ただ、タイヤの温まりが(周りと)違いましたね。最初のS字コーナーで、後ろのソフトタイヤ勢に右左から抜かれてしまいました。もちろん、想定はしていましたけどね」
「レースペースは遅くはなかったし、ミディアムタイヤでスタートしたクルマはいずれクリアになるだろうとも思っていました。だから、そこでプッシュするためにタイヤをコントロールしようと思ってタイヤを労わって走っていたんです」
2ピットストップ作戦を執った予選上位陣のほとんどが序盤から中盤にかけてミディアムタイヤで走行、30周すぎにソフトタイヤに履き替えた。
石浦は前を走っていたミディアムタイヤ勢がピットインしたところで、石浦は猛然とプッシュ。それまで1分44秒台で走行していたところ、ピットイン前の30周から31周は1分43秒台半ばのラップタイムを記録している。
「前がクリアになって、クルマも軽くなってきたところで飛ばせました。そこで1分43秒真ん中くらいで走れたのが、ポジションアップできた理由だと思います」
石浦は33周でピットイン。ソフトタイヤで18周を走り切る選択をした。このタイミングについては最初から決まっていたという。
「ただ、エンジニアはもうちょっと早めに入れようか悩んだらしいですけどね。でもちょうど僕のタイムが速かったので、周回数を引っ張ればいい順位でコースインできるというのがありました。『頑張りどきだよ』と言われて、必死でプッシュして飛ばしてからピットに入りました」
石浦は伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)の前でコースに復帰する。
「本当は野尻(智紀)選手を追いたかったけれど、ソフトタイヤが10周を超えてから垂れてきてしまったので、難しかったです」
最終的に4位でフィニッシュした石浦は、「可能な限りはばん回できたと思います」とこの日のレースを振り返った。
「潰れるドライバーがいなければ、4位も難しかったと思います。僕より前がほぼみんな同じ作戦でしたよね。その時点で(表彰台は)望めませんでした。うまくいって元のポジションかなと思っていましたから。4位は悪くないと思いますよ」
予選ではホンダ勢の後塵を拝する形となったトヨタ勢。しかし、決勝レースでのパフォーマンスにホンダ勢との間に大きな差異はなかった。予選のホンダ勢の速さの絶望感に比べたら、戦える感触はあるのか──、この問いかけに石浦こう答えた。
「2スペックになったことで順位変動はけっこうあります。そう考えると絶望的ではないですね。ここからだと思いますよ」
予選を制したホンダだが、決勝レースでは両メーカーが均衡を取り戻したといえるだろう。