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チームの杜撰な戦略にキミはそろそろ怒った方が良い【今宮純のF1バーレーン&中国GP採点】

2018年04月21日 15:01  AUTOSPORT web

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F1第3戦中国GP キミ・ライコネン
F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第2戦バーレーン&第3戦中国GP編だ。
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☆ ランス・ストロール

 久々に星を。深刻なパフォーマンス低下現象が続きこの2戦、昨年予選タイムよりも遅いウイリアムズ。その情況で開幕から連続14位は2年目の進化と言えるだろう。中国では1周目に6台をかわし12位へ、これが効いた。

☆ エステバン・オコン

 きっちり完走を果たすには小さなミスもしてはいけない。中団ど真ん中にいる現在のフォース・インディアで10位入賞と11位、彼らしさを発揮。最終スティントではウルトラソフトで最長25周カバー、苦戦で腕を磨いている。

☆☆ ピエール・ガスリー

 ホンダF1テクニカルディレクターの田辺豊治が20日、「ジェットコースターのような乱高下でした」と言ってきたこの2レース。

 明(4位)と暗(18位)をいきなり体験したガスリー、次戦までの間チームとともに“反省会”が行われている。なにを学ぶか、トロロッソ・ホンダ……。

☆☆ マーカス・エリクソン

 今年初めての星を。新たなチームメイトが初日FP1から先行するのを巻き返していくのが目立つ。彼自身、49戦未入賞記録をバーレーンGPで止め、アルファロメオとしては(チーム形態は違っても)84年以来の入賞だ。


☆☆☆ ケビン・マグヌッセン

 粗さが見られたレース展開が今年は変わり、コンスタントに結果につなげている。中国ではフリー走行6~7番手をキープ、予選ではタイヤ熱入れがうまくいかず11番手となったものの2戦連続入賞。第3戦時点でハースの全得点を上げている。

☆☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ

 珍しい記録、昨年メキシコGPから6戦ずっと7番グリッド。ビッグ3チームに次ぐ“ハイ・ポジション”なのだ。そこからリタイア(PU)、10位、6位、7位、6位、6位、地味でも堅実なレースでカルロス・サインツJr.をリード。

☆☆☆ バルテリ・ボッタス

 中国GP終盤に6コーナーで刺されたのは決して、彼自身の判断ミスではない。一瞬ブロック・ラインをとったがあのミディアムではあれが精一杯、

 もっとインを守っても出口ラインが窮屈になる(抜かれただろう)。お互い接触せずにレースをまっとうすることを優先、“カッコワルイ”が2位を堅持。それくらいのスピードしか彼のメルセデスにはなかった。

☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル

 年長のマーク・ウエーバーに対してもこういう仕草をしていた。中国GPグリッドでPPに着いたとき、ノーズを右寄せして隣のキミ・ライコネンを警戒する動き。

 最前列グリッドのどちらもグリップレベルに大差ない上海なので。普通に加速したチームメイトにぐいぐい幅寄せは、黒いベッテル(失礼)の真骨頂だ。レッドブル連覇期に近いエースなベッテル、予選Q3アタックでのセクターベスト揃えはさすが……。


☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ

 動物的なカンなのか、接近戦で相手の隙を突いていく反射行動は今も高いレベルにある。中国GP55周目、1~2~3コーナーでベッテル相手に見せた動きがまさにそう。

 こういう抜き方はアロンソならではでダニエル・リカルドとは違う。相手の動きがスローモーションに映るから、自分はクイックにいける。今のマクラーレン・マシン状態で、傷を負ったフェラーリを斬る技は剣豪の技……。

☆☆☆☆ ダニエル・リカルド

 チャンピオンだろうとずばずば抜いていった中国GP、その曲技をたっぷり鑑賞できた。ブレーキングで抜くために、ペダルストロークに特殊な設定をしているのだろう。

 蹴っ飛ばすような踏力に見合う減速力、マックス・フェルスタッペンとは違うと思われる。今年3戦で2度目の最速ラップ、レース中の速さ(ペース)は秀逸だ。明らかに予選よりレース・セッティングに向けたセットアップをよく考えている。

☆☆☆☆☆ キミ・ライコネン

 「もう怒れよ、キミ!」。合同テスト段階から、個人的にSF71Hはフロント挙動が彼にぴったりと言ってきた。

 この2連戦もフリー走行でベッテルより遅かったのは、たったの1セッションだけ。乗れているのになぜか予選コースイン順など不可解で、決勝でもチームはほったらかし。

 なにか契約書の最後ページに“留意事項”でもあるのか。

「①チームの判断は常に正しい。②チームは誤りを犯す、しかしそう思ったときは①に従うこと……」

 何かをのみこみ、我慢しながらコース上を疾走するライコネン、イタリア・メディアが彼に同情するのも当然のこと。こんなことが続くと、もう辞めてしまうかも……。