2018年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は4人のスーパーフォーミュラルーキーが参戦する。今回はそのひとり、松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)にフォーカス。FIA F2を経てスーパーフォーミュラに乗り込んできた松下、その心境とF1参戦への思いを聞いた。
「スーパーフォーミュラに出ると決まったときは、4年ぶりの(日本での)レースで、コースもよく知っているし、そういう部分では自分に対しての期待と自信を感じることができました」
2015年からGP2(2017年からFIA F2)に参戦し、2018年はスーパーフォーミュラに参戦することについて松下はそう説明する。
「F2とスーパーフォーミュラ、どっちが上かという話は僕はどうでもいいと思っているんです。スーパーフォーミュラは日本の最高峰レースシリーズで、F2はヨーロッパのF1以外の最高峰です。与えられたチャンスに対して、全力でやるだけです」とも。
「全力でやる」、それはもちろん、チャンピオン獲得ということを意味するだろう。しかし、若くして海外でのレース経験を積んできた松下は冷静だ。「できれば全勝したいけれど……、人生、そううまくはいかないですよ」と笑う。
「走るからには勝ちたいですし、それは誰でもそうですよね。チャンピオン取るのを目標に走っています。ただ、僕は自分の100%を出せればいいと思います。それが結果に(つながる)。自分が100%出せないと結果につながらないと思いますから」
「僕が納得できるレースというのはつまり優勝ということになりますが、毎戦勝つのは難しいでしょうね。毎戦、何位でゴールするか、ポイントをどのくらいとれるかというのが一番大事なんです」
松下が見据えるのは“自分の100%を出して”獲得したスーパーフォーミュラチャンピオン、そしてその先にあるF1なのだろう。今後のキャリアについて聞くと、「僕はF1しか見ていません」ときっぱり。
「スーパーフォーミュラで、ホンダに与えられたチャンスのなかで一番の結果はチャンピオン。そして、自分にチャンスがあるうちはF1にいくというのが最大の目標です。将来はそういう風に考えていますよ」
F1参戦への鍵となるかもしれない2018年シーズンの開幕戦予選を翌日に控え、金曜に行われた専有走行で松下は12番手タイムだった。このセッションについて松下は「すごく調子はよかった」と、非常に前向きな感覚をつかんだようだ。
「僕たちが心配していたのは、気温が上がったときにクルマがどうなるかでした。それが、今日走ってみてほかと比べてとてもよかったんです。つまり、しっかり戦えるということだと思います」
「とにかく100%を出して、自分がどの位置にいるのかですね。もちろんポールポジションはねらいますけれどね」
ルーキーにしてベテランの風格さえ漂わせる松下の2018年シーズンが、間もなく幕を開ける。