EXE AMG GT3の加納政樹と安岡秀徒 SUPER GT Rd.1 Okayama 300km 2018/4/7~4/8 TEAM RELEASE
サバイバルを生き残れ! Arnage Racing 6年目の再出発は、幸先のよい10位完走でスタート。
待ちに待った2018年のシーズン開幕。今季のGT300クラスはこれまでのFIA-GT3勢に加えてNS-Xが新たにFIA-GT3マシンとして参入したほか、GT-Rがモデルチェンジするなど国産FIA-GT3勢が出揃い、層に厚みが増した。また、お馴染みのJAF-GTマシンやマザーシャシ勢も顔を揃えて、エントリー数は29台となり、今年も華やかなラインナップとなった。
チーム結成から6年目を迎えるArnage Racingは、年々熾烈になるサバイバル合戦を生き抜くために、Mercedes Benz AMG GT3を新車で投入した。またドライバー陣にはチーム結成当時の加納政樹、安岡秀徒のコンビ復活に加えて、SUPER GTでは速さと安定感に定評のある坂本祐也を第3ドライバーとして起用。強力な助っ人を得たArnage Racingは、生き残りをかけて新しいシーズンに臨むことになった。
Arnage Racingは、シーズン開幕に先立って行われた岡山、富士の両テストに参加した。3月17、18日の岡山テストは、納車から約2週間という慌ただしさだったが、走行時間をフルに使って、ニューマシンに対する習熟とドライバーの慣熟を行った。マシンは非常に順調に走行して予定のメニューをこなし、チーム、ドライバー共にマシンに対する理解を深めることができた。
また、3月24、25日に行われた富士テストには第2戦、第5戦の両富士ラウンドでドライブする坂本選手が合流し、同様に走行時間をたっぷり使ってさらなる慣熟走行を行った。特に2日目の午後のセッションでは坂本選手が4番手となる1’37.470をレコード。富士ラウンドでの坂本選手の活躍が期待された。
チームは、両テストを終えて開幕戦までの2週間、ガレージでセットアップを煮詰め直した。特に富士テストの際に2回のセッションで起きた右フロントタイヤのパンクの症状を踏まえ、足回りのセットの方向性を変え、細部にわたる調整を行い、ニューマシンの初陣に備えた。
April 7th Qualifying Day 曇り/雨 気温:9℃→8℃ / 路面温度:15℃→13℃ 入場者;10,700人
例年強風や雹に祟られ、天候の安定しない開幕戦の岡山国際サーキット。予選日となる土曜日も、前日の雨が残って冷たい風の吹くどんよりとした空模様となった。
この日は9時から公式練習が行われ、安岡選手がEXE AMG GT3をコースに進めた。しかし、エンジニア腐心のセットアップの方向性が全く外れ、チームは何度もマシンをピットに戻してセッティングの変更を余儀なくされた。終盤には雹が降ってくる荒れ模様のコンディションに途中赤旗提示の場面もあり、走行時間はあっという間に過ぎてしまう。結局1時間45分の走行時間のほとんどをセットの見直しに費やす結果となってしまい、加納選手はコースに出ることができないまま、走行終了を迎えることとなった。
※ベストラップは安岡選手がL22に出した01'27.901(22位)
午後になっても微妙な空模様は変わらず、空を覆った雨雲からは時折雨粒が落ちてくる。14時45分からの予選はQ2進出をかけて安岡選手がコースに進み出た。しかし、ウエット方向のコンディションが得意な安岡選手も、セットアップ変更の確認をするのが精一杯で思うようにアタックをかけることができない。1分26秒台に16台のマシンがひしめく中、01'26.971をマークした安岡選手だったがQ2進出は叶わず、EXE AMG GT3は初陣を23番手から追い上げることとなった。
April 8th Race Day 曇/晴/ドライ 気温:11℃→16℃ / 路面温度:22℃→24℃ 入場者;17,700人
日曜日の朝は青空の広がる好天。Arnage Racingは、午前中、時間の許す限りピットワークの練習に勤しみ、入念にマシンのチェックをして午後の決勝に備えた。
気まぐれな天候の岡山国際サーキットの上空には次第に雲が現れ、お昼頃には大粒の雨が路面を濡らしてレース展開が案じられたが、幸いウォームアップ走行がおこなわれる頃には雨雲は遠ざかって青空が見え始めた。チームは、決勝のスタートドライバーを託された安岡選手を2周だけコースに出してマシンをチェック。昨日のセット変更の甲斐あって好調を取り戻していることを確認すると、加納選手に交代した。昨日はほとんど走行することのできなかった加納選手は残り14周をギリギリまで走行して、マシンの感触を確認することができた。
14時40分、岡山県警の白バイとパトカー先導によるパレードラップのあとフォーメーションラップと続き、いよいよ2018年のSUPER GTの幕が切って落とされた。23番手からスタートした安岡選手は、すぐにポジションを一つ上げ、順調なスタートを切った。序盤、安岡選手はピックアップ(タイヤかす)に苦しみながらも徐々に前方のマシンをパスし、じわじわとポジションをあげていく。18周目に起きた300クラスのマシン同士のアクシデントに乗じて、19位に浮上。その後も順調に走行して25周目で15位、28周目で12位と徐々に順位を上げていった。エンジニアがチョイスしたタイヤがピタリと的中したEXE AMG GT3は、上位チームが次々とピットインする中で好調をキープ。安岡選手の走りは、ドライバー交替直前の42周目にベストラップとなる01'28.388を叩き出すなど、衰えを見せなかった。
前半ドライバーが走行を許される最大周回数の48周が近づいていた。見かけ上の順位は2位、ピットインでタイヤ交換の勝負の明暗を分けることは間違いない。安岡選手はリアタイヤの摩耗を訴えていたが、チームはピットインの状況で判断することを伝え、安岡選手は46周目、トップでピットに戻ってきた。すぐさまタイヤエンジニアがマシンに駆け寄り、まだ走行可能である事を確認。迅速なドライバー交替と給油ののち、チームはタイヤ無交換で加納選手をコースに送り出した。
加納選手がコースに復帰した47周目、EXE AMG GT3のポジションは3番手。後方には65号車、7号車、11号車と上位マシンが牙をむいて控えている。「抜かれたクルマのことは気にせずに、自分のラインでタイムだけ上げて」というエンジニアのアドバイスに、加納選手は堂々とした走りでレースをスタート。51周目で01'30.180の好タイムをレコードした。その後、ポジションを9位に落とすも、1分30秒台をキープして走行を続けた。タイヤの磨耗は限界にきていたが「頑張ってうまく逃げてください」という励ましの無線に応えるように、加納選手は落ち着いた走行で9位を守り、好走を続けた。
そして、残り1周というところで惜しくも後続の26号車にポジションを明け渡したが、10位でチェッカーを受けた。
Arnage Racingは2014年最終戦ぶりのドライバーズポイントを獲得、チームは、幸先の良い2018年のスタートを切ることができた。
<ドライバー 加納政樹>
1年ぶりにアルナージュに復帰したら、ピット作業とかのみんなのスキルがすごく上がってて、これはドライバーとしてもしっかり乗らなあかんなと感じてたんですけど、土曜日にセッティング変更があったために全く乗れなくて、レースがぶっつけ本番みたいになってしまいました。でも開幕前に2回のテストに参加できたこととや、安岡くんがしっかりタイヤを残してくれておかげで、なんとか安定したタイムで走れた。これまで開幕戦は色々あって、ずっとイマイチやったけど、ドライバーもメカニックも、みんながチーム一丸となった結果ポイントが取れたっていうのは本当によかったと思ってます。
次戦、今度は坂本選手が来て、三人で戦うことになるんですけど、この状況を維持しながらきちっと完走して、まずはチームの目標である全戦完走、その中でポイント取れる時はしっかりとって行けるように頑張りたいと思います。ありがとうございました。
<ドライバー 安岡秀徒>
土曜日の練習走行でコンディションが難しかったために、セットがダメだっていうのを決めることが精一杯で、予選は予選で違うセッティングだったので、とにかく決勝はぶっつけ本番でした。決勝は今までにないくらい早い段階からタイヤかすがすごかったんですけど、後方からのスタートだったので自分のペースで走れたし、僕がイメージしてたようなコンディションだったのが幸いでした。開幕戦からこんないいレースができたのは、ほんとチームのみんなのおかげです。加納さんも、タイヤが相当厳しい中よく耐えてくれましたね。
これまで岡山は、どうしても「いつの間にか終わってるレース」みたいな感じだったのが、シーズンオフから心機一転みんなで準備してきて、今年は開幕戦にして初めて1/8として戦えたっていう感じがしています。次はテストで好調だった富士なので、まあ坂本さんの力も借りてですけど、また今日加納さんが抜かれた競合チームたちと、ガチンコでいけるぐらいの勢いで頑張ります。
応援してくださった皆さまには深く感謝しますとともに、今シーズンも変わらぬ応援を賜りますようお願い申し上げます。次戦富士ラウンドは5月3日~4日に富士スピードウェイにて開催されます。何卒、引き続き応援のほど宜しくお願いいたします。