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血生臭い拷問シーンが話題に 『モンテ・クリスト伯』堕ちていくディーン・フジオカの魅力

2018年04月20日 13:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 こんなディーン・フジオカが見たかった。4月19日から放送開始した『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)で、主人公・柴門暖を演じたディーンが挑む、目を塞ぎたくなるような拷問シーンが話題になっている。


参考:関ジャニ∞ 大倉忠義、ディーン・フジオカと共演『モンテ・クリスト伯』で新たな“転換期”迎えるか


 日本では『巌窟王』として知られるアレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』を基にした本作は、結婚間近で仕事も順調だった暖が、無実の罪を着せられ異国の地に投獄されることを契機に、自分を陥れた人間に復讐を決行する物語。原作では19世紀のフランスが舞台だったところを、本作では2003年の小さな漁師町に移し、のちにモンテ・クリスト伯爵となるエドモン・ダンテスは、暖という名前にアレンジされている。


 色違いのコンバースを履いた仲睦まじい暖(ディーン・フジオカ)と目黒すみれ(山本美月)のプロポーズを映したホームビデオで幕を開けた本作。その冒頭は”復讐劇”にはあまりにもかけ離れたアットホームな雰囲気で、さらに2003年という時代背景に合わせるためにビデオ部分は、アスペクト比を4:3風にして放送されていた。


 そして何と言っても驚いたのが、暖が投獄されてからの拷問シーンだディーンといえば、これまで『あさが来た』(NHK)の五代友厚、『ダメな私に恋してください』(TBS系)の黒沢歩、映画『鋼の錬金術師』のマスタング大佐など、端正な顔立ちとスタイル、そして深みのある声を武器に、品のあるイケメン役を務めることが多かった。しかし今回の暖役では、罠にはめられるまでのコミカルなふるまいから、水責めされ苦しむシーンなどディーンにとって挑戦的なシーンが多かったように見受けられる。


 早くに父を亡くし、母と2人で暮らしてきた暖は、どんな困難が起こっても笑顔で乗り越える楽観的な人物。そんな暖のキャラクターにあわせディーンは、いつもの深みある声から息の量を減らし、おどけたような声を使い、素朴で純粋な演技に徹していた。そのギャップもあり、血を流し水を受ける姿や、真上から撮られた独房で横たわるシーンの壮絶さは、本編の前半部分をプロローグと化してしまうほどの出来栄えだ。(しかし、目も当てられぬほどボロボロな姿でも、色気を醸し出してしまう“おディーン様”ブランドは、さすがの一言に尽きる)


 今回出番は少なかったが、暖をおとしめたであろう脇を固めるキャスト陣も味わい深い。フェルナンのポジションになるであろう南条幸男(大倉忠義)に、ダングラール的役回りの神楽清(新井浩文)、そしてカドルッスをもじったような名前でもある寺角類(渋川清彦)は、それぞれのキャラクターが抱える“負”の感情をうまく体現していた。


 原作が洋書なだけに、これから待ち受ける決闘シーンや貴族の世界感が、脚本家・黒岩勉によって、どのように日本版に脚色されていくのか気になるところ。神の存在がテーマの1つである原作だが、西洋と日本の宗教感は異なるため、冒頭とラストで歌われたKANの「愛は勝つ」が本作のキーワードになってくるのだろう。叶うのならば、あまり恋愛要素は強めず、徹底的に鬼と化すディーンの姿を期待したい。(阿部桜子)