2018年04月19日 18:22 弁護士ドットコム
相模鉄道グループを束ねる相鉄ホールディングス(HD)の元バス運転手ら58人と組合が、会社を相手に業務変更の無効や損害賠償(1人110万円、組合330万円)などを求めていた訴訟で、横浜地裁(新谷晋司裁判長)は4月19日、運転手らの主張を退け、変更は有効と判断した。労働者側は控訴する方針。
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労働者側は相鉄HDから子会社の相鉄バスに在籍出向していたが、2016年から順次出向を解除され、グループのスーパーやホテルなどに再出向している。
この問題をめぐっては2018年1月、労使間の協議が終了するまで、「相鉄バスへの出向を継続しなければならない」とする、神奈川県労働委員会の救済命令が出ていた(現在、中央労働委員会で審査中)。
判決によると、相鉄HDでは、2010年にバス部門を分社化。その際、労働組合との間で「労働条件の差異はHDが補填する」という労働協約を結び、バス運転手らを相鉄バスに出向させている。
しかし、2014年、HDは経費削減を理由に、出向した約200人のバス運転手らに対し、(1)相鉄バスへの転籍、(2)早期退職、(3)HDへの復職のいずれかを選ぶように求めた。
神奈川県労委の勧告もあり、HDと労働組合は交渉を重ねたが決裂。2016年から提案を拒んだ労働者が順次、HDに復職、バス以外の会社に再出向となった。
判決は、労働協約に「労働条件の差異を補填する」との記載しかないことから、バス業務の継続を保障したものではないと判断。同意なく相鉄バスに転籍させ、給与を減らすことはしていないなどとして、問題ないとした。
また、相鉄バスが人手不足の中、HDがベテラン運転手らをバスの仕事から外し、同じ基本給で専門性の低い仕事をさせていることについても、再出向先で人員の余剰が出ていないことなどから、合理性があると判断。「追い出し部屋的な対処であり、人事権の濫用」とする労働者側の意見を退けた。
相鉄HDは、「当社の主張が認められたと理解している。組合側との話し合いを重ね、健全な労使関係を築いていきたい」とコメントしている。
(弁護士ドットコムニュース)