モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第8戦ブリストル
カイル・ブッシュが2週連続勝利!
トヨタはブリストルの両レースを制覇
世界最速のハーフマイル、ブリストルで行われたNASCARカップ戦は、降雨により2日間にわたっての開催となりましたが、終盤のバトルを制したカイル・ブッシュが前戦テキサスに続き、2週連続勝利を飾りました。エクスフィニティ・シリーズでもライアン・プリースが今季初勝利を挙げ、トヨタはこのレースウィークの両レースを制しました。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第8戦 Food City 500
開催日:4月15,16日
カイル・ブッシュが2週連続勝利!
4月15日(日)と16日(月)にかけて米国南部テネシー州ブリストルのブリストル・モーター・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第8戦『Food City 500』が開催されました。
ブリストルは50年以上の歴史を持ち、NASCARが開催されるコースでは2番目の短さ(1周0.533マイル:約860m)ながら、バンク角が26度~30度と深いためハイスピードなバトルが繰り広げられ、『世界最速のハーフマイル』と呼ばれています。
このブリストルでトヨタは過去9勝。そのうちカイル・ブッシュが5勝を占め、昨年夏の大会も制しています。また、デニー・ハムリンも1勝を挙げており、得意のショートオーバルでの今季初勝利に期待がかかりました。
15日(日)は天候の悪化が予想されていたため、当初の予定よりも1時間スタート進行を早める措置が取られましたが、結局断続的な雨により、30分ほど遅れた午後1時33分に0.533マイルショートオーバルを125周、125周、250周の3ステージ合計500周(266.5マイル:約430km)して競われる決勝レースのスタートが切られました。
スタートして間もない3周目に、中団グループでスピンに起因する多重クラッシュが発生。26番手スタートだったマーティン・トゥルーエクスJr.はスピン車両を避けきれずクラッシュ。車両に大きなダメージを負ってしまい、修復のため大きく順位を落とすこととなってしまいました。
レースは再スタートが切られましたが、再び降り始めた雨により46周で赤旗中断。30分弱の中断の後に再開されましたが、200周を過ぎたあたりで再度降り始めた雨は本格的になり、レース成立の周回数(予定全周回数の50%)に達していなかったため、翌月曜日に続きが行われることとなりました。
16日(月)も空には厚い雲がかかり、肌寒い中での再開。午後1時再開の予定でしたが、その直前には雹混じりの雨も落ちてくるなどしたため、やや遅れた午後1時半過ぎに車両が再びコースへ。ステージ2の残り33周で再スタートが切られました。
4位で再スタートを切ったカイル・ブッシュと、25番手スタートからトップ10圏内までポジションを上げてきていたハムリンが首位争いに加わり、ステージ2はカイル・ブッシュが2位、ハムリンが4位となりました。
ステージ3を3位、4位でスタートしたカイル・ブッシュとハムリンでしたが、ハムリンはまもなくホイールが緩むというトラブルに見舞われ、グリーンフラッグ下で予定外のピットイン。3位につけ、優勝も狙える位置にいたハムリンでしたが、これで2周遅れとなってしまいました。
後半戦はカイル・ブッシュがトヨタ勢では孤軍奮闘となりながら首位争いを展開。3位以下を大きく引き離しての、ライバルとの一騎打ちとなりましたが、グリーンフラッグ下での走行が続く中、カイル・ブッシュもタイヤの摩耗が進みペースダウンを強いられた残り30周、ほかの車両がタイヤバーストでクラッシュし、イエローコーション。
各車タイヤを交換し、残り22周で再スタートが切られると、3位のカイル・ブッシュはすぐに2位へとポジションを上げ、残り8周で首位の車両とテール・トゥ・ノーズ状態に。そして、残り5周でライバルをかわしたカイル・ブッシュはそのまま逃げ切り、トップチェッカー。前戦テキサスに続く2週連続で、今季2勝目を挙げました。
カイル・ブッシュにとってはカップシリーズで通算45勝目。ブリストルでは現役最多となる7勝目(うちトヨタで6勝)となりました。また、この勝利でトヨタはマニュファクチャラーポイントでも首位に立ちました。
次戦第9戦は4月21日(土)、米国東部バージニア州リッチモンドのリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで行われます。
ドライバー カイル・ブッシュ
「長い長い中断があり、何度も車両を乗り降りしなくてはなりませんでした。この様なレースでは集中力を切らさないことが大切です。チームも素晴らしい仕事をしてくれて、最高のトヨタ・カムリを用意してくれました。特にロングランでは絶好調でした」
「ただ、最後のコーションが出る直前のロングランでは42号車(カイル・ラーソン:シボレー)の後塵を拝することとなり、終盤は酷いタイヤからの振動に苦しみました。しかし、絶好のタイミングでコーションが出て、我々はそのチャンスを逃しませんでした」
「最後は20周あまりの短期決戦となり、周回遅れの現れる中でタフな戦いでしたが、勝つことが出来ました」
NASCAR XFINITY SERIES
第7戦 Fitzgerald Glider Kits 300
開催日:4月14日
ライアン・プリースが今季初勝利!
4月14日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第7戦『Fitzgerald Glider Kits 300』がブリストル・モーター・スピードウェイで開催されました。
14日(土)午後1時16分、0.533マイルショートオーバルを85周、85周、130周の3ステージ合計300周(159.9マイル:約260km)して競われる決勝レースがスタート。
4周目に多重クラッシュが発生し、3番手スタートのクリストファー・ベルが巻き込まれてしまいました。ベルはこのアクシデントで30位前後まで大きくポジションダウン。しかし、再スタート後猛烈な追い上げを見せ、多発したイエローコーションと好ピット作業、ピット戦略にも助けられて、ステージ1をトップでフィニッシュ。貴重なプレーオフポイントを獲得しました。
ライアン・プリースが4位。6番手スタートから一時は3位を走行していたブランドン・ジョーンズはピットロードで他車に阻まれる形となり、19位でステージ1を終えました。
ステージ2は序盤連発したクラッシュを避けたトヨタ・カムリ勢が一時2-3-4位を走行していましたが、141周目に3位走行中のベルが、他車がクラッシュしたところを避けられずに突っ込み、激しくクラッシュ。ベル自身は無事だったものの車両のダメージが大きく、惜しくもレースを終えることとなってしまいました。
このアクシデントによりレースは赤旗中断。再開後はロングランで速さを見せたプリースがステージ2を制覇。ステージ終盤のコーションでピットインする作戦を採ったブランドン・ジョーンズはステージ3のスタート前にピットに入らず、ステージ3再スタート後の185周目に首位に浮上しました。
チームメイトのプリースもこれに追いつき、最後の100周はイエローコーションがなかなか出ない中、首位を逃げるブランドン・ジョーンズを、チームメイトのプリースが追う展開に。2台は1秒以内の差のまま、ほかの車両を次々に周回遅れにしていき、終盤には首位と同一周回はわずか7台に。
そのままブランドン・ジョーンズが逃げ切って自身初勝利となるかと思われた282周目、残り18周にしてクラッシュ車両によりイエローコーション。
首位を行くブランドン・ジョーンズはタイヤを2本のみ交換する作戦に出て首位のポジションをキープしたのに対し、プリースを含む後続勢は4本交換。タイヤで優位な状態で残り10周での再スタートを切ったプリースは、好ダッシュでブランドン・ジョーンズをかわすと、トップでチェッカー。今季エクスフィニティ・シリーズ参戦3戦目にして初勝利、自身キャリア2勝目を挙げました。
ブランドン・ジョーンズはタイヤの不利に苦しみながらも6位でフィニッシュしました。
次戦第8戦は4月20日(金)、リッチモンド・レースウェイで行われます。
ドライバー ライアン・プリース
「最後のコーションが出なかったら、(ブランドン・)ジョーンズが勝っていたでしょう。このチームで戦うことが出来、再びビクトリーレーンに上がれて、言葉がありません。既に気持ちは次にレースを戦う2か月後のデイトナへ向かっています」
「私は昨年のアイオワで勝ち、そして今日ブリストルで勝てましたが、ショートオーバルだけが得意だと思われたくないので、一刻も早く1.5マイルオーバルで勝ちたいです。勝利に勝るものはありません」