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米山知事が「女性問題」で辞任 女子大生との「援助交際」、法的な問題は?

2018年04月19日 11:32  弁護士ドットコム

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新潟県の米山隆一知事が4月18日夜、「週刊文春」で報じられた女性問題の責任を取り、辞職することを明らかにした。19日発売の「週刊文春」(4月26日号)は、米山氏が出会い系サイトで複数の成人女性に金銭を渡し、肉体関係を結んでいたと報じている。


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米山氏は独身で、相手女性との詳細は不明だ。それでも何か法的な問題はあるのだろうか。援助交際の法的な問題について検討した。


●援助交際って法的に問題ないの?

異性に対して金銭を渡して肉体関係を結ぶ「援助交際」。モラルをのぞき、この行為に関する法的な論点は、次の2つだ。


(1)売春は違法なのか


(2)「援助交際」は売春と言えるのか


●「売春」は違法だが、刑事罰はない

まず(1)の売春が違法かどうか。結論からいえば、買ってもダメ、売ってもダメ。しかし「違法だが、刑事罰はない」というのが、厄介なところだ。


「売春防止法」は、売春の定義を「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう」(第2条)と定めている。また、そのような売春行為をすることを「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」(第3条)と明確に禁じる。


ただ、刑事罰の対象になるのは、「勧誘する人」「周旋(あっせん)する人」(第6条)に限られる。経営者や客引きは刑事罰の対象だが、客や売春する人は刑事罰の対象外なのだ。


●援助交際は「売春」なのか?

次に(2)援助交際は「売春」かどうか、を検討しよう。


「売春=違法」ということは(1)で説明したが、援助交際の場合にはどうか。米山氏のように独身で、「少なくとも僕は好きでしたよ」(4月17日の記者会見より)という場合、自然な恋愛だとも言えそうだ。


一般的にも「女性と肉体関係を持ちたい」と考えた男性が食事をご馳走したり、プレゼントを贈る。そうして関係を深めながら、肉体関係に至ることに違和感はない。援助交際においても、全てのケースが「売春であり、違法である」とは言い切れないのが難しい点だ。


結論として、独身である米山氏が金銭を支払って、女性と肉体関係を持ったとしても、それだけでただちに「違法」だとはいえない。


しかし、「週刊文春」の記事によれば、相手側女性は「最初からお互い援助交際が目的」と証言している。関係を深める中で「少なくとも僕は好きでしたよ」という恋愛感情が芽生えたとも言えなくはないが、女性については「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交する」(売春防止法第2条)に該当するとして、その相手である米山氏も「刑事罰はないが、違法」となる可能性はある。


●相手が未成年、どちらかに配偶者がいた場合には

また、今回のケースとは異なるが、相手が未成年だった場合や、配偶者がいた場合には法的な問題を孕む。


援助交際をしている女性が、18歳未満の時は、「児童ポルノ法」(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)によって、厳しく罰せられることになる。


また、米山氏は独身だが、もし妻子がいた場合には、「不貞行為」と「不法行為」の問題に発展する可能性があった。


(弁護士ドットコムニュース)