今週末、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で、MotoGP第3戦アメリカズGPが開催される。
アメリカズGPは今年で6回目の開催となるグランプリ。アメリカでは以前はラグナ・セカで開催されていたアメリカGP、インディアナポリスで開催されていたインディアナポリスGPと年間3戦が開催されていた時期もあったが、現在はこのアメリカズGPのみの開催となっている。
アメリカズGPの舞台はテキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)。テキサス州の州都、オースティンの郊外にある2012年にオープンしたコースで、MotoGPシリーズは2013年から開催されている。
COTAは1周5.513kmのコース全長を持ち、シリーズ19戦中、シルバーストン、セパンに続くロングコース。左11、右9の計20コーナーで構成され、バックストレートは約1.2kmと長く、昨年は345.2km/hのトップスピードを記録している。
しかし、1周の平均速度はタイトコーナーが多いために160.6km/hと意外に低く、ヘレス、ル・マンなどとほぼ同じレベルで、どちらかと言えば、中・低速コースに分類される。
スタート直後の1コーナーに向けては急な上りで、タイトな左曲がりの1コーナーを抜けた後は、右、左と連続して切り返す中・高速コーナーが続き、バックストレートを抜けた後の後半セクションは、低・中速コーナーが連続する反時計回りのレイアウトとなっている。ハードブレーキングポイントも多く、最大高低差も41mとテクニカルなサーキットだ。
なお、今年から一部のレースで決勝周回数が変更されることが2月に発表されているが、アメリカズGPはその1戦目となる。MotoGPクラスは20周(昨年までは21周)、Moto2クラスは18周(昨年までは19周)、Moto3クラスは17周(昨年までは18周)で開催される。
昨年のレースは、MotoGPクラスではマルク・マルケス(ホンダ)が2分02秒741でポールポジションを獲得。決勝はダニ・ペドロサ(ホンダ)が好スタートでレースをリードするが、マルケスが9周目にトップに浮上すると、中盤以降は独走、アメリカズGPでは初開催の2013年以来、負け知らずの5年連続でポール・トゥ・ウインを飾った。終盤にペドロサを交わしたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が2位に入賞、ペドロサが3位に続いた。
Moto2クラスではポールポジションからスタートしたフランコ・モルビデリ(カレックス)が優勝。Moto3クラスでは予選3番手からスタートしたロマーノ・フェナティ(ホンダ)が優勝した。
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は、初開催の2013年からマルク・マルケス(ホンダ)が5年連続でポール・トゥ・ウインを飾り、圧倒的な強さを誇るコース。今年もマルケスが連勝記録を伸ばすことができるかどうかに注目が集まる。
チャンピオンシップ争いは2戦を終了した時点で混戦。不安定な天候と微妙な路面コンディションで波乱のレースとなった前戦アルゼンチンGPで優勝したのはカル・クラッチロー(ホンダ)。クラッチローはヨハン・ザルコ(ヤマハ)、アレックス・リンス(スズキ)とのトップ争いを制して、今シーズン1勝目を記録、ランキングトップに躍り出た。
開幕戦カタールで優勝を飾ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)は6位に終わり、ランキング2位に後退してしまった。それでもクラッチローとのポイント差はわずか3ポイント。
ザルコはアルゼンチンで2位に入賞し、ランキング3位に浮上。マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)はまだ表彰台には立っていないが、カタール6位、アルゼンチン5位でランキング4位をキープしている。
マルケスはアルゼンチンでは、スタート直前にエンジンストールに見舞われ、すぐに再始動できたものの、この行為によりライドスルーペナルティを受けたため、後方に後退。そこから追い上げて、7番手までポジションを挽回したが、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)をパスしようとした際に接触、押し出された形となったロッシがグリーン上で転倒してしまうアクシデントが起こった。
マルケスは5位でチェッカーを受けたものの、この接触に対してレースタイムにプラス30秒のペナルティが課せられ、マルケスは最終的に18位となった。いっぽうのロッシは再スタートして19位でゴールしたが、ロッシはマルケスの接触を非難。二人は共にノーポイントに終わり、マルケスはランキング5位、ロッシはランキング8位に後退。
2015年のセパンクラッシュと同様、二人の間には不穏な空気が流れている。それがレースにどのように影響を及ぼすのか。
アルゼンチンの予選でポールポジションを獲得したジャック・ミラー(ドゥカティ)はランキング6位。ミラーは予選ではウエットパッチの残る路面コンディションの中、スリックタイヤを選択してポールを獲得。決勝はただ一人最初からスリックを選んでグリッドに着いたが、路面状況の変化を見た他のライダーが次々とマシン(タイヤ)変更のためにピットに戻ったことからスタートディレイとなった。最初からスリックを選んでいたミラーはそのままグリッドに止まり、最終的にミラーのアドバンテージをキープするために、ミラーとその他のライダーの間をグリッド5列分空けて、決勝のスタートが切られる変則的なレースとなった。ミラーは表彰台争いに加わりながら4位に終わった。
ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)がランキング7位に続く。ロッシが8位に続き、アルゼンチンでMotoGP初表彰台となる3位に入賞したリンスがランキング9位に浮上。チームメイトのアンドレア・イアンノーネ(スズキ)がランキング10位に続く。
ランキング12位に後退したダニ・ペドロサ(ホンダ)はアルゼンチンの決勝1周目にザルコにインに入られ、アウト側のウエットパッチに乗ってハイサイド転倒、右手を強打し、精密検査の結果、骨折が判明。手術を行ない、アメリカズGPはメディカルチェック次第となる。
ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)は開幕戦カタールでブレーキトラブルによりリタイア、第2戦アルゼンチンでは15位入賞に止まり、ランキング20位と、ドゥカティ2年目の今年も苦戦を強いられている。
中上貴晶(ホンダ)はアルゼンチンでは難しいコンディションのレースを走り切り、13位に入賞。MotoGPクラス初ポイントを獲得し、ランキング18位で3戦目となるアメリカズGPに臨む。