とにかく会話が下手な人が世間にはしばしばいる。彼らは一体どうして、あそこまで人と話をし、盛り上げるための術を知らないのだろうか。口八丁で生きてきた僕は、正直「かわいそうだなぁ」というよりも、軽く哀れみの視線を向けてしまう。
もちろん、会話が下手だからといって人間性がダメというわけではない。口下手だけど暖かい人間は山のようにいる。しかし、一方で口下手な人間、話ができない人間は第三者からの共感を得ることは難しい。(文:松本ミゾレ)
「どこで話をつなげながら切り返すか、自分が話してる時も相手にどこでターンを渡すかを考える」
先日、5ちゃんねるを見ていたら、気になるスレッドを目にした。「またその導入かよ、芸がないな」と思われるかも知れないが、気にしないで欲しい。
そのスレッドとは「話の広げ方がわからん」というもの。スレ主は他人との会話の広げ方がよくつかめず、最初は盛り上がるものの、そこからの広がりに乏しいことに苦慮しているという。
そういう自覚があるだけ立派だ。世間には全くつまらない話しかできないくせに、さも自分が名MCかのように振舞う人も多い。彼は、会話中もしっかりと自分の発言に反省し、相手の反応を窺うことを知っている。
であれば、後はその会話をどうすれば盛り上げることができるのかについて考えるだけでよろしい。
当該スレッドをよく見ると、スレ主にアドバイスをするネットユーザーによる、素敵な意見がいくつも確認できる。引用して紹介したい。
「単語に着目せよ。単語から連想しろ」
「質問攻めしないで自分の意見も述べろ」
「ターン制ということを意識するんや。どこで話をつなげながら切り返すかを考える。自分が話してる時も相手にどこでターンを渡すかを考える」
個人的に思う、"会話が人並みに上手い人"がそつなくこなしているポイントと合致した意見をこちらで紹介させてもらった。この3点がしっかり踏襲できている人って、大抵会話に強い印象があるんだけど、あなたはどう思うだろうか。
わざと分からない体で質問をしてみたり。聞いて終わりではなく、そこから自分の考えも添えたり。しゃべりっぱなしでなく、ある程度自分の意見を語り足りない辺りで相手にボールを投げたり。
これらができている人というのは、会話にアンバランスさがなく、話の展開が自然だと感じる。
若くして「俺は会話が下手だ」と自覚したなら、上達のきっかけも早く掴める
ところで、このスレ主はなかなか向上心がありつつも、会話の才能はまだまだ未発達なようだ。「最初は会話が盛り上がるけど広がりがない」とか「自分が話すのは好き」とか、ある意味で幼稚に見える書き込みを連投している。
が、それもそのはず。読み進めていくと彼は「今度高校に来てる留学生に話しかけるとき~」などと書いている。つまり、まだ学生。会話が上手い奴の方がそもそも少ない年代なのだ。
そうと分かれば事情はちょっと異なってくる。高校生の会話に広がりがないなんてこと当たり前だ。むしろ高校生なのに「会話がイマイチ盛り上がらない」と悩んでいるなんて、彼は実に優秀で伸びしろのある若者のように感じられる。
学生時代にこういうところに気が向く人というのは、社会に出てしまえばちょっとしたきっかけで会話の、それこそ流暢な糸口を見出せるはずだ。「ヤバい」や「ウケる」だけで会話を成立させる学生の数億倍賢いではないか。冗談抜きに「コイツ終わってんな」としか言えないレベルでまともに会話ができない若者っているものだし。そいつらに比べれば御の字である。
「僕は会話が苦手かもしれない」と早いうちに自覚をすることができた人は、間違いなくそのうち会話が上達する。スレッドに寄せられているアドバイスには、有用な意見も数多い。こういった声を吸収し、自分の会話に組み込めば、その辺の同世代なんかよりもよほど聡明な若者になれることだろう。