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Dream Amiが語る、自身の世界観とその表現「ファンタジーとリアリティの共存を意識している」

2018年04月18日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 Dream Amiが、4月18日に新シングル『アマハル』をリリースする。同作の表題曲「アマハル」は、春を彩る甘く切ないミディアムナンバー。自身も出演するブルボン「おいしいココナッツミルク」CMソングに決定している。シングルに付属するDVDには、 新曲のMVに加え『Dream Ami 1st Live Tour 2017 ♡ Re: Dream』東京公演(アンコール含む全歌唱曲21曲)の模様が収録される。初のソロツアーを終え、アーティストとして新たな一歩を踏み出したDream Amiは今、どんなビジョンを抱いているのか。新曲に込めた想いから、理想の表現者像についてまで、詳しく話を聞いた(編集部)


参考:E-girls「あいしてると言ってよかった」注目ポイントは? 歌詞世界・ダンス・ボーカルから紐解く


■「恋愛の切ない感情と、キラキラした一瞬の輝き」


ーー「アマハル」は、J-POPでは定番のいわゆる“春ソング”で、散りゆく桜をモチーフに、繊細で切ない恋心を歌いながらも、同時に希望も感じさせる一曲に仕上がっていると感じました。作詞は、LDH所属アーティストの楽曲の多くを手がける小竹正人さんによるものですが、どんなやり取りがありましたか?


Dream Ami(以下、Ami):小竹さんには、ソロデビュー曲の「ドレスを脱いだシンデレラ」も書いていただいているのですが、昨年一年くらいは自分で作詞に挑戦したりしていたこともあって、作詞をお願いするのは久しぶりでした。最初にこの楽曲のデモを聴いたとき、これは自分で書くよりも小竹さんに書いていただいた方が良い歌になると思い、「春が過ぎ去っても聴ける春ソング」というテーマでお願いしました。4月の半ば過ぎのリリースの作品で、すでに桜は散っている時期ですが、それも含めて希望を感じられるような歌にしたかったんです。小竹さんに直接お願いしたときには、バラード曲の執筆が続いていたそうで、「久しぶりにこういうさやわかな曲に歌詞をつけることができて嬉しい」と仰ってくださいました。小竹さんは昔から私のこともよく理解してくださっているので、とても信頼しています。


ーー「アマハル」は、Amiさんが出演しているブルボン「おいしいココナッツミルク」のCMソングにもなっていますね。


Ami:もともとCM曲になることは決まっていたので、さやわかでキャッチーな楽曲にしたいとは考えていました。メロディーもシンプルで覚えやすく、キーもあまり高くなくて歌いやすいので、多くの方に親しんでいただける楽曲になっていると思います。加えて、恋愛の切ない感情と、キラキラした一瞬の輝きを同時に表現しているのがこの楽曲のポイントなので、そのバランスはかなり意識して、何度も調整しました。


ーーE-girlsでのAmiさんの歌唱は元気で明るいイメージが強かったですが、ソロの楽曲では大人っぽさや上品さも感じられて、そこがひとつ大きな変化だと感じています。


Ami:グループで歌うのとソロで歌うのでは、まったくアプローチが違います。グループでは一人ひとりに与えられた役割があって、それをまっとうするのが大事でしたが、ソロではひとりで色んな役割を務めなければいけません。E-girlsでのわたしは、基本的に明るくてポップな部分をまかされることが多かったのですが、ソロでは哀愁や淡い恋心などの繊細な感情の表現にも挑戦しているので、そこが仰るように変化と感じていただけているのかもしれません。


ーーカップリングの「ノーアイディア」は、「Re: Dream」などの楽曲に続くAmiさん自身による作詞曲で、ユニークな言葉選びが印象的です。「フリフリワンピース」や「イエデン教えてよ」など、今ではあまり聞かない単語もでてきますね。


Ami:この曲はデモの段階から「ノーアイディア」という仮歌詞がついていて、その言葉のインパクトが強かったので、そのまま使うことにしました。なにに対してノーアイディアなのかをいろいろと考えて、恋愛に対して不器用だけれど、真っ直ぐで前向きな主人公の姿が浮かんだので、その物語を歌詞に落とし込んでいきました。それと、楽曲そのものに懐かしさを感じて、わたしが小学生だった頃の90年代後半を連想したんですよね。なので、今ではあまり使われない言葉をあえて使ってみました。


ーーたしかに90年代っぽいノリを感じますね。ユーモアのセンスも、森高千里さんの歌詞を彷彿とさせるような。


Ami:森高千里さんを連想していただけるのは嬉しいですね。森高千里さんの歌詞をすごく研究したりしているわけではないですけれど、ご自身であのユニークな歌詞を書かれていたというのは私にとって衝撃的で、尊敬しています。この曲に正統派な歌詞をつけると、さらっと聴き流せてしまうものになってしまうのかなと思い、どこかにフックとしてコメディっぽいインパクトを加えたいと考えて書いたので、森高千里さんっぽいと感じていただけたのなら、狙い通りにはなったのかなと(笑)。


ーー歌詞にちょっとした遊びがあるのが、Amiさんらしさとして、だんだんとファンの方にも認知され始めているのではないかと思います。前回のインタビュー(参考:Dream Amiが語る、ソロ活動への意欲と新たな夢「自分らしく楽しむことに喜びや幸せを感じる」)では、作詞は恥ずかしいと言っていましたが、慣れてきましたか?


Ami:ぜんぜん慣れないです! フックを作ってみようとか、今回はこういう主人公にしてみようとかはありますけど、書いたあとは周りのスタッフの方に見てもらってアドバイスをもらったりして、なんとか書き上げている感じです。恥ずかしさもまだ全然あって、「ノーアイディア」なんて“恥ずかしオンパレード”ですよ。時間も随分かかっちゃいますし、正直なところ自信はないのですが、ファンの方が楽しみにしてくださっていると信じて、一生懸命に頑張っています(笑)。


■「全員がDreamの一員として頑張っている」


ーー今回のシングルには、「Dream Ami 1st. Live Tour 2017 ♡ Re: Dream」の模様を収めたDVD付きのバージョンもあります。ライブを拝観させていただきましたが、ミュージカルっぽい感じもあれば、ギター演奏もあって、エンタメ性の高いショウでした。


Ami:ありがとうございます! 今回は初めてのソロツアーということもあって、自分の中で見せたいものがいっぱいあったので、それをすべて詰め込んで繋いでいくのは大変でしたが、結果としてやりたいことを形にできたとは思います。E-girlsのツアーで培ってきた経験で、こうすれば盛り上がるとか、こうすると空気が変わるとかは、なんとなく肌感覚でわかっていたので、その意味でコレオグラファーさんと意見が一致するところは多かったです。「ここはもう少しこうした方が良いよね?」「私もそう思っていました!」みたいな(笑)。全体の流れを意識しつつ、意外性を盛り込んだり、しっとりと聴かせるコーナーを作ったり、お客さんと一緒に盛り上がれるコーナーを作ったり、各コーナーの役割はちゃんと意識しました。


ーーAmiさんが描こうとしている世界観も、しっかりと感じることができるライブでした。改めて、Amiさんのソロ活動での表現を言葉にすると?


Ami:「ファンタジーとリアリティの共存」は意識していることです。基本的には、夢とか希望とか、みんなが心のどこかで憧れている世界を表現していきたいのですが、ですがそれだけではなくて、生身の人間性みたいなものも同時に伝えていきたいです。夢とか希望だけがあっても説得力がなくて、人の生活の延長にあってはじめて輝くものだと思うんですね。そのバランスがうまくいって、伝えたいメッセージがちゃんとお客さんにも支持してもらえたら、Dream Amiの世界観はもっと色濃いものになっていくと思います。私は昔から「この人みたいになりたい」という決まった目標がなくて、それが悩みでもあったのですが、突き詰めて考えると、きちんと自分の理想像というのはあるんですね。それはきっと、自分にしか作れない世界を表現したいということで、今はその過程にいるのかなと。いつか私の表現が、誰かの生活に少しでも良い影響を与えることができたら嬉しいです。


ーー「希望の光 ~奇跡を信じて~」の歌唱の際は、感極まって涙していましたね。Amiさんのいう“人間性”が感じられた瞬間で、お客さんもグッときていたと思います。


Ami:「希望の光 ~奇跡を信じて~」は、Dreamの辛い時期を歌った曲でもあって、いろんな思い出がフラッシュバックしてしまうんです。現状に満足しているわけではないですし、ゴールだとも思っていないですが、これまで頑張ってきた日々がよみがえって、気付いたら泣いていました。DVD収録の日はメンバーのAyaちゃんも観にきてくれていましたし、それでいろんな感情が溢れ出てしまったんだと思います。


ーーAyaさんはカメラマンとして個展を行っていますし、ShizukaさんはDANCE EARTH PARTYのメンバーとして精力的に活動を行っていますね。


Ami:Dreamのメンバーはそれぞれにやりたいことを見つけて、幸運なことに頑張れる環境もあるので、それはすごく良かったです。もちろん、あのまま三人で歌いたかったという気持ちもありますが、それだけがすべてではなかったんだと今は思っていて。今は今で、みんなそれぞれのフィールドで頑張っていますし、それぞれに苦戦もしています(笑)。そういう部分はDreamらしいですよね。一番嬉しかったのは、それぞれ個人の活動に専念するようになっても、みんな「Dreamのメンバーである」という意識を持ち続けていることです。全員がDreamの一員として頑張っているのがわかるんですよね。そこはきっと、私たちの強みにもなっていると思います。


ーー後輩たちにとっても、そんなDreamの皆さんの活動はお手本になっていると思います。


Ami:そういう意味では、責任は感じますね。後輩たちに対して、「私が道を切り拓くんだ」とか、そんなおこがましいことはとても言えないですけれど、私がソロ・アーティストとして認められるようになれば、LDHとしても可能性が広がっていくと思いますし、周りのスタッフの方々も同じ想いで頑張ってくださっていると思うので、その期待にはちゃんと応えていきたいです。(取材・文=松田広宣/写真=林直幸)