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関ジャニ∞ 大倉忠義、脱退決めた渋谷すばるへの“本音” 会見前ラジオでの発言から考える

2018年04月18日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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「いや、もう自分の好きなことやったらいいと思うよ。1回の人生なんだから」


 関ジャニ∞の大倉忠義とミュージシャンの高橋優がパーソナリティを務めるラジオ『オールナイトニッポンサタデースペシャル 大倉くんと高橋くん』(ニッポン放送)。4月14日深夜の生放送で、大倉は転職に悩むリスナーに先のような言葉を贈った。翌日に渋谷すばるが関ジャニ∞を脱退、ジャニーズ事務所の退所を発表する会見を控えていた大倉が、どんな気持ちで語ったのだろう。想像すると心がきゅっと締め付けられる。


(関連:渋谷すばるは関ジャニ∞の“音楽的支柱”だったーーグループ脱退に寄せて


 大倉は、関ジャニ∞に最後に加入したメンバーだ。「リズム感があるから」と安田章大、丸山隆平からドラムに推薦。社長から「もし1カ月でダメならもうひとりドラムのできるジャニーズJr.を入れてツインドラムにする」と条件を出された大倉に「チャンスやで」と背中を押したのが渋谷だった。「お前が努力して大倉ひとりでええってなったら、お前の勝ちやで」その励ましの言葉が、大倉の中で大きな支えになったと語っている。


 2002年には安田、丸山を含めて4人で“すばるBAND”を結成し、関ジャニ∞のコンサートでも演奏を披露。2006年には、“渋谷すばるwith大倉BAND”としてもライブを開催した。「(すばるくんは)ようドラムの脇に来てくれたな。言葉ではなく、目や空気で想いを伝える……そういうコミュニケーションがめっちゃ気持ちよかった」。関ジャニ∞としてドラムを叩くことでチャンスを掴んだ大倉は、グループありきの自分という“グループ至上主義”を確立させていく。関ジャニ∞のドラム=自分の居場所。その強い信念があったからこそドラムの腕を磨き、いつしか音楽にストイックな渋谷が「大倉のドラムで歌うのが1番気持ちいい」と言うほど、関ジャニ∞の土台を支える存在になっていった。


 「お前が大人になるにつれ、俺は子供になっていくからな!」とは、成長した大倉に対して渋谷が放った言葉だ。過去には自動車免許を取った大倉が「練習したい」と渋谷を誘い、旅行に出かけたこともあるふたり。年下だけど長男気質の大倉と、年上だけど次男気質の渋谷。ふたりはきっとシーソーのようにバランスを取りながら、お互いに支え、支えられてきたのだろう。一方で、ソロ活動を充実させていく渋谷を、大倉は「反対ではなかったけど、やっぱり応援できる気持ちではなかった」「まずは関ジャニ∞として売れるという気持ちが凝り固まってた」「あのときはすばるくんの意思を尊重できなかった」とまっすぐに振り返ったことがある。確固たる信念を前に、大倉は決して自分を曲げることはなかった。


 そして今回の会見でも、メンバーが参加した理由を「渋谷を送り出すために」(横山裕)、「グループとしての誠意」(丸山隆平)、「門出の日という気持ちが強い」(錦戸亮)、「口下手な男が一人で立ったら心配」(村上)と語る中、大倉だけは「僕は最初イヤだったんですけど」と率直な気持ちを話した。そして、「やっぱり勝手な決断をしたすばるくんのことを嫌いになれなかったですね」「どんな発言をするのか横で聞いていたいなと思いました」とも……。グループ至上主義の大倉からしたら、きっとまだ納得はしていないのかもしれない。それでも「嫌いになれない」「想いを聞きたい」と寄り添う気持ちは、限りなく関ジャニ∞ファンの心境に近い。


 ラジオ『大倉くんと高橋くん』では、エンディングに熊本地震で被災したリスナーからのお便りが紹介された。ラジオから聞こえるふたりの笑い声が希望の光になったこと。日常を取り戻してからも、毎日を頑張れる励みになったこと。高橋が読み終えると、大倉は「こちらこそありがとうございましたですよ。こういうことを言ってもらうと、仕事をやってる意義というか、やりがいっていうものをすごく感じる」と、しみじみと語り始めた。転職の悩みに対して応えたところと繋がってくると前置きをしながら「いろいろと仕事やってるとさ、辛いことももちろんあるし、んー……やめたいなっていうこと誰にでもあると思うし。それは俺にだってあるし。だからそういうこと言ってもらえるのが俺の元気になってるわけで。こういうのが励みになる」と声が震えているように聞こえるシーンもあった。


 「そうやってこれからも仕事はやっていきたいなって。俺もそうだし、みんなもそうだし、不安なこととかさ、これから不安で……っていう人に向けて、なんか伝えていきたい」と、アイドルとバンドマンのふたつの顔を持つ関ジャニ∞であることへのプライドを再確認するような言葉と共に、「LIFE~目の前の向こうへ~」を流した。この曲は関ジャニ∞がバンドスタイルでリリースした初シングル曲。歌い出しで聞こえてくるのは、もちろん渋谷のボーカルだ。そこには、翌日の会見に心が乱れるであろうファンたち、渋谷が抜けることで不安を抱えている関ジャニ∞のメンバー、そして新たな道を歩む渋谷、何よりも関ジャニ∞での居場所を応援してくれた渋谷という支えを手放す大倉自身が、前向きに奮起できるようにという願いが込められていたように思う。


 人生は変化の連続で、出会いは別れの始まりでもある。別れが辛いのは、それだけ幸せな出会いだったということだ。今は悲しみや寂しさが募る一方だが、大倉やほかのメンバーが懸命にファンへ希望の光を灯し続けようとしている。それを、大きくしていけるのがファンの力だろう。別れの辛さは消えないけれど、いつかまた大倉が「あのときのすばるくんには……」と笑いながら振り返ってくれる日がくることを願うばかりだ。(文=佐藤結衣)