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ENDLESS SPORTS スーパー耐久第1戦鈴鹿レースレポート

2018年04月17日 11:01  AUTOSPORT web

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3号車ENDLESS GT-R
ENDLESS SPORTS
スーパー耐久シリーズ 2018開幕戦

開催日:2018.3.31~4.1
サーキット:鈴鹿サーキット
チーム体制:エンドレススポーツ
ドライバー:YUKE TANIGUCHI/山内英輝/銘苅 翼

予選結果:2位
決勝結果:9位
シリーズランキング:ST-X CLASS 9位

[予選/3月31日(土)] 3号車 2位
Aドライバー/YUKE TANIGUCHI……4位 PM13:00~ 20分間 ドライ
Bドライバー/山内英輝……1位 PM13:55~ 20分間 ドライ
Cドライバー/銘苅 翼……2位 PM14:50~ 20分間 ドライ

スーパー耐久2018シーズンの開幕戦は、これまで恒例となっていたツインリンクもてぎから鈴鹿サーキットに舞台を移して行われた。そして、変わったのは開幕戦の舞台だけでなく、タイヤなどいろいろな面で様変わりしスーパー耐久は新たな一歩を踏み出すことになった。

 まず、シリーズ戦はこれまで同様全6戦だが第3戦に組まれた富士ラウンドは、十勝ラウンド以来の24時間レース。富士スピードウェイは日本屈指の高速サーキットだけに見所たっぷりだ。

 その記念すべき24時間レースの勝敗を大きく左右するのがタイヤだ。昨シーズンまでのADVANタイヤから今シーズンはピレリのワンメイクに変わった。当チームにとっては初めて使うタイヤだ。いかにピレリのポテンシャルを引き出すセッティングを見つけられるかが、大きなポイントになってくる。
 
 さらに、今シーズンから決勝レース中のレースコントロールが変わった。昨シーズンまでの赤旗によるレース中断セーフティカー(S/C)によるレースコントロールに加え、今シーズンからフルコースイエロー(FCY)というルールが新たに加えられた。

 FCYはコース内にマシンが止まり、S/Cがコースに入るほどではないという時に全ポストでFCYが提示されコースすべてが50km/h制限というルール。ちなみにST-Xのように250km/h以上も出ているマシンがいきなり50km/hにまで減速するのは危険なため10秒以内に減速というルールになっている。
 
 50km/h以下にまで落とされているかは、セクションごとに計測され、オーバーしていればペナルティが課せられる。

 これまでのSC以上にFCY提示時の戦略(ピットストップなど)が勝敗の行方を大きく変えそうだ。また、今シーズンからFIA GT3マシンが走るST-Xクラスは、ドライバーの細分化が図られた。
 
 ジェントルマンドライバーはSTOが認めた35歳以上のアマチュアドライバーでAドライバー登録。走行は決勝レース距離(時間)の3分の2以下で20%以上の走行。今回の開幕戦は5時間レースなので最大に乗れる時間は3時間20分。最低でも60分以上乗らないといけない。
 
 当チームのジェントルマンドライバーに当たるのが昨シーズンに引き続きYUKE TANIGUCHI。プラチナドライバーはSTOが認めたプロドライバー。走行は決勝レース距離(時間)の40%以下。
 
 今回の場合だと2時間までで山内英輝が当チームのエースドライバーとして今シーズンもチームを引っ張っていく。そして今シーズンから、ジェントルマン/プラチナドライバー以外をエキスパートドライバーとして称することになり当チームは今シーズンから新たに銘苅 翼を起用。
 
 銘苅はカートからフォーミュラトヨタ、フォーミュラチャレンジジャパン、フォーミュラ3へとステップアップ。昨シーズン参戦したポルシェカップでは全7戦すべてをポール・トゥ・ウインという圧巻の速さでチャンピオンに輝いている。

 ルールの変更などもあり、新たなスタートを切ることとなったスーパー耐久。ST-Xには9台のマシンがエントリーしている。ここまでの公開練習も含めると、速さではGT—R勢が一歩抜きに出ているようにも見えるが、タイヤの使い方、さらにはFCYなどツキも大きく影響するのは必死でどこが勝利を掴むかは予想できない。

 土曜日の予選では2分02秒台を狙って、AドライバーのYUKE TANIGUCHIがタイムアタック。2ラップ目には各セクターでライバル勢よりも速いタイムをマークするが、最終セクターで遅いマシンに引っかかりタイムを伸ばすことができず、このセクションでトップに付けたポルシェより0.813秒遅れの4番手にとどまった。
 
 Bドライバーの山内は、ピレリタイヤの美味しい部分を存分に引き出し、これまでのコースレコードを上回る2分00秒680までタイムを詰め、このセクションのトップにつけることに成功。A+Bドライバーの合算タイムで決められる最終予選結果では、24号車のGT-Rに0.265秒届かず2番手に終わるが、決勝スタート最前列を獲得、開幕戦勝利に向けて最高の滑り出しを見せた。

[決勝/4月1日(日)] 3号車 9位
PM12:20スタート 5時間レース(PM17:20チェッカー) ドライコンディション

 春らしい、穏やかな天候となった決勝当日。昨シーズンの鈴鹿ラウンドよりも1時間長い5時間となった決勝レースは、12時16分過ぎセーフティーカーに
誘導され、各車、グリッドから離れて行く。

 シケインから立ち上がってきたセーフティーカーが抜ける。スタートラインまでの走行権利を持つ24号車は、ギリギリまで超スローペースでコントロール。ラインまで一気に加速。

 これにピタッと合わせた山内は遅れることなくスタートする。背後からサイドへとプレッシャーをかける山内。オープニングラップは2番手。その直後にシケインでスピンしたマシンにより 1回目のFCYが提示される。

 最終的にFCYはチェッカーが振られるまでに計6回提示されることになる。無理をすることなく山内は2分05秒台でのラップ。ラップ遅れのマシンなどに引っかかり、トップの24号車との差が5秒にまで広がることもあったが

 1回目のピットストップの時には2秒台にまで詰まっていた。33ラップ過ぎ、山内から銘苅にスイッチ。タイヤ交換給油を済ませコースに戻ったときには5番手にまで後退していたが、その2ラップ後にトップの24号車がピットストップ。当チームの後方約7秒のところでコースに戻る。99号車がまだピットストップしていないため当チームのGT—Rはモニター上では2番手だが事実上のトップに躍り出た形となる。
 
 トップを走る銘苅。単独ではライバル勢と変わらない走りを見せるがラップ遅れのマシンに引っかかるとややタイムが落ちてしまう。最高速度で60km/h以上も遅いマシンをかわしていかなければならないのがスーパー耐久。スプリントレースではあり得ないようなシーンがスーパー耐久にはある。
 
 45ラップ過ぎ、FCYがふたたび提示される。このタイミングで当チームは銘苅からYUKE TANIGUCHIにスイッチする。YUKE TANIGUCHIは2番手でコースに戻り、51ラップのシケインで3番手に落ちるも2分07秒台でのラップを続ける。60ラップ過ぎ、当チームのマシンの右側タイヤ後方から炎が……。
 
 フェンダー内から後方に抜けるダクトにタイヤカスが引っかかり、これが発火した。峰尾監督はすぐに消えるのを察知してオフィシャルにオレンジボールの提示を遅らせるように求めるが認められず、62ラップすぎ、ピットストップすることになってしまう。これで5番手にまで後退。
 
 さらに災難は続く。その後は安定した走りを見せていたYUKE TANIGUCHIだが、75ラップ目のデグナーで当チームのGT—Rの右サイドに後方からきたポルシェが……。
 
 ピットにまで戻ってくることはできたが、サイドに取り回されているエキゾーストが完全に潰れてしまう大きなダメージを負っていた。結局、この修復に1時間以上も費やすことになる。
 
 完全に勝負権はないが銘苅にマシンに慣れさせる。たかだか2ポイントだがこの2ポイントが後々には効いてくることだってある。そのためにもしっかりと走り完走を目指した。
 
 結局、優勝も十分に狙えた開幕戦だったが、まさかの9番手という、あまりにも悔しい結果に終わってしまった。次回はSUGOラウンド。この悔しさはしっかりと返すべく、東北に乗り込みたい。

ENDLESS SPORTS
スーパー耐久シリーズ2018開幕戦

 開催日:2018.3.31~4.1
 サーキット:鈴鹿サーキット
 チーム体制:エンドレススポーツ
 ドライバー:小河 諒/高橋 翼/花里祐弥/呉 良亮

予選結果:クラス5位
決勝結果:クラス2位
シリーズランキング:ST-4 CLASS 2位

[予選/3月31日(土)] 13号車 5位
Aドライバー/小河 諒……9位PM13:00~ 20分間 ドライ
Bドライバー/高橋 翼……4位PM13:55~ 20分間 ドライ
Cドライバー/花里祐弥……6位PM14:50~ 20分間 ドライ
Dドライバー/呉 良亮……未出走 PM15:25~ 20分間 ドライ

 2018シーズンのスーパー耐久は、鈴鹿サーキットで幕を開けた。慣れ親しんできた横浜ゴムからピレリにコントロールタイヤが変更。フルコースイエロー(FCY)という新しいルール。さらに第3戦に24時間レースが組まれるなど今シーズンのスーパー耐久は大きく変貌を遂げようとしている。
 
 ちなみに13号車の今シーズンの体制だが、昨シーズン、悔しい思いをした小河 諒/高橋 翼/花里祐弥がそのままステアリングを握り、タイトル奪取を目指す。
 
 一方、新たに新人育成も含めて2017シーズンの86レーサーズでランキング2位につけた呉良亮を新たに加えた。カートも含め、ほとんどレース経験がない呉がどのように育っていくか、当チームにとって楽しみな存在だ。

 一緒に戦っているST-Xクラスの3号車は、確実にセットが決まり、優勝をも狙えるなかで開幕戦を迎えるなか13号車は思うようなセットが見つからないまま予選に挑むことになってしまった。経験値が少ない小河諒/高橋翼/花里祐弥/呉良亮という若いドライバーにとって、メーカーの変更だけでなく、サイズも変更された
 
 タイヤの良さを引き出すのは容易なことではなかった。ライバルチームも苦しんでいるようだが、55号車はAドライバーの予選で当チームよりも2秒6も速い2分21秒103を叩き出し、完全に抜けていた。
 
 結局、Aドライバーの小河は2分23秒782でクラス9番手、Bドライバーの高橋は2分23秒770で4番手。スターティンググリッドを決める総合では5番手にまで上げているが、苦しい状況には変わりなかった。

決勝/4月1日(日)] 13号車 2位
 PM12:20スタート 5時間レース(PM17:20チェッカー) ドライコンディション

 昨シーズンの鈴鹿よりも1時間長い5時間レースで組まれた開幕戦は、クラス分けはされず、トップスピードで50km/h以上も速いST-Xクラスなどと一緒に走る混走レース。決勝では予選ほどの差はつかないと思われるが、それでも上位につけるライバル勢よりも遅いのは事実。
 
 なんとか上位に滑り込むには、ST-Xを初めとする速いマシンにパスされるタイミングをうまく使うしかない。さらにフルコースイエロー(FCY)という新しいルールもうまく使えれば、昨シーズンまでのセーフティカー(SC)以上に強い味方にできる。いずれにしても、常に食らいついていかないことにはチャンスも訪れない。
 
 開幕戦はスタートから厳しい戦いとなった。12時20分過ぎ、セーフティカーが抜け、スタートが切られる。ステアリングを握っているのは高橋。マシンをうまくイン側に持っていき、1コーナーで4番手に上がる。
 
 この勢いを維持して……。その直後にシケインでST-TCRのマシンがコース上でストップ。サスに大きなダメージを受けていて自走は不可能。これまでだとSCがトップのマシンの前に入り、最低でも2ラップはレースコントロールされるはずだ。
 
 しかし、今シーズンから導入されたFCYがこのオープニングラップで提示された。この場合だとマシンを撤去するためのFCY提示だが、提示される箇所はコース内すべてのポスト。この瞬間から追い越し禁止。さらに50km/hにまで減速しないといけない。
 
 ただ、フルブレーキングでの減速は危険なため、実際は10秒ほどの猶予が設けられていて、この間に50km/hにまで減速することになる。ちなみに50km/h以下になっているかどうかは、セクションごとに計られているタイムモニターで判断され、50km/h以上の場合はペナルティが課せられる。
 
 また、FCYの提示は撤去作業などが終われば、解除になり、その瞬間、その場所から再スタートが切られる。スタート直後のFCY提示だったので、各マシン間に大きなタイム差がなく、ピットストップする魅力もなかったが状況によっては、レースの流れを大きく変えてしまうはずだ。特に鈴鹿のように6km近く距離のあるコースだと50km/h制限では1ラップするのに約7分もかかってしまう。ピットに入るタイミングでピットレーンへの進入近くだったら、圧倒的に有利になる。

 当然、ピットレーン入り口をすぎたところでFCY提示が出ると、大きなハンディとなってしまう。結局、開幕戦ではチェッカーまでに6回のFCY提示が出された。そのなかでも2回目に提示されたFCY提示は当チームに有利に働いた。

 スタートドライバーの高橋は3ラップ目に5番手にポジションを落とすが、ラップタイムは2分26~27秒台と安定、5番手をキープする。トップ4台は当チームのハチロクよりも1秒以上も速い。
 
 そのなか、大きなチャンスが訪れたのは40ラップ過ぎだった。トップグループは33ラップ過ぎから1回目のピットストップを始めていた。そろそろ、当チームも1回目のピットストップに入るタイミングで、FCY提示が出される。タイムロスすることなくピットストップ。
 
 これで2番手に浮上。86号車はこのタイミングで2回目のピットストップを消化しているので、実際は3番手。小河は2秒前を走る55号車のハチロクに急接近、熱いバトルを繰り広げるが48ラップ目に接触してしまう。
 
 3回目のFCY提示もあり、当チームは花里にスイッチ。トップはすでに2回のピットストップを終わらせている86号車。当チームのハチロクが約37秒遅れの2番手で追う展開となる。
 
 新品タイヤに履き替えている花里は1分26秒台、チームベストを叩き出して追撃する。流石に86号車は速く急接近はできなかったが、安定した走りで71ラップ過ぎまで走り、5回目のFCYのタイミングでピットストップ、小河にスイッチする。燃費的に厳しい状況だったため、追い上げは断念。2位死守に切り替え、小河は抑えた走りでチェッカーを目指す。
 
 結局、逃げ切った当チームは苦しみながらも、2位でチェッカーを受けることに成功した。次回はGW突入のスポーツランドSUGO。2013シーズン(4月20日開催)には雪により中止になったことがあるほど……。さすがに雪は降らないだろうが、路面温度が低くなる可能性は十分にあるし、逆に夏日になる可能性もある。
 
 ピレリがどんな性能を見せるか、データが少なく、若いドライバーで編成される13号車にとっては、試練の日々がまだまだ続きそうだ。