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世界ラリークロス第1戦:エクストロームが優勝も、ソルベルグへの「尊重を欠く行為」で失格

2018年04月16日 14:51  AUTOSPORT web

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バルセロナRXのファイナルではマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクアトロ)がフォルクスワーゲンを抑えきりトップチェッカーを受けるも失格の憂き目に
2018年のWorldRX世界ラリークロス選手権は4月14~15日、スペインのカタロニア・サーキットで第1戦バルセロナRXが行われ、2016年チャンピオンのマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクアトロ)がトップチェッカーを受けたがレース後に失格処分を受ける波乱の幕開けとなった。

 サーキットレースとラリーの要素を併せ持ち、オーバーテイクやクラッシュなどが頻繁する迫力あるレース展開からヨーロッパや北米で高い人気を誇るラリークロス。特にヨーロッパ中心のWorldRXにはフォルクスワーゲンやアウディ、プジョー、ヒュンダイなどがワークス参戦を行うなど力を入れている。

 ドライバー陣も豪華な顔ぶれで、21018年はエクストロームのほか、ペター・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロR スーパーカー)やセバスチャン・ローブ(プジョー208WRX)、マーカス・グロンホルムの息子、ニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20 RXスーパーカー)といった面々が名を連ねている。

 レースウイークのフォーマットはクオリファイ・ヒートを4回実施。このクオリファイで上位12番手までのタイムをマークしたドライバーによってセミファイナル1、セミファイナル2が争われる。

 セミファイナルには各6名のドライバーが参加し、セミファイナル1、2でトップ3に入ったドライバー計6名によって、大会のウイナーを決める6周のファイナルが行われる。

 またWorldRXでは各ヒートやセミファイナル、ファイナルのレース中、通常のコーナーより大回りするセクション、“ジョーカー・ラップ”を1度走行する義務が課されている点も特徴。どのタイミングでジョーカーを通過するかはドライバーとチームの判断に委ねられているため、戦略を大きく分ける要素だ。

 第1戦バルセロナRXのファイナルではセミファイナル1を制したソルベルグがポールポジションを獲得し、フロントロウにエクストロームが並ぶ形に。

 2列目には2017年チャンピオンのヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロR スーパーカー)、ローブ、3列目にはエクストロームのチームメイトであるアンドレアス・バッケルド(アウディS1 EKS RXクアトロ)、グロンホルムがつけた。

■ソルベルグとターン1で交錯も、エクストロームがトップチェッカー

 迎えたスタート、もっともイン側からスタートしたソルベルグと2番手スタートのエクストロームはターン1の左コーナーに向けて互いにマシンフロントをぶつけながらアプローチ。この際、エクストロームはソルベルグと接触した後もイン側へ動き続け、ソルベルグをコース外へ押し出す形に。

 ラインを潰されたソルベルグは身動きが取れず、ショートカット防止のためコーナーイン側に置かれたタイヤバリアに激突。幸い、リタイアは免れたが最後尾6番手まで後退してしまう。

 これによりエクストロームはトップに浮上。2番手にクリストファーソン、3番手にはバッケルドが続く形となる。3番手からスタートしたローブはオープニングラップでターン6に設けられた“ジョーカー”を走行したため、いったん5番手までポジションを下げた。

 その後トップ争いはこう着状態が続くが、5周目にエクストロームが“ジョーカー”を消化して2番手に後退すると、“ジョーカー”未消化のクリストファーソンはトップを守るべく猛プッシュを開始する。

 しかし、“ジョーカー”のロスタイム3.5秒に対し、クリストファーソンのマージンは2.7秒。クリストファーソンが“ジョーカー”をクリアすると、エクストロームがトップに返り咲いた。

 追いかけるクリストファーソンは続くターン7~8の緩やかな左コーナーで車速を乗せて、エクストロームのアウトからオーバーテイクを試みたが、エクストロームはしっかりとラインをブロック。そのまま仕掛ける隙を与えず、0.529秒差で逃げ切り2018年初戦を制してみせた。

 クリストファーソンに続く3位はオープニングで“ジョーカー”を消化したローブが獲得。4位バッケルド、5位グロンホルム、6位ソルベルグのオーダーでチェッカーを受けている。

■エクストロームに失格裁定。オープニングのアクシデントは「ソルベルグへの尊重を欠く行為」

 しかし、レース後、スチュワードはエクストロームとソルベルグの交錯について、「カーナンバー5(エクストローム)はカーナンバー11(ソルベルグ)と左サイドが接触した後も左へ移動し続け、カーナンバー11をコース外に押し出し、タイヤバリアへ激突させた。これは危険な行為でありカーナンバー11への尊重を欠く動きだった」として、エクストロームに失格の裁定を下した。

 これによりバルセロナRXの勝利はクリストファーソンの手に渡り、キャリア通算10勝目を獲得。2位にはローブが繰り上がる形となった。


 エクストロームの失格で5位に繰り上がったソルベルグは「週末は充分なペースを発揮できた」とレースをふり返った。

「マシンはクオリファイから素晴らしく、セミファイナルで勝利を手にできた」

「ただマティアス・エクストロームとの接触で勝つチャンスを失ってしまったよ。本当にがっかりだ。マシンのパフォーマンスが素晴らしかったことが唯一の救いだね」

 WorldRX第2戦は4月28~29日、ポルトガルで行われる。