インディカー・シリーズ第3戦がロングビーチで開催。15日に行われた決勝レースは、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)がポール・トゥ・ウインで今季初勝利を飾った。
2018年はアレクサンダー・ロッシの年になる。そう強く感じさせるロングビーチの週末だった。プラクティス1こそスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が最速だったが、暑くなった午後のプラクティス2でトップタイムをマークしたロッシ。
翌日午前中のプラクティスでもトップをキープし、予選でもファイナルステージまで順調に駒を進め、2番手に0.3秒以上という大差をつけて今季初、キャリア2回目のポールポジションを獲得した。
レース前のファイナルプラクティスでもロッシの勢いに翳りは一切見えず、またもトップタイム。やや涼し目のコンディションで争われたレースでもまったく危なげのないスタートでリーダーの座を守ったロッシは、トップを明け渡したのはピットストップのタイミングだけで、85周のうちの71周をリードラップを記録し、2位に1秒2143の差をつけてゴールラインを横切った。
終盤にフルコースコーションが出されなければ、ロッシはもっと大きな差を突きつけてのゴールを果たしていたはずだ。レース前半に7秒以上も後続を突き放した彼は、フルコースコーションが入ってリードが帳消しになった後にもう一度7秒以上の差を築き上げてみせたのだった。彼のワンランク上の速さは、レース全体を通して保たれていた。
昨年のワトキンス・グレンでも他を寄せ付けない強さを見せて優勝したロッシだったが、今年は彼のチームであるアンドレッティ・オートスポートの実力がチーム・ペンスキーやチップ・ガナッシ・レーシングに対抗するのに十分なレベルに戻った。
いや、新エアロキット装着でのマシンのパフォーマンスはすでにペンスキーとガナッシの二強を上回っていると評価すべきだろう。自らの速さによってチーム内での地位も確実に高めているロッシ。
タイトル獲得経験もインディ500優勝も果たしているベテランのライアン・ハンター-レイが依然としてチームリーダーだが、ロッシの速さはチーム内の誰もが完全に認めており、彼をさらにサポートしていこうという雰囲気に満ちている。このままチーム共々勢いを保ち続けることができれば、ロッシにとって初めて、アンドレッティ・オートスポートにとっては5度目のチャンピオンシップ獲得がなるだろう。
開幕戦セント・ピーターズバーグのストリートレースで3位、第2戦フェニックスのショートオーバルで3位と連続表彰台だったロッシは、第3戦ロングビーチでシーズン初勝利。
フェニックス・ウイナーで昨年度チャンピオンのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)を抜いてポイントリーダーに躍り出た。そして、彼に22点の差をつけても見せた。ニューガーデンは今日のレースで7位と成績が振るわなかったのだ。
「ワトキンスグレンでの自分たちのマシンはかなり速かったが、今日、ロングビーチでも同レベルの実力を備えていたと思う。今でもまだ、ロングビーチで優勝できたと信じることができない」
「今週末のマシンの素晴らしさは言葉で表現するのが難しい。状況を的確に味方につけ、何も不運なことが起こらないレースとなったことを喜びたい。自分の故郷であるカリフォルニア州のレースで勝てたこともうれしい。そんなに故郷とロングビーチは近くないのだが、家族はもちろん、多くの友達が応援に来てくれた。彼らの前で優勝を飾れて最高の気分だ」とロッシ。
3位はエド・ジョーンズ(チップ・ガナッシ)。チームメイトのスコット・ディクソンと、開幕戦ウイナーのセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)がピットロード閉鎖中にピットに飛び込むミスでペナルティを受けて後退したことにも助けられての初表彰台となった。
前戦フェニックスでは2位フィニッシュを目前にしてクラッシュしたばかりなだけに、うれしく、そして安堵のできるトップ3フィニッシュとなった。
4位にはルーキーのザック・ビーチ(アンドレッティ・オートスポート)が入り、5位は予選も5番手だったグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)。彼はスタート直後のターン1でシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)に追突してペナルティを科され、最後尾から追い上げてトップ5位入りと、開幕戦と同じ波乱万丈のレースとなっていた。
6位はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート)と、トップ6にアンドレッティ勢3人が入った。
ニューガーデンは予選6番手よりも悪い7位という結果。8位はトニー・カナーン(AJフォイト・レーシング)で、9位はジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。チャーリー・キンボールはカーリンのインディカーでの初トップ10フィニッシュとなる10位でのゴールを最後列グリッドからのスタートで達成した。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選22番手から着々とポジションアップし、ピットタイミングも的確でレース中盤までに6番手まで大きくポジションアップしていた。
スピードもあり、さらに上位を狙うことさえ可能と見えていたが、目の前を走るハンター-レイがターン5でバランスを崩し、横をすり抜けようとしたタイミングで彼がラインへ戻ってきて接触。不運にも琢磨のマシンはフロントサスペンションが壊れ、ピットで長い時間をかけての修理が必要となった。上位フィニッシュの希望から一転、21位という結果になった。
「厳しいレースでしたが、エキサイティングな戦いができました。レースの前にチームで話をして、作戦も大事だが、まずはオーバーテイクが可能なマシンにしなければ、とセットアップ変更に踏み切りました」
「それが見事にはまり、1台ずつパスしていくレースを戦えました。強力なマシンになっており、6位にまで順位を上げることができました。残念ながら、リスタートの後にライアン・ハンター-レイがターン5でバランスを崩して大きくスライド。その直後にグリップが復活して僕のラインに戻ってきました」
「何とか避けようとしたんですが接触。軽いコンタクトだったのに、こちらのフロントサスペンションにダメージを負い、ピットでパーツ交換。本当に残念です。あのまま走れていたら表彰台も可能だった。結果には繋がりませんでしたが、そこまでの走りができたことをポジティブに捉えて次戦に備えます」と琢磨は語った。