4月7~8日に行われた2018年のスーパーGT第1戦岡山。今回は雨絡みの公式予選でマルコ・マペッリがデビュー戦ポールポジションを獲得したマネパ ランボルギーニ GT3や、開幕直前にBoP(性能調整)が改訂されたエボルーションモデルのニッサンGT-RニスモGT3にまつわるトピックスを紹介する。
■デビュー戦ポールポジションのマルコ、名字は“マッペリ”にあらず
GT300クラスで衝撃のデビュー戦PPを獲得したのが、JLOCのマルコ・マペッリ。彼は一体どんなドライバーなのか。
イタリア・モンツァ近郊出身、7歳でカートを始めたマペッリは2年だけシングルシーターも経験したが、資金が尽きて2008年からGTに転向。その後、2011年にイタリアのポルシェ・カレラ・カップでシリーズ2位となり、道が開けた。そして、2016年からランボルギーニのファクトリードライバーに。
そんな彼は、ロニー・クインタレッリが所属していたヴィレル・カートチームの後輩。昨年からは、ランボルギーニでアンドレア・カルダレッリと同僚ということで、スーパーGTについていろいろ話を聞いており、ずっと出場したかったという。
そして来日したわけだが、チームで最初にそう呼ばれたせいか、リザルトやプログラムにはすべて名字が“マッペリ”と表示されてしまった。でも、ホントは“マペッリ”。カルダレッリからも直にアドバイスされ、チームスタッフに「僕の名前は“マッペリ”じゃなくて“マペッリ”なんだよね~」とたびたび訂正のお願いをしているそうだ。
■徹夜での“計算”がもたらしたマネパ ランボルギーニ GT3のポールポジション
2台のランボルギーニ・ウラカンGT3を走らせるJLOCは今季、チーム体制を刷新した。レギュラードライバー4年目の平峰一貴がエースカー(88号車マネパ ランボルギーニ GT3)の第1ドライバーに就任し、相棒をランボルギーニのファクトリードライバーであるマルコ・マペッリが務める。そしてマペッリが雨の予選Q2で、チームに久しぶりのポールポジション(PP)をもたらした。
速さにこだわる平峰は、「正直言えば、僕がQ2を走りたかった」と笑いながらマペッリのPPを称賛するとともに、「エンジニア歴がまだ2年目の勝俣(雅史)さんに感謝したい」と語る。
「経験値が足りないから」という勝俣エンジニアは、開幕戦岡山に向けて徹夜での“計算”が続いていた。JLOCはこれまで、ドライバーに合わせるクルマ作りをしてきたが、ウラカンGT3を知り尽くすマペッリが言うセットアップをベースに、平峰と勝俣エンジニアがヨコハマタイヤ、日本のサーキットに合わせてアジャストしていく方針に変えた。これは平峰とマペッリのドライビングスタイルが似ていたためにできたことでもあるという。
さらにチームには今年、データエンジニアとタイヤのスペシャリストが加入しており、勝俣エンジニアをサポートしている。そして導き出された答えが、正しかったことを予選で証明してみせた。チームは88号車で新たな“クルマ作り”を進めていき、そのデータを今後87号車にも活かしていくという。
決勝はタイヤと路面とのマッチングを合わせきれず7位という結果に終わったが、チームの表情は明るい。それはまだ成長の過程にあるなかで、「いける」という可能性を感じることができたからだ。今季のウラカンは、かなり手強い。
なお、スーパーGT第3戦タイについてはマペッリは不参加。代役には今年からランボルギーニのファクトリードライバーになったアンドレア・カルダレッリが起用される予定となっていることからも、JLOCの今シーズンにかける思いの強さがうかがえる。
■見直されたGT-R GT3のBoP。でも「岡山であと3km/h欲しい」
18モデルのニッサンGT-RニスモGT3のBoP(性能調整)が、開幕戦直前に見直された。BoP重量がテスト時の+23kgから+10kgとなり、最大のネックだった過給圧も高くなった。しかし、重量面では13kgぶんの軽量化が実質不可能で、過給圧は「前より良くはなったけど、まだ足りない」状況だという。
それでもダンロップタイヤを装着する11号車は予選3番手、決勝でも一時はトップを走行して5位を得た。これで戦えるようになったか問うと、「今回はタイヤに助けられた。ヨコハマを履く10号車の結果(予選17番手/決勝13位)が現状のポジションだと思う。トップ争いするには岡山であと3km/h欲しい」とチーム。
これまで得意としてきた次戦富士、失われた翼(最高速)をどこかで補うことはできるのか。