バーレーンGPの4位入賞から1週間。中国GPでのトロロッソ・ホンダのレースは、後味の悪い結末となった。
「ポジション的に後ろの方からのスタートとなったので、2台で戦略を分けた」(田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクター)というトロロッソ・ホンダの2人は、ブレンドン・ハートレーが新品のウルトラソフトを履いて15番手から、ピエール・ガスリーがミディアムタイヤを履いて17番手からスタートした。
しかし、スタート直後からグリップ不足に悩まされたハートレーは1周目を終えた段階で2つポジションを失って17番手へ後退。一方、周囲のドライバーがソフトタイヤでスタートしていたため、ガスリーも19番手と2人そろってポジションを落としてしまう。
その後もハートレーのペースが上がらなかったため、チームはハートレーとガスリーのポジションを入れ替えるよう無線で指示を出し、4周目からはガスリー、ハートレーの順位でレースを進めていった。
最初のピットインは10周目。ハートレーがウルトラソフトからミディアムに替えて、1ストップを視野に入れてコースに復帰。一方、20周目にソフトタイヤに交換したガスリーは2ストップも視野に入れてレースを再開していた。
しかし、ピットストップの後、2台のポジションが入れ替わって、ラップタイムのペースが速いガスリーがハートレーの後ろにまわったことで、チームから再びポジションを入れ替えるよう指示が飛ぶ。
これを聞いたハートレーは29周目のバックストレートエンドでチームメイトに進路を譲ったものの、不運にも2台は接触。マシンにダメージを負って予定外のピットインを強いられたハートレーは最下位へ転落。接触事故の過失を認められたガスリーは10秒タイムペナルティが科せられてしまう。
結局、ガスリーは15番手でフィニッシュし、その後10秒ペナルティを加算され18位。ハートレーはレース終盤にギヤボックスにダメージがあることが発見されたため、リタイアとなった。
レース後、2人はエンジニアたちとともにミーティングを行い、ポジションの入れ替えに関して、誤解があったという認識で一致したという。
その詳細は明らかにされていないが、バックストレートエンドでハートレーがインを開けて譲ったにもかかわらず、ガスリーがぎりぎりまでスリップストリームについていたため、ハートレーがミラーでガスリーの存在に気がつかずにコーナーでターンインしたことが原因ではないかと考えられる。
だが、レース後のミーティングで最も熱く議論が交わされたのは接触したことではなく、寒かった予選に続いて、暖かくなった日曜日のレースでもペースが上がらなかったことだ。
レース後のミーティングで、チーム代表のフランツ・トストは、次のような指示をチームに出した。
「次のバクーでより競争力を発揮できるよう、この2週間の走行データを分析しなければならない。なぜ上海で苦しんだのかだけでなく、なぜバーレーンで速かったのかも、われわれは理解しなければいけない」