イタリア・ローマ市街地で初開催となったフォーミュラE第7戦。14日に行われた決勝レースは、サム・バード(DSヴァージン)が今季2勝目を挙げた。
2017/2018シーズンも後半戦に突入。その最初の舞台は初開催となるローマ市街地だ。
4つのグループに分かれて争われる予選をトップで通過したのはアンドレ・ロッテラー(テチーター)だった。しかし、スーパーポールではフェリックス・ローゼンクヴィスト(マヒンドラ)が1分36秒311と2番手のバードに0.6秒差をつけ、今季3度目のポールポジションを獲得する。
コースの特性上コントロールラインとスタートラインが異なるため、後方からの変わったスタートとなった33周の決勝レース。ファーストコーナーとなるターン13のヘアピンをローゼンクヴィストがトップで飛び込む。
2番手のバードはローゼンクヴィストを攻めるもオーバーテイクには至らず、ミッチ・エバンス(ベンチュリ)、ロッテラーが僅差で続いていく。
ファンブーストはルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)、地元イタリアのルカ・フィリッピ(NIOフォーミュラE)、そしてセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)が獲得。
レースはこう着するもピットインが近づき慌ただしさを見せ始める。スタートの接触で順位を落としていたブエミは14周目にオリバー・ターベイ(NIOフォーミュラE)を攻略し5番手に浮上。その勢いのままロッテラーを攻め立てる。
16周目、ヘアピンでは4台が絡む多重クラッシュが発生。コースを半分ふさぐかたちになるも、各車走行に戻ったためローカルイエローが振られるのみに。この周の終わりにはトップ集団がピットイン。エバンス、ロッテラー、ダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)、ポイントリーダーのジャン-エリック・ベルニュ(テチーター)らは16周目終わりでピットに入らず、もう1周走行する作戦を選択する。
ステイアウト組は17周目終わりでピットイン。ローゼンクヴィストはトップをキープし、バード、ブエミ、エバンス、ロッテラーの順に。ここでアレックス・リン(DSヴァージン)がクラッシュしフルコースイエローに。最後にピットインしたジェローム・ダンブロジオ(ドラゴン・レーシング)は、この恩恵を受けて11番手までジャンプアップする。
マシン交換後のバードのアタックを死守していたローゼンクヴィストは、少しリードを築いた23周目にまさかのストップ。「縁石にヒットした」と無線で話し、無念のリタイアとなった。
ロッテラーを攻略したディ・グラッシはブエミにも接近。ファンブーストを使ってポジションをキープするブエミを、24周目に今度はディ・グラッシがファンブーストを使ってオーバーテイクに成功する。
ここでローゼンクヴィストのマシンを撤収するため再びフルコースイエローに。レース再開となるとエバンスはファステストを記録しながらでバードを追いかける。
終盤トップ争いは僅差の混戦に
勢いがなくなったブエミをロッテラーが攻略。さらにバード、エバンス、ディ・グラッシのトップ争いも熱を帯びてくる。
0.5秒差で攻防を繰り広げる3台。ジャガー初優勝へ向けて果敢にバードに攻めるエバンスだが、バードのインに入るもオーバーテイクには至らず、今度はディ・グラッシに攻め立てられる。この争いにロッテラーも参加。
バードは少しリードを築き、残り3周の激しい表彰台争いが繰り広げられる。ディ・グラッシがまずはエバンスを攻略。ロッテラーも続けて抜きかけるが、エバンスが3番手を死守。しかし、エバンスはバッテリー残量が厳しい状態に。
何度もサイド・バイ・サイドになるも守り続けていたエバンスだが、ファイナルラップでロッテラーが攻略。さらにアプトにも抜かれる。
バードはトップでチェッカーを受け、開幕戦以来となるシーズン2勝目を挙げ、ディ・グラッシが2位。ロッテラーは2度目の表彰台をゲット。エバンスはバッテリーがなくなり最終的には9位となった。
「正直に言って、今日ここに居れるとは思わなかった。レースでフェリックス(ローゼンクヴィスト)のペースを見たとき、僕が望むベストはたぶん18ポイント(2位)だと思った。フェリックスに何が起こったのかわからない。壁にヒットしたようには見えなかったから、縁石に激しく当たってサスペンションを壊したようだね」
「ルーカス(ディ・グラッシ)が狙っていることをわかっていたので、ファイナルラップに向けて適切なエネルギーで走行しなければならなかった。自分自身に最高のシナリオを与えようとしたけど、うまくいったね。ローマ最初のePrixの勝者になれて誇りに思っているし、観衆にも驚いたよ。みんな楽しんでいたね」とバードはコメント。
ランキングトップのベルニュは5位で10ポイントを獲得。優勝の25ポイントを追加したバードはローゼンクヴィストは抜いてトップと18ポイント差のランキング2位に立った。