僕はお酒が好きだ。いつもお酒を飲んで過ごしている。時には気の合う仲間と昼間から乾杯をすることもある。だが誰と飲んでも楽しいというわけでは、当然ない。「コイツとは絶対飲みたくねえな」と感じる、いけすかない奴もいるし、そういう奴から万が一誘われても、絶対に断る。
まあ、これができるのも僕がフリーライターだからだ。悲しいかな勤め人時代は、嫌いな上司からの飲みの誘いを泣く泣くOKしたこともあった。あれは辛い。全然楽しくない。(文:松本ミゾレ)
上司は、部下と仲良くなるため「善意」で飲み会に誘っている
先日2ちゃんねるを眺めながら嫌いな同業者の悪口を検索しているとき、面白いスレッドを見つけた。「若手にとって、上司との飲み会はパワハラ part2」というのがそれだ。スレ主によると、上司との飲み会で受ける苦痛は1つや2つではないらしい。
たとえば仕事以外でも気を遣うこと、無駄な出費を強いられること、特に二次会以降が究極的に時間と金の無駄であることなどを指摘。さらに、深夜にラーメンなどを付き合いで食わされることや、上司行きつけの飲み屋の姉ちゃんたちとつまらない会話をしなくてはならないこともデメリットとして書き込んでいた。
うん、全くその通りだと思う。性質の悪いことに、これって上司は、部下と懇意になるための、社外での善意のレクリエーションと考えている節がある。そしてその結果、部下が自分を慕ってくれていると本気で勘違いする人だっている。
スレ主の書き込みっぷりから見ると、上司との飲み会なのにその上司が奢ってすらいないらしい。ダサい。部下に慕われたいなら、若手の時間を自分のために使わせていることに気遣いすべきだし、飲み代だって自分で出せばいいのに。それをしないからウザがられて、こんなスレッドまで立てられることになってしまっているのに。
こんな上司の下で社会人をやっているスレ主の、なんと可哀想なことだろう。
楽しいのは上司だけ? 「日常的にパワハラしてくる上司の飲み会になぜ参加しなければならないのか」
今回紹介したこのスレッドには、現にクソみたいな上司とのつまらない飲み会で、時間とお金を無駄にしたと痛感している人々の声も多く寄せられている。中でも目を引いた、気の毒なコメントを紹介していきたい。
「介護してる気分だわ。日頃別に大した世話もしてもらわずにただただえらそーな態度で仕事してる奴にへらへらしながら料理分けたり、空いたグラス見て注文するのとか疲れる」
「飲み会で自分が一番年下なんだけど無理やり酒飲まされて『もう無理です』って言うと殴られたり蹴られたりされる。もう昨日はマジで泣きながら帰らせてもらった。もう僕は疲れました」
「日常的にパワハラしかけてくる糞上司が企画した飲み会なんてどうして参加しなければならないのか」
という具合に、読んでいてこっちまで嫌な思い出がフラッシュバックしてくる。いじめの体験談まで混ざっているし、全く酷い有様である。
部下にここまで書かれるということは、その上司はびっくりするぐらい普段から人望がなく、それに気付いてもいないんだろう。こういう人間の下で働いている若手って本当に、ダントツで不遇である。
上の立場の人間が飲み会に若手を誘うなら、大前提として、「多分部下はめんどくさいって思っているだろうな」ぐらいの危惧はしておくべきだ。そういう発想すらないってのが恐れ入る。とんだ上司様だ。
ところで、あなたに部下はいるだろうか。もしあなたが、部下のためにとかいって定期的に飲み会を開催している立場の人間であるなら、どうかそろそろ気付いて欲しい。この世に上司との飲み会で心から楽しめる若手はいない。あなたは部下のグループLINEで徹底的に叩かれている。
これからは若手を巻き込むことなく、一人でカップ酒でも飲んでおこう!