シンティアム・アップル・ロータス スーパーGT 2018第1戦岡山300km レースレポート
予選:Q1:2位通過/Q2:14位
決勝:23位
2018年度のスーパーGTが、例年通り岡山国際サーキットで開催。4月7日(土)/8日(日)の2日間にわたり『OKAYAMA 300KM RACE』の予選・決勝レースが開催されました。
今季もCars Tokai Dream28はエースドライバーに加藤寛規選手、セカンドドライバーにジェントルマンドライバーである高橋一穂選手をラインアップ。マシンも#2シンティアム・アップル・ロータス(SGT LOTUS EVORA)を登用し、GT300クラスでの闘いに臨みました。
■公式練習走行
チームは今季、EVORAのシャシーコンポーネンツを新品へと改めスーパーGTへと臨みました。その甲斐あってか事前のテストではセッティングに対する感度が良くなり、セッティングに対するドライバーのフィードバックもよくなりました。
またチームを悩ませたマイナートラブルやクラッシュもなく、昨年できなかったタイヤテストなど、多くのメニューをこなすことができました。こうして迎えた土曜日の公式練習でしたが、厳しかったのは予想以上に低い気温でした。
事前に行われた岡山国際サーキットのテストから10度以上も低くなった気温によって、持ち込んだタイヤの特性や温度レンジが大きく変わってしまったため、すべてのチームがその合わせ込みに苦しんでいました。
そんななかで#2シンティアム・アップル・ロータスは、エースである加藤寛規選手がセッティングを開始。前述した路面状況などもあり時間は少々かかりましたが、ニュータイヤを履いたアタックでは1分27秒177をマーク。順位こそ16位でしたが、加藤選手はその走りに、十分な手応えを感じていました。
残念だったのは、その後を高橋選手が受け継いだときに、突如予想外の雨が降ってきたことでした。ここでまず高橋選手はレースに備えたタイヤの皮むきを行い、非常に低いグリップの中でEVORAを走らせました。結局路面の状況は最後まで良くならず、予選を見据えたアタックが満足にできなかったのが悔やまれました。
■公式予選1回目(Q1)
予選Q1は、エースドライバーである加藤選手がアタック。公式練習での手応え通り、見事な走りでEVORAの復活劇を演じました。気温10度、路面温度18度。明らかに想定より低いこのコンディションに対して加藤選手は、いつものようにピットにステイしてミニマムな周回数を狙うのではなく、いち早くコースイン。タイヤを十分に暖めにかかりました。
そして6周目には1分27秒072をマーク。さらに翌周には1分25秒492というタイムを出して、2番手に躍り出たのです。同じマザーシャシーである25 TOYOTA 86 MCが1分25秒232をたたき出してトップを取ったものの、その後順位は変わらずEVORAはQ1を突破。その復活を裏付けるには十分な走りを魅せたのでした。
■公式予選2回目(Q2)
GT500のQ1を挟み、15:30から予選Q2が行われました。しかしここでも、高橋選手は不運に見舞われました。空からは晴れ間が見えながらも、その走行直前から大粒の雨が降り出したのです。チームはここでレインタイヤを選択。
しかし雨のテストデータがほぼない状況で選んだタイヤは路面とマッチせず、高橋選手は5周をかけてタイヤを暖めましたが、ライバルたちと争えるだけのグリップとタイムを発揮させることができませんでした。結局これで#2シンティアム・アップル・ロータスの予選順位は14番グリッドに。翌日の決勝レースでは、中盤からの追い上げが期待されました。
■決勝レース
日曜日の決勝レースは例年よりも遅めの、14:43からフォーメーションラップがスタート。シンティアム・アップル・ロータスの第一ドライバーは、加藤選手が務めました。ちなみに昨日の予選を経てチームは、さらにEVORAのセットアップを改善。スタート進行前に行われたウォームアップ走行では決勝レースと同じタイヤを履き、燃料をフル積載した状態でも2番手を獲得していました。
そして迎えた決勝レース、EVORAはFIA-GT3勢に飲み込まれることなくオープニングラップを消化。それどころか順位をひとつ上げて、コントロールタワーを通過しました。また加藤選手は序盤から1分27秒台を連発。コーナリングスピードに劣るライバルに前を塞がれるとタイムを落とさざるを得ない場面もありましたが、基本的な速さはトップグループに匹敵するものでした。
そして激しく混戦するなかでもその順位を12位まで上げ、EVORAとともに大健闘しました。しかし15周を過ぎたあたりから、EVORAの順位が徐々に落ちはじめました。その原因は、フロントタイヤのトレッド面、特にアウト側が異常摩耗(グレーニング)してしまったためでした。
チームとしては可能な限り加藤選手を走らせ、最後に高橋選手へとつなぎたいところでした。しかしそれは叶わず、加藤選手は最低義務周回数をクリアした時点でピットイン。高橋選手へとバトンを渡しました。これを受けた高橋選手は加藤選手のペースには及ばないものの、序盤から1分30秒729をマークするなどして奮闘。25位まで下がった順位も21位まで挽回しました。
しかし周回を重ねるほどにラップタイムがドロップ。そのペースに対しブルーフラッグが出るたびに後続車を専攻させねばらなず、非常に苦しい展開となりました。そんな状況でも高橋選手は、想定外のロングスティントをタイヤをいたわりながら走りきり、チェッカーを受けました。
順位こそ23位でしたが、最後まで無事にEVORAをゴールへと導き、得られたデータは次につながる内容となりました。次戦は5月3(木)/3日(金)開催の『FUJI 500KM RACE』。チームとしてもそれまでにロングランでの問題を解決し、テストでもよい走りができている富士スピードウェイでその成果を見せたいと思いますので、応援よろしくお願い致します!
■コメント
チーフエンジニア 渡邊信太郎
「この二日間は予想以上の冷え込みでしたが、それ以上に我々にとって苦しかったのはその都度変わる天候が、路面のラバーをリセットしてしまうことでした。想定したタイヤが温度領域を大幅に外すことはなかったのですが、雨によって剥き出しとなった岡山の路面は、予想以上に攻撃性が高かったようです」
「ただマシン的にはモノコック等を新しくしたことで、セッティングに対するフィードバックがとても良くなりました。そして今季は昨年できなかったメニューをテストでかなりこなせました。富士は確かにストレートスピードが重要なコースですが、セクター2以降でのEVORAの速さがあれば十分戦えると考えています。次戦も頑張りますので、応援よろしくお願いします!」
ドライバー 加藤寛規選手
「レースウイークは、テストで出なかった症状が出てしまって、少し戶惑いました。その症状は最初軽めだったので、これを対策して決勝レースに臨んだつもりだったのですが……。これに対しては次戦までにしっかりとデータを解析します」
「また高橋選手には本当に苦労をかけてしまいました。特に予選Q2でのタイヤチョイスは、僕たちのチョイスミスですね。富士ではこうした部分をクリアにして臨み、よい結果を出したいと思います。ありがとうございました」
ドライバー 高橋一穂選手
「ボクが出て行った時点で周回遅れになっていて、コースは青旗だらけで(苦笑)」
「そのなかで安全を保ちながらラップを安定させるのが、とても難しかったですね。それでも今回自分が長く走ることができたのはよかったです。今後のセッティングについても役立つデータを取ることができました」