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KinKi Kids 堂本剛の“ありのまま”の姿はなぜ魅力的に映る? 『堂本剛の素』配信開始に寄せて

2018年04月12日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 KinKi Kidsの堂本剛が“ありのまま”の姿をさらけ出すドキュメント番組『堂本剛の素』が4月13日から、KinKi KidsがCMキャラクターを務めている動画配信サービス“GYAO!”で配信される。プライベートでの旅行や5月2日にニューアルバム『HYBRID FUNK』を発売するソロプロジェクト「ENDRECHERI」についてなど、KinKi Kidsのときとは一味違う表情を見せてくれる番組となりそうだ。


(関連:KinKi Kidsの魅力は、生き方そのものにあるーー堂本剛の“柔軟さ”が人々に与える勇気


 昨年夏に日本テレビ系の人気トーク番組『しゃべくり007』に出演した際、アイドルらしからぬ悟りの境地を見せ“仙人”と呼ばれ共演者から驚かれた堂本。そんな彼は、2002年から7年間にわたって放送されたテレビ朝日系のバラエティ番組『堂本剛の正直しんどい』や、不定期で放送されているMBSの『堂本剛のやからね』など、以前からそのオフビートでマイペースな魅力を見せつけていたのだ。


 デビューしたばかりの頃、アイドルという立場だからこそ向けられる様々な期待に応えようと、かなりの我慢を強いられていたことを後々になって明かした剛。どこまでも真面目であり、強い責任感を持つ彼だとファンの誰もがわかっているからこそ、無理することなく本来の自分をさらけ出す姿が魅力的に映るのだろう。


 堂本の真面目さが垣間見えるエピソードとして、『月刊ソングス 2013年5月号』の中で、カバーアルバムの発売に際し自身の楽曲「街」について語っている部分がある。出身地の奈良県への強い郷土愛を持つことで知られている彼は、東日本大震災の被災地に何度も訪れたことを明かし、「自分の街を愛しているというシンプルなストーリーをこの曲に託すことで、聞いてくれる人々の痛みが勇気に変わっていけばいいな」と、音楽に託された希望を語っていた。


 アイドルの境地を超えた、ひとりのアーティストとしての強固な責任感を持ち合わせた彼は、現在でもそれを持ちながら、徐々にその重圧との向き合い方・共存の仕方を理解してきたのではないだろうか。プレッシャーに押しつぶされることなく、自身の持つ自然体なリズムを守り抜く。真面目であるからこそ作り出せる、ゆっくりとした時間の流れでアーティストとして研ぎ澄まされていくのだ。


 最近ますますそのマイペースぶりに拍車がかかっているだけに、今回の『堂本剛の素』は、さらにゆっくりとした雰囲気が楽しめる番組になっていることだろう。動画配信サービスというメリットを活かして、テレビではなかなか描くことのできない堂本剛のペースをしっかりと描写して、ファンを楽しませてくれることは間違いない。


■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。